好きなんだ
★★
茉莉菜が俺の知らない男と楽しそうに話をしていた。
しかも俺と目があった瞬間に顔を歪めた。
そしてそのままその男と何処かへ行ってしまった。
こんなことは初めてだった。
もう、俺のことを好きじゃないのか?
その男のことを好きなのか?
絶望的だった。
いや、俺が悪いんだよな。
ちゃんと言わなかったから
自嘲気味に思う。
女々しいな。
好きと言ってくれた茉莉菜に甘えて、行動しなかったのは俺なのに、酷い裏切りに思えてしまう。
ちゃんと言おう。
今ならまだ間に合うかな?
ポケットに入った箱を握り締めて俺は走り出した。
「茉莉菜、付き合ってくれ」
その一言とプレゼントを渡すために
☆☆
最近、りょーちゃんね私が近づくと顔が強張るの。
きっと私のことを嫌いになっちゃったんだよ。
しつこく言い過ぎちゃったのかなぁ。
友達としてでもそばに居たかったけど、もう無理だよね。
りょーちゃんに嫌な思いをさせたくないから離れることにしたんだ。
まだ諦めきれてないけど近くにいたらいつまでたっても想いは消えてくれないから
でも、遠くから見てるくらい許してくれるかな?
いつか本当にこの想いを消せたら、その時はまた友達に戻りたいな。
だって大好きなんだもん。
初恋…だったんだもん。
さっきみたいに目があっただけで泣きそうになってるようじゃ駄目だよね。
りょーちゃん、私頑張るよ。
だからね、お願いだから嫌いにだけはならないで
ちゃんと友達としての好きにするから
「好きだよ。りょーちゃん…」
吐き出した言葉が風に乗って消えたように
私の想いもいつかは消えるから