表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ログイン ── チートでニート ──  作者: よぎそーと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/14

セーブ8 ここで調べられる事も色々調べていきます

 気がつくと、いつもの自分の部屋にいた。

 目の前にはパソコン。

 画面には、ゲーム画面。

 そこには、ログアウト後の画面が拡がり、「お疲れ様でした」というメッセージが表示されている。

「…………戻れた?」

 思いもしなかった出来事に驚いてしまう。

 驚きすぎて、呆気にとられてしまう。

 しばらく呆然と首をまわし、周囲を確認してしまった。

 本当にここが現実なのかと。

 実は向こうの世界に行ったまま、夢でも見てるんじゃないかと。

 だが、トモヤのいる場所は確かに現実で、ファンタジーな異世界ではなかった。

「…………やった」

 この先一生向こう側だと思っていた。

 だから、素直に嬉しかった。



 それから、しばらくパソコンの前で考えた。

 先ほどの出来事は夢か何かなのかもしれないと思った。

 あるいは、本当にあった出来事だとしても、もうあそこには行けないのかもと。

 それを確かめるにはログインするしかないが、その度胸はない。

 今回は上手く戻ってくる事ができたが、次も同じように戻ってこれるとは限らない。

(戻ってくる理由もないけど……)

 今更こちら側に未練があるわけではない。

 死ぬまでゲームでもしてるか、と思った現実が待ってるだけなのだから。

 それなら別世界みたいな場所に行って、それなりに過ごすのも悪くないのではと思えた。

 しかし、いざそう考えると、やはり躊躇いも出て来る。

 本当に向こう側に行ってよいのか。

 行ったまま帰ってこなくてもいいのか。

 こちらに残る理由もないが、向こうに行く理由もないのだから。

 だが、トモヤはその考えを振り払った。

「考えたって仕方ないか」

 こっちに居ても先はない。

 だったら、思うように行動してしまえと思った。

 ただ、どうするにしても、もうちょっと情報を集めておきたかった。

 あらためてパソコンに向かい、ネットに接続する。

 ただし、ゲームではなく、ゲーム関連のサイトの確認のために。

「さっきみたいな事、どこかに書き込まれてるかな」

 さすがにないだろうと思いつつも、関連しそうなサイトをあさっていった。



 ゲーム運営が用意した専用サイトの交流掲示板や、ネットゲーム愛好者(好意的表現)が集まるサイト。

 そういったところを巡って、それらしい情報がないかを探っていく。

 さすがに先ほど始まったばかりのゲームだけに、情報らしい情報は見つからなかった。

 せいぜい、トモヤのように初日から入り浸ってる者達の感想がちらほらある程度。

 分かるのは、どのあたりまで進んだのか、とか、モンスターの強さはどれくらいといった事だった。

 それでもトモヤにとってはありがたいものではあった。

 他の者達がどんな能力値や技能にしてるかは分からなかったが、おかげでどの程度の装備や能力が必要なのかが分かる。

 また、戦闘における損害と、得られる報酬についてもある程度掴む事はできた。



 他にも、ゲームサイトや運営会社のサイトも見て回る。

 ゲームに直接関わらない所もあるが、何かの役に立つかもしれないと思って可能な限り見渡していった。

 会社の概要や社員数、資本金なども。

 それらのほとんどはゲーム攻略には当然役立つ事はなかった。

 ただ、そうやってあちこちを巡った事で、気になる所にぶちあたった。

 運営がやっているサービスの一つである、電子マネーである。



「カネール」という実に分かりやすい名前を単位にした電子マネー。

 マネーとは言ってるが、現金の代わりに使えるポイントと言った方が正しいだろう。

 現金でカネールを買って、それを金銭代わりにしてネットで商品を購入する。

 このポイントが、ゲームにおける課金アイテムの購入にも使えた。

 課金アイテムはゲームの中でしか使えないが、大きな効果をもたらしてくれる。

 手に入る経験値やモンスターを倒してえられる戦利品が増えたり、能力値を一時的に増加してくれたり。

 もし、それらを持っていければ、向こう側でも結構楽に物事を進められると思った。

(まあ、もったいないか)

 決して増える事のない預金残高と手持ちの金をここで使いたくはなかった。

 こういうのは、資金に余裕のある者達のためである。

 トモヤが手を出してよいものではない。

「まあ、ちまちま行くか」

 こういう時に使うのは間違ってると思ったが、格差というものを感じた。



 思いつくのはだいたいそれくらいだった。

 調べられるものはだいたい調べたはずである。

 そんなこんなで数時間が過ぎ、既に昼になっていた。

 いつもなら飯を食べてる頃合いである。

 ただ、それほど腹が減ってるわけではない。

(このままやるか)

 もちろんゲームを、である。

 果たして再びあの世界に行くことになるのかは分からない。

 分からないが、とにかう試してみようと思った。

 やったところでトモヤに失うものはない。

 あえて気楽に考えながら、マウスをクリックしてゲームにログインしていく。

 再び画面が光り輝いた。



 目が慣れるとトモヤは、先ほどログアウトした、村長宅の庭にある木陰に出現していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ