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14話「新メンバー参上っ!!~後編~」

「・・・次の行き先って天王星なんでしょう?なら、あの人大変だねぇ」


曽羅の言葉は明希を怯ませるのに、十分な威力を持ち合わせていた。

明希は一瞬黙ると、まだ曽羅に怯えている様子で、恐る恐るきり出した。

「・・・曽羅・・それどういうこと?・・あの人って誰なの?」

すると曽羅は驚いたように目を見開く。

「え!?知らないの?僕ですら父さんに教えてもらったことなのに」

「!?僕・・・何も知らない・・・」

明希が驚き、自信なさそうに反論すると、なぜか曽羅は爆笑しはじめた。

「ぷっぷぷっぷぷぷははははっはあああははは!!」

「何で笑うの!!」

さすがにそれには明希も強い反抗の色を見せる。

「だっっ・・だって・・ぷははっ・・明希って面白いね!!」

勝手に笑いだした曽羅に圧倒されている間、明希は黙りこくるしかなかった。

しばらく待つと、まだヒーヒー言っているが曽羅の笑いが収まったようだ。

「結局どういう意味だったの?」

明希が曽羅に改めて聞き返すと、今度は曽羅は笑わなかった、しかし、彼は解答から少しずれたことを話した。

「あーあ、折角『新メンバーは、本部のスパイだった』フラグを立てようと頑張ったのになぁ。君は僕みたいな人でも普通に情報くれって言うんだね。それってメリットもあるけど、デメリットがすごく大きいと思うんだけど」

「へ?どういうこと?」

明希がキョトンとすると、曽羅は漫画だとガシャーンという字が出そうな勢いで椅子から転げ落ちた。


「おい、律都。あとどのくらいだ」

操縦室、龍介と律都は今後の事について話し合いを続けていた。

「まだかかる。遠いからな」

「だろうな」

残る星のなかでも、2番目に遠い星。正直まだ時間がかかるらしい。

すると、龍介は少し黙る。そして、そろそろ複雑な航路に入るため、航路の計算を始めた律都の背を見つめた。

“こいつ、あんな複雑な計算をこんな簡単に・・・・知能指数どうなってんだよ”

龍介の言う通り、律都は常人が見たら頭痛がしそうな計算式をスラスラと解いている。

“しかも、俺数字アレルギーだから余計頭痛がああああああ。頭痛ええええあああああああ!!”

・・・よくこんな仕事やってるよな、俺。

しかし、龍介自身は知っていた。律都に“お前頭いーな!!”と軽い気持ちで言ってはいけない事。

律都の並はずれた知能指数は、天性の才能ではないこと。

「・・?おかしい」

律都が眉間にしわを寄せる、彼が見ていたのは己の出した解答だ。

「どうしたんだ?律都」

隊長が聞き返す、すると、律都は不機嫌な声で呟いた。

「・・・合わねえんだよ、答え」

そう言われて、龍介は律都の答えを覗き込んだ。

「い・・いや・・もうこれでいいんじゃね?」

龍介は少し引きながら、律都をなだめる。

彼にとって見覚えの無い記号がつらつらと並んでいたからだ。

「いや、駄目だ。・・・やり直す」

律都がきっぱりと言い張ると、今まで立てた式をすべて消す。

その表情には、なにかに追い詰められている色が見えた。

“・・・こいつは計算ミスったりしねえ。やっぱり追い詰められてるか・・・”

龍介は苦い顔をしながら、焦っている律都を見つめた。


場所は明希の部屋に戻る。

椅子からおちた曽羅が回復すると、心配した様子を見せる明希をみて、もう一度笑った。

「だから、明希!!僕のことは気にしないで、椅子から落ちたぐらいで人死なないから!」

「100%?」

「・・・・・」

2人の間に気まずい沈黙が流れると、曽羅は思いついたようにきり出した。

「あ、あの人って今だに気になってる?」

「うん、気になってる」

明希に真顔で即答される、すると、曽羅はやっと解答を教えてくれた。

「鏡谷副隊長」

呟いた言葉は明希を再び驚かせた。


龍介は操縦室で今も計算を続ける律都を見ている。

これまでに、律都は3回ほど計算を失敗しており、見ている龍介も不安だが、当の本人もかなり疲れている。

「・・・すまない」

4度目も答えが合わず、律都は5度目の挑戦に入る。

“もう、やめさせた方がいいかもしれん・・・でも、今日中に航路が計算できねえと、間に合わねえ。でも、この状態の律都を見ると、今日は駄目だ”

「おい、もうやめろ、身体に毒だ」

龍介の声に律都が振りかえる。

いつもならここで“指図するな”“黙れ”などの言葉が返ってきてもおかしく無いのだが、今回は違った。

「・・すまん。そうさせてもらう」

律都は珍しく龍介の指示に従うと、自室に戻った。

“さすがに、律都でも耐えれないか、自分の星を侵略することは・・”


「なんで、副隊長が?」

明希が聞き返す。

すると、曽羅は笑みを潜め、だれも語らなかった真実を語る。

「明希、FDSがどういうチームか知ってる?」

「え?地球の領土拡大のためのチームじゃないの?」

それは、明希がさっき隊長に頼まれ曽羅に教えたことだ、それを何故聞き返されたのだろう。

しかし、次の言葉が明希の意識を激変させた。

「FDSの本当の姿はね、他の星の出身者の集まりなんだ、そして目的は、他の星をその星の人間によって占領することによって、本部ちきゅうの力を見せ付けることと、異星人の地球追放」

自分が知らなかったFDSのもう一つの側面に明希は驚愕に包まれた。

「って言うことは、零さんやナギが自分の星の占領にあたったのは偶然じゃなくて・・」

「そう、父さんが無理矢理行かせたに近いよ。本部あいつらにとってあの人達が戦いで命を落とすか、自分の親しい人間に刃を向けた罪悪感から起こる精神崩壊、どちらが起こっても好都合だから」

本部の生々しい現状を語る曽羅、明希はただ唖然とすることしかできなかった。

「次の天王星は鏡谷副隊長、零さんやナギくんは君の知ってる通り、残りの桔梗さんも剛城隊長もいずれ順番が来る」

「桔梗さんも隊長も!?」

明希が聞き返すと、曽羅は悲しそうに返した。

「・・・・」

明希が沈黙のなか1人で葛藤していると、曽羅の声色が変わった。

今までの悲しい声色では無く、決意の色だった。

「明希!僕、父さんの隣で色々見てきたけど、この考えには賛成できない!無理矢理自分の大事な人を奪わせるなんて、だから僕はFDSの人達が全員無事に帰ってこれるように、本部の、父さんの思惑通りにならないようにしたい!だから明希、手伝って!」

明希は考える、こんなこと言っている曽羅も本部長の息子だ、なにか企んでいるかもしれない、しかし、明希が黙ったのは一瞬だった。

「うん!分かった。僕もそれは許せない!協力するよ」

「ありがとう!」

2人は握手を固く交わした。

「ところで曽羅」

「何?」

明希の疑問に曽羅は首をかしげる。

「曽羅は何処の星の人?」

明希は真顔で聞いてきた、すると、曽羅はぷぷっと笑いながら答えた。

「僕は純粋の地球人だよ、そういう明希は?FDSに選ばれたんでしょ?」

すると、明希の顔色が変わる、疑問の色に。

「確かに・・・。僕は純粋な地球人なはずなのに。なんでFDSに入ったんだろう?」

「えっ!?知らないの?」

曽羅は驚いたように聞き返した、知っているものだろうと思ったのだろう。

「うん、僕は知らない・・・・でも、きっとどうにかなるよ!」

明希が満面の笑みで返してきた。

「明希って意外と適当だね」

「へ?」

「いや、なんでもない」

曽羅はぷいっと横を向くと、明希はキョトンとした。

そして、その様子を見た曽羅は再び爆笑したのであった。


「お?もう終わったのか?」

律都が去ったあとの操縦室。

そこでは、律都の代わりに零が航路の計算を完成させていた。

「助かった。今日は律都の奴、駄目そうだったから」

龍介は零が計算した資料を受け取る、そして珍しくため息をついた。

「はぁ・・・。どうするべきか」

龍介がため息をつくなんて、今まで無かったかもしれない。

しかし、零は無表情のまま、その発言を無視した。

「おい、無視かよ。まぁいいけどさ」

軽いノリで伸びをしながら自室に向かおうとした龍介は、ふと足を止め振りかえった。

そして、零の光の灯らない目を凝視すると、真剣な声で呟いた。

「お前、本当にわかってるか?」

龍介の問い、その声には今までに無い重さがあった。

「・・・律都のことは頼んだぞ」

零はしばらくの間黙っていたが、急に龍介に背中を向け、操縦室から出て行った。

「さて、零の正体でも見せてもらうか、あいつが人間なのか、人形なのか」

龍介は誰もいなくなった部屋で1人呟いた、その表情は期待と不安が混じった複雑なものだった。


さまざまな思いの交錯するなか、天王星に着くまであと少し・・・。


次回予告。

新生FDSは次の目的地へ。

曽羅の意味深な発言など気になることはあるが、FDSは天王星の侵略へ!

次回「Force that defends space」15話「Development city Uranus」

久しぶりに奴が動き出す!?

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