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ゆっくりなペースになってしまうかもしれませんが、完結させられるよう頑張ります。
これはオリジナルです。無断転載などしないよう、お願いします。
誤字脱字等がございましたら、遠慮なく言ってください。
緑豊かな草原。
どこまでも広がるその大地。
その一部に、少女が一人倒れていた。
綺麗に伸ばされた漆黒の髪が無造作に散乱し、力無く腕や足が伸びている。
一見すれば、死んでいるのかと思うほどだ。
白く透けるような肌を風がふわりと撫でる。
――少女は閉じた瞳の奥で、混乱したように目を泳がせていた。
動かない。
目を開けようとするが、どれだけ力を入れても目蓋が持ち上がらない。
指に力を入れても、目蓋同様、動かないのだ。
まったく言う事の聞かない体に、少女の不安は増してゆく。
自分の身に、何が起こっているのだろう。
ただ唯一分かるのは、自分の体がとてつもない疲労感に覆われてるということ。
ここがどこなのか、なぜ自分がこんなにも疲れ、倒れているのかさっぱりわからない。
自分の、名前さえも――。
「っ……!!」
瞬間、強烈な目眩に襲われ意識が薄れていく。
意識が途切れる寸前、自分の体に当たる風がピタリと止まった気がした。
――次に少女が目覚めたのは、白く柔らかなベッドの上だった。