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名前のない女の復讐 4

☆☆☆☆再びメグミの回想



「ただいま~」


リビングから、パパの声がする。


でも、かったるいし、部屋でIpodのボリュームをあげ


ケミカルブラザーズを聞きながら、メールチェックと2chのチェック


たいしたスレッドもなく、盛り上がらない。


明日、渋谷に行く服でも選んでおこう。




「ただいま~」



今度は、インラン・ママのご帰宅だ。


どうせ、今日も、あの男と会ってたんだろう。


パパさえ気づかなければ、ママも平和なわけだし、私も平和。


みんな平和な家庭・・・・それでいいじゃん!



でも、イタイ家族なのは間違いない。



シャワーでも浴びて、もう、寝よう。


☆☆☆☆☆再びメグミのママの回想 ②


昔、八千草薫が出ていた「岸辺のアルバム」ってドラマがあった。



確か70年代のバブルの時代のドラマ…


妻が浮気をして、家庭が徐々に崩壊していくという話だった。



家族の絆の儚さや脆さがテーマで、最後は、家が川に流され、チャンチャンと


言う感じだったはずだが、結構、お金持ちで上品な家庭が崩れていくから


面白かった気がする・・・・



まさか自分が、それを地で行くなんて、思いもしなかったし、


あのドラマほど不幸でもないし、ハラハラもしない。


何というか、家はローンが25年も残っていて、家計はカツカツだし


浮気ももともと悪いと思っていないし、娘にばれてからは逆に


二人で仕組んで外に出る理由が作れるから楽になっている。




何より後腐れのない浮気ができる時代なのだ。


ましてや、こづかいをくれる男もいるから、パパに負担をかけずに


こうしてエルメスやビトンも持てる。



女子大生の時は、メッシーにアッシーに本命にと複数の男がいた。


何と言うのか、それが普通で、特にインランでも多情でもない普通の女子大生。


それが、30年も同じ男と狭い部屋の中で過ごすなんて、無理があるのよ。



そんな時に、携帯電話がてできて、出会い系が登場した。


「これは待ってました!」という感じで、すぐにハマっちゃった。


携帯電話一つでいいんだもの・・・・


それで、結婚以来なくなっていたトキメキが手に入るのだから。


玄関についた・・メグミの靴、パパの靴。


旦那に何か言われないかな・・・・



「おう、遅かったね」


「美津子がなかなか返してくれなくて・・ごめんなさい」


相変わらずの疲れた顔、疲れた声で返事をしてくる、それが嫌なのよ。


でも、この家は愛してるの・・メグミも旦那も含めて…


平和な家庭・・・・それは守りたいのよ。


もう、お風呂に入って寝よう…あっ、メグミの誕生日だったね。


明日の朝「おめでとう」を言おう・・・・



☆☆☆☆☆再びメグミのパパの回想 ②


二人とも、帰ってきた…特に何もない一日が過ぎた。


でも、二人とも、俺が職を失ったことを知らない。


どうしよう・・・この平和な家庭を俺が潰してしまう。


いつか言わなければ・・・・



でも今日は無事に過ごそう。


もう寝よう・・・また明日考えよう。



☆☆☆☆そしてある夜の家族の食卓



原田家の毎日は、そんな具合に過ぎていた。


微妙なバランスを保ちながらも、それぞれの個体が危険を含みながら…


だが、ある日、そんな三人のバランスに突風が吹く時が来た。



メグミもママもパパも、なぜか8時前には帰ってきて、


不倫三昧で普段はいないママの久しぶりの夕食がならんだ、


まるで奇跡のような安穏とした食卓で楽しい食事が始まろうとしていた。


メグミは、そんな風景をちょっとムズク思っていた。



「パパとママに東京に出ていく話をしようかな・・・自分でお金も貯めたし


 怒られたって出ていける・・でも、二人とも笑って食べてるし


 ご飯の後でいいか・・」




その隣で、メンチカツをほうばりながらパパはパパで悩んでいた。



「こんなチャンス、めったにないな・・


 家族に倒産の話を切り出すか…


 二人とも驚くだろうな・・・・


 でも、久しぶりの楽しい夕食、台無しになるな・・


 ご飯の後にしよう」



ママはママで決心をしていた。



「もうパパとも娘とも暮したくない。精神的に限界よ。

 

 疲れちゃった…


 メグミも大きくなったことだし、実家に戻ればなんとかなる・・・


 浮気がばれる前に離婚しよう・・


 でも二人ともニコニコしてるし、話ずらいな・・・


 後にしよう」



みんな、それぞれに結構シリアスな決心をしていた。


だから、静かな緊張の食卓・・・・・


だが、その時、ビービービービーと夜を切り裂くサイレンの音が


隣のうちから火災警報器が鳴り始めた。


あわてて家族全員外に出ると、結構火が出ている。


ほんと私の人生ついてない。


外で、消防の模様を眺めているとメールが来た。


そこに書いてあった。


「家出クラブにようこそ」


そして彼女は、クラブと出会ったが、秘密を守ることのプレッシャーに耐えかねにげた。

いつしかアルアル詐欺に絡み、クラブから追われる身に転落した

クラブのホステス・サチとして落ち着いたが、追跡の匂いを感じて、逃亡した。

結果、家にいた時と同じ・・・援交と同じ・・・身を売るしか手がなく、捕まってしまった。


だが新宿三四郎は、責めはしなかった。


「君は家庭崩壊の被害者だよ。俺は君を守らなければならない」


そして、この詐欺に、彼女を起用したのだ。









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