2話「FDS始動」
太陽系の惑星や、未来の地球の描写に関しては完全フィクションです。
現実とかけ離れた描写もありますので、そこはご理解お願いします。
“FDSはどうなっちまうんだろうな・・・”。
副隊長、律都の悲痛な心の叫びとともにFDSは誕生した。
「んじゃぁ、俺達のシャトルの中でも見に行くか」
龍介はそう言うと、本部の外に向かって歩き出した。
「!?、シャトル!!!。そんなものに乗れるんですか!?」
明希が興奮した声をあげる。
それもそのはずで、一般市民の宇宙旅行は、この時代ではもう100年前に流行遅れになっている。
そのうえ、最近のシャトルは戦闘用に作られていて、一般市民は乗り込めないのだ。
明希以外のメンバーは、本部の人間でシャトルは見慣れているが、明希にはとても珍しいのだろう。
「おう!明希。一緒に行こうぜ」
龍介に誘われ、明希は素直についていく。
この頃から、明希のFDSに対する不安は消え出していた。
「大きい・・・」
明希はシャトルを見た瞬間そう呟く。
実を言うと、全然普通サイズなのだが、明希にはとんでもなく大きく見えた。
「おーい、入るぞー!」
龍介の号令で、全員がシャトルに乗り込む。
“これからどうなっちゃうんだろう・・・。まぁ僕もがんばろう!!”
明希は自分の胸に小さな決意を固めた。
「おい明希、置いてくぞー!」
「あ、すいませーん!!」
“まぁ・・・なるようになるよね!”
シャトルの内部にはたくさんの部屋が存在した。
進歩した地球の技術なめんな!。といいたげなほど、無駄に凝っている。
「んで、ここがミーティングルーム」
龍介が一番大きな部屋を指して言う。
「ここが、拠点か」
律都が感心したように呟く。
「あぁ、ここでミーティングってお前・・・」
「はぁ?」
龍介が律都の方をじっと見る。あれ・・目線が合わな・・・。
「律都・・。お前、身長低っ!」
龍介の身長は平均以上だし、龍介は18歳で律都は17歳である。
ただ・・・龍介の目線だと、律都の頭頂部の一部しか視界に入らない。
さっきの自己紹介の時は座っていて気付かなかったが、間違いなく身長が低い。
しかも、異常なほど。
龍介はフォローにつまり、明希の方に視線を向ける。
しかし、龍介は余計に絶望に陥る事になった。
明希(14)の方が、律都(17)よりも身長が高いということに気付いてしまったのだ。
龍介は、哀れむような目線を向けて呟く。
「なぁ・・律都。お前の身tグハァ!」
龍介の体に急に衝撃が走り、彼は床に倒れ伏した。
気絶してピクリとも動かない。
「隊長!?」
明希が龍介に駆け寄る。
「ま、まさか・・・副隊長・・・?」
明希が怯えた声で後ろに振り向く。
そこには、右腕を振り上げた状態の律都が、殺気を纏わせていた。
「貴様・・・イマナンテイイヤガッタ・・・」
律都の赤い目が殺気で染まってる。
意外とコンプレックスだったようだ。
「今の・・・ラリアットですね。でも、普通ラリアットで人は気絶しないような・・・」
桔梗の疑問はその場の殺気によってかき消された。
3分後。(内3分間気絶)
律都特製ラリアットの悪夢から解放された龍介は、全員をミーティングルームに集めた。
「お・・お前ら・・。ミーティング・・・を・・開始す・・る」
息も絶え絶えである。
「議題は何だ?」
当の律都はけろっとしていた。
「・・・まぁいい。議題は今後の活動方針についてだ。」
全員が龍介の方に向く。このときばかりは、律都も逆らえない。
「今後は全惑星侵略を目的に動く、まずは火星に向かう。異議は無いか」
全員がコクリと首を縦に振る。
「ならいい。じゃぁ出発準備を」
「ま、待ってください!」
龍介の言葉を章が遮る。
今まで大人しかった少年の発言に少し驚きをもった龍介が尋ね返す。
「な、なんだ?」
「あ、あの・・。さっきの時に『その惑星の住民を全滅』っておっしゃっていたんですけど・・・。本当・・ですか?」
章は、酷くなにかに怯えているような声で問いかける。
「い、いや別に・・。人を武器で傷つけることが怖いわけでは・・す、すみません」
普通、章の様な年齢の人間ならば、武器で人を傷つけるなど言語両断だが、本部の人間である彼は、良い方にも悪い方にも、それに慣れてしまっていた、はずだった。
しかし、章は病人のように顔の血の気を引かせ、小刻みに震えていた。
「あぁ、それなら気にすんな、ナギ」
ナギ!?。章の渾名だろうか、龍介がつけたようだ。
「全滅なんてまず無理だ。悪意持ってそうな連中だけ倒しといて、あとは、適当に逃がしときゃあいいんだよ」
なんだか、ものすごい問題発言のようなきがするが、章はそれで安心したらしい。
「あ、ありがとうございます」
意味不明な礼を告げ、もとの大人しい少年に戻る。
「じゃぁ、出発準備するか」
「はい!!」
龍介の問いに、威勢のいい返事がつづいた。
“・・・なにすればいいんだろう”
明希は悩んでいた。
出発準備と言われた瞬間、皆が自由行動を始めたので、明希は自分のするべき行動が分からないでいた。
“誰かに聞こうかな?”
そう思い、話しかけやすそうな人を探す。
運悪く、明希と同じ歳の人間はいない。
明希は14歳であり、桔梗は15歳、零は16歳、律都が17歳で龍介が18歳である。
唯一の年下の章は13歳だ。
年上の人に畏まって聞くのも怖いので、身近にいる章に聞くことにした。
「ねぇナギ」
ナギ流行中。
「はいっ!。なんでしょうか?」
章は驚いたように振り向いた。
何をしているのかと聞こうとしたが、見ただけで状況の理解に成功する。
「剣・・・研いでるの?」
「あ、はい」
章は、自分の膝の上に短剣を乗せていた。
金色に光る派手なものである。
「着いたら使いますから・・。皆さんの足手まといにならないように・・。きちんとしたいんです」
「あれ?。ナギって医療班じゃなかったっけ?」
明希の中の医療班は、戦闘に参加せず、後方で治療作業を行っているイメージがあった。
そのため、章が剣を持ち戦う印象がなかったのだ。
「医療班でも、僕は戦闘技術も学んできましたから・・・。まぁ全然なんですけど」
「ってことは桔梗さんも戦うの?」
班員である章が戦闘技術を持っているのなら、桔梗が持っていても全然おかしくは無い。
すると、章はそれを聞かれたかったともいいたげな顔で、嬉しそうに語り出す。
「黒雨先輩も戦闘技術は持っています!。しかも、先輩はものすごい医療知識を持っているのに強いんです!。先輩に投げられる刃物渡したら、大変な事になりますよ。手裏剣、クナイはもちろん。投げナイフもできますし・・・。ダーツの矢やトランプでも大丈夫だと思います。あっすいません!。喋りすぎましたね・・・」
照れたように笑う章。彼を見て明希は一つ疑問を持った。
「ナギ、トランプは刃物じゃないよ」
章は苦笑して答える。
「まぁ刃物じゃなくても、いろんなものが切れるってことです」
章は普段大人しいが、桔梗の話になると饒舌になるらしい。
「僕は、先輩に憧れをもっています。無理でも、いつか先輩に追い付きたいんです」
静かに、確実に夢を語る章。明希はすこしうらやましいと思った。
「いつか、かなうといいね。その夢」
「あ、ありがとうございます!」
出会ったばかりの少年同士だが、2人の間には信頼関係が生まれ出していた。
しかしその後、明希は重大な事実に気付いた。
「あれ?。僕戦えない。武器ないよ」
「え・・・!?」
章はしばらく絶句していたが、やがて口を開いた。
「剛城隊長に聞くといいですよ」
と、いうことで明希は龍介の部屋にきていた。
シャトル内の個人部屋は1人1部屋である。
「ん?どうしたんだ、明希?」
「あ、あの・・・。実は・・・」
自分の武器について質問する。
質問の途中にも龍介は、武器の手入れをしていた。
西遊記の如意棒のような棒である。
「それ・・・伸びますか?」
反射的に聞いてしまった。
「あぁ。伸びるぞ、すげえだろ」
龍介が自慢げに自分の武器を見せ付けていると、後ろの人間が突っ込みを入れる。
「おい、お前。それどころじゃねえだろ」
律都も龍介の部屋にいたらしい。
2人は憎まれ口をたたき合ってるわりに、仲が良いようだ。
「あ、そういえば、副隊長はどんな武器持ってるんですか?」
明希が浮かんだ疑問を口にする。
確かに、章や龍介が武器をずっと手入れしているのに、彼は全く武器らしいものを・・?。
あ、あれ・・・もしかして・・・??。
少し前の光景が脳裏に蘇り、明希は身震いする。
“もしかして、副隊長の武器って・・・・”
すると、律都は少し困ったように、明希の質問に答えた。
「俺の武器?。あぁ武器なんて持ってねえよ」
「ってことはやっぱり・・・」
明希は呟きながら、先ほど龍介を降した右腕を見る。
目線に気付いたのか、律都は観念したような表情を見せた。
「まぁ、基本素手でなんでもやるわけだ。ただ、俺は宇宙航路の計算とかが仕事だしな。戦闘技術より、そっちが優先されるわけだ」
・・・すごい人がいる。
律都は戦闘班の人間だが、知能指数はかなり高度である。
彼の本業はそれを生かし、宇宙航路の計算をし、龍介のフォローをすることである。
ただ、この時代になると、宇宙船も自動運転である。
よっぽど難しい航路ではない限り自動で動くため、仕事が少ないのも現状であり、最近は事務的な書類審査なども担当している。
でも・・・。明希には、律都が弱いようには思えなかった。
“だって・・あの威力だもんなぁ。隊長死んでたもんなぁ・・・”
しかし、いくらあの威力とはいえ、心配なこともある。
「でも・・。他の人は武器とか持ってるのに・・大丈夫なんですか?」
いくらなんでも、簡単な武器ぐらいは持っておいた方がいいのではないか?。
「違うぞ、こいつ能力チートだから、武器なんかいらないんだ」
龍介が苦々しく呟く。
あぁ、行き過ぎた強さには、もうすでに武器とかいらないんだ。
・・・?。ってことはあの時は本気じゃないんだ。
明希が内心ビビっていると、律都が反論する。
「いや、俺そこまで強くねえよ、それにチートはあいつだろ」
そう言いながら、目線をドアの方に向ける。
「あぁ。零のことか、あいつは確かにチートだな」
龍介も納得する。
「え!?。零さんってどんな戦い方するんですか?」
明希は興味がわき、聞いてみる事にする。
「あぁ・・明希は『行き過ぎた科学』っていうの見たことあるか?」
「え?。いや無いです」
龍介の質問の意味が明希には理解できなかった。
「無いのか。まぁ地球の技術は発展しすぎた。そのせいで異常な能力を持った人間っていうのがいるんだ。その能力の研究のための人体実験の試験体とかになった奴らや、たまに生まれつき持ってるやつもいる。零の能力はそんなもののたぐいだ」
「え?ってことは零さんって昔・・・、人体j」
「黙れ」
律都が静かだが、威圧感のある声で明希の発言を止めた。
さっきのラリアットとは違う、本物の殺気が目を染めている。
今までの雰囲気が一気に変った、重い沈黙に場が支配される。
「まぁ・・明希。軽はずみな発言は良くない。こんなに律都がキレるとは思ってもなかったが」
龍介が沈黙を破らないように、小声で耳打ちしてきた。
律都の機嫌は直りそうもないので、小声で龍介が続きを話す。
「まぁ、その能力にも属性があってな。『火』とか『雷』とか『風』みたいな・・・。まぁ分かりやすいもんなんだが、零の属性は普通じゃねえんだ」
「?。どんなものなんですか」
「・・・あいつは『破壊』の属性なんだ」
龍介は目を虚空に泳がせたまま、呟く。
「『破壊』?。それってどういうことですか?」
明希の質問に、龍介は一呼吸おいて答える。
「『火』の属性は火を使い、戦闘はもちろん、仕事や日常生活にやくだてる。みたいな感じで、異常能力の持ち主たちは、その力で社会貢献を実現してるんだ。まぁそのせいで異常能力者を増やすために実験の数は増え続けているんだが・・・。ってそうじゃねえな。『破壊』の属性は文字の通りだ、零の能力は破壊にしか働かない。ってことは戦闘にしか役立たないんだ。ただ、戦闘能力になると、『破壊』属性の人間に勝るものなど、この世には存在しない。なんでも壊せるんだからな。なんでも、零は本部でもあの無表情と能力で、『破壊人形』なんて渾名m」
バン!。
乾いた音がする。
音の根源は律都だった。
彼が、机をものすごい力で叩いたのだ。
「・・・お前等、発言に注意しろ」
律都の声は、この世のすべてを呪い殺すような声だった。
小声での会話でも聞こえていたようだ。
「あ・・・すまん。確かに今のは失言だった」
龍介も素直に謝る。
確かに今の話は零に失礼である。律都は少し感情がストレートだが、零の事を想って行動したのだろう。
「あぁそういえば、明希の武器の話だったな!」
再び重くなった空気を振り払うように龍介が声を張り上げる。
「あ・・あ、はい!」
明希も我にかえったようだ。
「おい、明希。お前にはとっておきの武器があるからな!」
そういうと立ち上がり、龍介は、奥から箱を取り出した。
「これは?」
「開けてみろ」
明希は恐る恐る箱を開ける。
そこには・・・。
二丁拳銃が収まっていた。
黒の銃身がとても輝いている。
普通の銃とは、なにかが違うと思わされる銃だった。
「こ、これが、僕の武器?ですか?」
「あぁそうだ、なかなかだろう」
龍介は誇らしげに言う。
明希は嬉しさに感動しながら、龍介に問いかける。
「あ、あの・・・もう1つ頼んでもいいですか?」
「ん?もしかして物足りないか?」
「いや・・・」
「取説ください」
こんにちは、蒲沢公英子です。
更新が遅すぎてすいません。
実は、先に晴嵐を書きたかったのですが、行き詰りました。
なので、しばらくこっちで現実逃避を・・・。
とのことで、FDSはこれから、更新を続けていくことになります。
3話を早めにお届けできるといいなぁと思います。
これからもFDSの面々を応援してあげてください。
次回予告
ついに火星に到着!。
FDSのメンバーは各々の実力を発揮し、火星の軍勢を倒していく。
しかし、そこに怪しい女の影が。
その女の捜索に、明希と律都があてられて・・・。
「Force that defends space」3話「FDS到着」
明希達の運命とは!?。




