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駅前
栞と僕は駅の近くまで歩いて来た。なにやら駅前が騒がしい。パトカーが2台と救急車1台が止まっている。
僕は栞と顔を見合せた。
「なんかあったのかな。」
栞は不安そうな表情を浮かべている。
「とりあえず行って見ようぜ。」
無意識に握っていた栞の手を僕は強く握りしめていた。
僕たちが駅に近寄るとバリケードが張られていた。あとから駆けつけたパトカーが2台3台と数を増やしていく。
「おいおい、なんか事件でもあったのかな。」
僕は近くにいた警察官に話しかけた。
「何かあったんですか。」
「殺人事件です。捜査の邪魔になるので近寄らないで下さい。」
事件現場であろう場所にはブルーシートがかけられて中がどうなっているのか伺い知ることは出来ない。近くの無線から被害者の情報が漏れ聞こえて来た。
「被害者、男性。年齢50歳、立花 京一郎。」
僕は頭の中が真っ白になった。立花 京一郎…。
「親父ー。」
僕は栞の手を振りほどきバリケードを飛び越えた。




