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異世界ログイン ── チートでニート ──  作者: よぎそーと


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セーブ4 本当に見知らぬ場所にやってきてしまったようです

(まいったな)

 女の子の先導で石柱の所から歩いていく。

 踏み固められて出来た道の感触が靴から伝わってくる。

(そういや、いつの間に靴なんてはいたんだ)

 部屋の中にいたから裸足だったはず。

 服はそのままだったので、どうしてこうなったのかが分からない。

 とはいえ、それで困ってるわけではないから問題はない。

(そもそも、ここがどこだって事だし)

 近所のどこかではなさそうだった。

 おそらく日本でもないと思えた。

 こんな場所が日本にあるとは思えなかった。

 前を歩く娘も、どちらかと言えば白人種に近いように思える。

 帰化や混血などで日本人でも白人種はいるから、これだけで判断するわけにはいかないが。

(それに、日本語を話してるし)

 先ほど彼女と会話が成り立った事から考えると、もしかしたらという可能性が出て来る。

 とはいえ、ここであれこれ考えても意味はない。

 彼女の言う村に行けばもう少し何かが分かる。

 なのでトモヤは考える事を一旦止めた。

(それより……)

 もっと別の不安について考えていく。

(他の人と会ったらどうしよう)

 幸いな事に目の前の娘とは言葉を交わすことはできた。

 しかしそれ以外の人間と上手くやっていけるかどうか悩ましかった。

 掲示板やSNSなど、ネット越しの会話ならさほど問題はないが。

 声を使ったやりとりには自信がない。

(まさかゲームで、現実的な会話能力が必要になるなんて)

 色々と予想外の展開に、ため息が出てきた。



 石柱のあった場所は丘のようになってる高い場所にあったようだ。

 そこから続く道は下に下にとくだっていく。

 その麓に村はあった。

 さほど大きなものではないようだった。

 幅二メートル余りの道を挟むように何軒かの家が建っている。

 その道を進むと、広間になっている。

 そこを囲むように家が建っていて、ここがこの村の中心らしい事を伺わせた。

 また、立ち並ぶ家と、広間にいる何人かの者達を見て、やはりここが日本ではなさそうだと思えた。

 家は木の柱も使っているが、日本家屋と違って煉瓦で壁を作っている。

 人も、やはり白人種に近いようで、日本人のような黄色人種は見あたらない。

(やっぱり日本じゃないのかな)

 見知らぬ所に来てしまったと感じる事で、心細さを感じてしまう。

 そんなトモヤに、

「こっちです」

と少女が促す。

 どうやら広前に面した一番大きな家に連れていきたいようだった。

 だが、トモヤの関心はそこではなく別の所に向いていた。

(声を聞く限りじゃ日本語っぽいんだけどな)

 建築物や人種の違いがあるにも関わらず、なぜそこだけ日本語なのか。

 促されるままに家へと向かいながらも、疑問は膨らみ続けていった。



 家の中、というか敷地の中というべきか。

 垣根の中に入った娘は、家の中に入らずその横へと向かっていく。

「こっちです」

「あ、ああ」

 誘われるがままに後をついていくトモヤは、家の庭へと出た。

「村長さん、お連れしました」

 娘の声に振り返った村長と呼ばれた老人は、二度三度と頷く。

「ありがとうよ、カリン」

「どういたしまして。

 それじゃ、私はお茶を煎れてきますね」

 言うと娘は、庭に面した扉から家の中に入っていく。

 その背中を見ながらトモヤは、

(カリンって言うのか)

などと考えていた。

 今頃になって彼女の名前すら聞いてなかったことを思い出す。

 そのカリンがいなくなり、またも見知らぬ人物と向かい合う事になる。

「えっと、あの……」

 なんと言って切り出せばいいのか分からず、しどろもどろになってしまう。

 そんなトモヤを村長は、

「まあ、落ち着いて。

 気楽にいきましょうや」

と言ってくる。

「どのみち、すぐに話しが終わるという事もないでしょうし」

 言いながらため息を吐く。

「ただ、どうか我々を救ってもらいたい。

 それだけはどうかお願いします」

 そう言って村長は深々と頭を下げた。

「あの、だから、待ってください」

 面食らいながらもトモヤは声をあげる。

「救うってなんなんですか。

 あの子も…………カリンでしたっけ?

 カリンも力を貸してくれとか言ってるし」

「ふむ……」

 トモヤの言葉に村長は何度か頷いた。

「これは、最初から話しをしないといけないようですな」

 トモヤの様子から、彼が何も知らないことを悟ったのだろう。

 庭に置いてあるベンチをすすめて腰をかけるよう促す。

「立ち話もなんですから。

 それに、お茶も出て来るでしょうし」

 そう言ってベンチの端に腰をかける。

 断る理由もないので、トモヤもその隣に腰をおろした。

 それを見て村長は、口を開く。

「さて、まずは確認をしたいのですが」

 そういってトモヤの方に顔を向ける。

「あなたの名前を教えてもらえないでしょうか。

 さすがに『お前』とか『君』と言うのもなんですので」

「ええ、はい。

 あの、トモヤ。

 トモヤと言います」

「トモヤさんですか。

 私はセルジオ。この村の村長をまかされてます」

 そういて村長であるセルジオは、頭を下げた。


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