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02 魔使 十座
少年は迷いこんでいた。
暗い森のなかでたった一人。
季節も、2月とものすごい寒さが皮膚に伝わる。
少年は絶望していた。
すべてに。
「もうここでいいよな?」
独り事。
やっとこの世界からリタイアできる
もう戻りたくない
これから、解放されるのに何故こんなに苦しいのか?
未練はもうないはずなのに。
こうやって、独り事を続け最後にでたのは将来の夢だった。
「家族が欲しかったな」
そこで、沈黙。
少年、魔使 十座の覚悟が決まった。
身につけていた刀を手に持った。
もう、何も話さなかった。
考えなかった。
目を瞑り、両手で刀を腹の方向へ。
さあ、これで終わりだ。
覚悟を決め、手に力を入れた。
そして思い切り腹に刺しこんだ。