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誰かが君を探しているから・・・

二人で入ったのは・・・・ホテルではなく24時間営業の喫茶店。


これは微妙に困った。

暖かい部屋もおいしい食事にも、ありつけそうにない。


「君は○○ちゃんだよね」


こいつ、本名を知ってる。これはキケン・・キケン・・・

バッとダッシュしようと、腰を上げたら、かなりの力で押し戻された。


山形の親が探しているのか・・・いや、その先の組織なのか・・・


「そんな怖い顔しないでよ」


やさしい顔で私を制するのだが、そのやさしい声も顔も怪しい。

思い切って聞いてみた。


「おじさん・・・山形から来たの?」


「えっ、あっ、君の田舎か?でも、親は知らないよ、私は、」


「じゃあ、どうして?」


「これがね・・・ある人の目に留まってね」


オヤジは、ファイルから、新聞の切り抜きを取り出した。


それは、山形の地方新聞で、悲しい話が書いてあった。


・・・車内に遺体 山形・××の山中

   7日午前10時ごろ、山形県××市××山の山頂付近を散策していた

    女性が山頂から20メートルほど下の斜面に

    軽乗用車が滑り落ちているのを見つけ、110番した。

  駆け付けた警察官が、車の運転席から頭部のない男性と女性の遺体を

   発見した。

   自殺か事件とみて調べている。


    車は山形ナンバーで、県警は遺体の身元の特定を急いでいる。


で、これがなんだと言うのよ・・・と不思議な顔をしていると。


「でね・・これがね・・・君の両親なんだよ」


「えっ・・・」


何という事だろう。

私は涙が止まらなった。


自分を借金のカタとして売ろうとした両親なのに・・・

親が死ぬことが、理解できなかったのだ。


「だから、ある人に、君を探せって言われてね。」



喫茶店の周りの人たちが、怪訝そうな目をこちらに向けていた。

これはチャンスだ。

ロリコンのオヤジが、子供を泣かしているという図だから・・

私は、大きな声を上げることにした。


「あいつらでしょ、ロリコンの!絶対にやだからね」


「えっ、ロリコンって・どういう事かね」


「私を2000万で買おうとしてたやくざでしょ」


「・・あっ、そういう事ね・・違うよ。違う。」


オヤジが年端のいかない女の子に、必死で否定するのが、

おかしかったので、私は笑ってしまった。


「あっ、笑ったね…」


でも、怪しいのは怪しい・・・


「君は死ぬなんて馬鹿だと思わないかい?」


突然、何哲学してるんだろうと思いいつも


「そうね・・・でも、私の親は仕方ないかも」


自分がロリコン野郎たちに売られそうになって

逃げ出してきたことを、なんとなく話すことになった。


フムフムと真剣に聞いてくれた。


こんなスーツ姿のオヤジに、切々と人生を語る家出娘。

まあ、新宿じゃ珍しくはないかもね・・・


「で、これからどうするの?」


「こうやって生きていくしかないですよ。おじさん。

 だって、まだ働けないしね。サバイバル、サバイバル。」


「でも、いつ殺される目に会うかわからないよ」


確かに・・・じゃあどうしろと言うの???



「でね、私の雇主が、この記事見てね、子供がいるはずだから

 探せって・・・苦労したよ、山形行ったり、ネットカフェの

 防犯カメラを漁ったり・・・」


ロリコン商売の裏組織ができない規模で私を探している気配だ。

何が目的なんだろう。 



「死ぬなんて馬鹿だって、私の雇主は言うんだよ。

 でね・・かわいそうな子供を保護しろって」



「誰なんですか・・その雇い主」


「なんてったっけ、君たちの間では、新宿三四郎って言ったりしてる・・」



私は、家出クラブのスカウトマンと遭遇しているわけだ。

いや~まだ信じちゃいけない・・・・これも新しい詐欺かも・・



とりあえず、オヤジについていくことにした。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


俺は、高層ビルの要塞の中で、思案していた。


あっ、また誰かがハッキングしてきた。


妙なプログラムのウイルスをぶち込んできやがった。

対応は簡単だ。

分析して、新しいウォールを立てればいい。

機械が分析して、対応するので秒殺できる。


だが、今回のは、同じ新型ウィルスをウルグアイとポーランドから

送り込んでやがる。

しかも、同じプログラムなのに、ほんの少し、たぶん1行程度の違いを

入れ込んでく来たので、機械が気づくまでの5秒程度ラグが生まれた。


出来るハッカーだ。

おかけで、30名分ほどのデータが漏れた。


こんなことではだめだ。


俺には、守らねばならない奴らがいる。


家出人を集めて、彼らに生きる希望を与える。

俺、つまり新宿三四郎としては、それが生きがい。


だけど、いっちゃ悪いが、信用できる家出人を集めるために、相当な労力を使っている。

日夜、新聞に目を通し、事件の陰にいる子供たちにも目を向ける。


倒産しそうな町があれば、そこも徹底的に調べ上げる。


家出クラブは、天才クラスのハッカー集団を集めているから、

マスコミより、リアルな情報を手にできる。


そして、家出クラブには、スカウトマンがいる。

宗教の勧誘と同じで、悩んでいる奴に近づき探り、仲間入りさせる。


例えば、仲田陽子。

コンピュータから抽出。

キーワードで、引っ掛かってきた一人。


まあ、俺のアルゴリズムやプログラムの

説明してもわからないだろうから、

簡単に言うと、家出している可能性があり、天涯孤独に生きている可能性があり、しかも自立性の低いヤツを探す出す。


で、裏付け調査をしたら、スカウティングに入る。


見つけ出したら、面接だ。

これも、顔色、ため息の数、言葉使い、知識、機転、注意力など100項目のマニュアルがある。


その上で、ルールの説明。


で、入会となる。


誰彼関係なくクラブに入れる訳ではない。


なんせ反社会的なんで!



彼女の名前は2つ用意した。

新潟から転居してきた20歳の女子。

親は二人とも死亡している。

で、自治体のデータは書き換え転居させる。

で、東京に移転する。

すべて、ハッキングで秘密裏に行うので、この子に絞って検索しないと

分からない。


さらに、iD S303-664-773-344を与える。


これが、家出クラブのサイトへのパスになる。


もちろん、家出クラブなんて名前のホームページはない。


ただの風景写真のページのある部分をクリックして、

さらにいくつかのパスを入れて・・・・まっゲームの隠し技みたいな事をして

やっとたどり着けるようにしている。


で、まず戸籍の名前として、仲田陽子を与える。

そして、生きていく上での通称として澤田昭子。


2段階にしておく。


さらに、資産家系列の企業に就職させる。

まあ、これは資産家の人事課が照らし合わせるデータを

書類で用意すればいいようになっている。


おっさんや年配は、生活保護のためのコミューンに入れるが、

まだまだ将来のある若い奴は、働いてもらう。


それで、彼女の新しい人生は始まる。


親に売られそうな子供がまともに生きられる。


新宿三四郎の人助け、一件落着だ。


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