元カノ
翔大は元カノと別れて二年近く経っていた。
小・中・高と男子高で育ち、女性への免疫が無いまま、大学、就職となり、なかなか女性と付き合うきっかけが無かった翔大にとって、生まれて初めての彼女だった。
彼女は、就職先の上司で、翔大とは正反対の性格で、明るくて優しくて、全てが眩しくて、どんどんと惹かれていった。
初めに声を欠けてくれたのは彼女の方だったのに。
何故、こんなことになってしまったのだろう?
翔大は彼女と結婚を決めていた。
永遠に続く愛だと思っていた。
決して冷めることのない愛だと思っていたのに。
翔大は彼女の望むもの全てを与えていた。彼女のために、毎日過ごしていたのに。
別れは突然だった。
突然、彼女から、別れて欲しいと言われた。
それ以来、メールも電話も拒否された。
翔大は最後にただ一度でいいから会いたいだけだった。
しかし……。
『もうこれ以上連絡しないでください。
誕生日プレゼントやクリスマスプレゼントなど、ポストに入れたりしないでください。
これ以上連絡するようなら、警察に連絡します。』
これが彼女からの最後のメールだった。
別れたくない、別れたくない、もう一度会いたい。
どうしても別れると言うなら、ちゃんと会って、自分のどこがダメなのか教えて欲しい。
もう一度だけ、会いたい。
日々、そう思いながら、もう二年近く経ってしまった。
彼女に会いたくて、何度も彼女のアパートに行った。
彼女の部屋の明かりが点いているのを見ると安心した。
翔大にしてみれば、まだ別れたなんて思っていないのだ。
しかし、この気持ちのもやもやを誰にも相談できずに過ごす毎日に、さすがに疲れて、誰でもいいから他の異性に、彼女との話しを聞いてもらいたかった。
そんな中での合コンの招待状に、ついつい、出席してしまったと言う訳だ。