表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/22

そもそも、名前に、意味はない。

私の新しい人生は、東京でミラクルウインズという企業の

小売店の売り子としてスタートする。


スカウトのおっさんに、この話を聞いた時には緊張した。


「新宿さんは、君を救いたいと言ってるんだ。

 だから、僕らがスカウトしている。

 ただし、秘密は絶対に守らねばならない。

 裏切ると、正直、命の保証はない」


結構なことを言われたが、新しい戸籍がもらえて、

正々堂々と生きていけて、しかも月給は20万の正社員・・・



暗い過去の私としては、飛びつく話。


スカウトのおっさんは、とうとうと、これが秘密の組織で、

家出人に未来を与えるための組織で、それは公には認められないし、

しかも、世間を欺くことを前提にしたブラックな組織であると説明していた。


そんな事はいい、それより、新しい名前と新しい人生が魅力なのだ。


秘密は守りますよ・・・絶対に・・・


「それからね。このスマートフォンを使ってくれ。

 これでHPにアクセスできるし、君の動向も管理する。

 それが条件かな」


ヤバイ組織でも、家出のミカタなのは事実、納得、そもそも、クラブに憧れてタンだもの、即決!


翌朝、私は彼に連れられ、ミラクルウインズの寮に連れていかれた。


☆☆☆☆☆☆☆




さてさて、こちらは、新宿三四郎が、すでに気づいてることなど、全く知る余地もない、○○署の船越警部のデスク。


さきから、一つのiDを、いろんな裏サイトに打ち込んでは撃沈している。


サイバー犯罪チームから、貰った裏サイトの数は1万を超えるが、6人で10日間検索し続けて、成果なしなのだ!


兎に角、なりすましがキーワード。

これは詐欺、しかも、組織ぐるみ!


例のホームレスハウスは、なんとなくある暴力団が見えてきた。


それも、簡単に見えてきた。


なんせ組員が、現場に現れた。

いくら犯人は現場に戻ると言っても、

あまりにとんま過ぎる。

のこのこ部屋に入ってきた。

警官も数人いるときに!


で、蒸発先は知らないと言う。


「詐欺?とんでもない。生活保護者を面倒みてたんだぜ。」


それをいいはるだけ


「皆、勝手に逃げちゃったんですよ。

こっちは被害者ですわ」


所が、誰がいたか名前も10名位しか言えない。


ほぼ関係ない奴かも知れない。

身代わりの自首っぽい。


だが、これでは犯罪がない、となる。


しいていえば、組が糸を引いたタコ部屋だったかもしれないが、

こいつが、生活保護の半分は貰ったと

言っているだけ!


ただの住民の蒸発!証人はいない!


ほっとくと迷宮入りだ。


捜査を広域に拡げて、彼らを見つけなければ、名前は判明しているし、網を張れば、いつかひっかかる。


どちらにしろ、その暴力団だろう。


だが、いくつか出てきた謎のiD。


これが、あの投身自殺したAV女優の所からも出てきた。


共通点がわからない。


だが、事件に類似するiDが、出てきて、暴力団のタコ部屋話ではない気がしてきた。


IDの意味は?



あの六本木をお祭り騒ぎにした田原草子から調べることにしよう。


とにかく手がかりがない。


噂を一つ一つつぶしていくしかない。


ドラックで逮捕寸前という噂は、事実だった。

そして有名人セフレというのも、事実。

エイズという噂は嘘。


六本木のガールズバーに勤めていたのは事実。

そこで、みんなでイベントの時に撮った写真があるのだが、

2年の勤務の間で、どんどん顔が変わっている。

すでに美人だったので、最初の顔も整形後だろう。


整形マニアだったのは事実のようだ。

実際、解剖所見でも、多数回の整形痕を認める・・とある。


だが、整形医はわからない。


そもそも遺留品から保険証は出てこなかった。


というより、覚悟をしていたのだろう。

ほとんどものを整理していたのだ。


そして、ガールズバーでスカウトされ、AVに出演しブレイク。


その年、年間30本出ている。


このAVと言うのが、やはり組関係のブルーフィルム・裏ビデオから

始まっている業界だけに、一筋縄ではいかない。


警察にまともに答えるところなど・・ないのだ。


関西弁話してたという噂・・・これは本当かも知れないが、

確かめようもない。


顔も名前も変えて、スターになった女。


IDナンバーがG500-302-003-003の女。


それと、分析したDNAのデータ。


さらにAVとテレビ番組の映像データと音声データ。


船越警部は、おもむろに電話をかけた。


「そうそう・・・頭蓋骨のデータは、あるんだよ。

 これで顔を復元してほしいんだ。」 


そもそも、名前に、意味はない。

そう、警部は考える事にした。


IDにも意味はない、この屍のDNAと骨と言うリアルだけに意味を見ることにした。


鑑識の報告では、血液型はB型で、推定年齢はプロフィールより若い

20~24歳、後は、頭蓋骨などの骨。


頭蓋骨は、整形で骨も削っているが、その補正は意外に簡単で、

元来の形状の復旧作業は終わっている。


この骨をベースに、顔を復元すれは、手配写真ができる。


それを関西中心に撒けば、有力な情報も出てくるかも。


科研は2週間で、数パターンのモンタージュ写真を作り上げた。


そして、その写真はネット経由で手配写真として、各警官が見ることになる。


その際、10才15才の時のシミュレーションモンタージュも添付した。


これが、意外に注目され、関西地方中心に50件の連絡が入った。


その中で、警部の勘にヒットしたのは、

一件だけ。


兵庫県尼崎市で、7年前に、家出したまま行方不明の当時14才の中学生の女の子の報告だ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ