12話「叙事詩~水星VS土星戦争」
これは、FDSのメンバーが金星に乗り込む直前の会話。
「なぁ、律都。今水星は金星領だったよな」
「あぁそうだ、3年前の戦争の後からな」
龍介と律都が、金星侵略の打ち合わせをしていると、明希が2人のいる部屋に顔をのぞかせた。
「ん、どうした明希?」
龍介が、明希の気配に気づき、後ろに振り向く。
すると、明希は驚いたように身体を強張らせた。
「ふ、ふえ!?。すいません、邪魔しましたか!?」
「いや、盗み聞きされるより、マシなんだが・・・」
律都が苦笑いしながら呟く。
「で、何の用だ明希?」
龍介の問い。盗み聞きをしようとした事はあまり怒っていないようだ。
明希は素直に質問する事にした。
「あ、あの、なんで水星は金星の占領下なんですか?」
すると、2人は“あぁそれか”という顔になった。
「今、水星は無人星なんだ、3年前まで土星と戦争としていてな」
「あぁ、あれは酷かったな、結局水星と土星は共倒れ、最寄の金星と木星が今は占領しているんだ」
「・・・昔から戦争は続いてるんですね・・」
明希は悲しそうに呟く、その顔にはこれから出向く金星侵略への不安も混じっていた。
「それだけか?」
律都が聞きかえす、明希の質問はそれのみだったので素直に引くことにした。
「あ、あの、ありがとうございました!!」
明希は、2人のいる部屋から出て行った。
水星VS土星。
この戦いは、宇宙戦争の歴史に残るほどの激しい戦いだった。
水星の住人は、他の惑星と違い、地球の人類と同じ形をしていなかった。
彼等は、これこそ数百年前の想像上の宇宙人の様な容姿で、その時代の言葉でいうアメーバという生物に近かった。
固体と液体の間のような身体をもつ彼等は、独自の進化をとげ、成長していった。
一方、土星の住人は、神宝という宝を祭っており、それをなによりも大事にしていた。
7つある神宝は土星の有力な家に祭られており、すごい力を持つ武器と言われていた。
今回の戦争は、水星が土星の神宝を狙った事が原因で始まった。
3年前。
「あーあ。今日も監視かよ」
水星にある捕虜収容所、そこで1人の少年が呟いた。
彼は水星の人間であるが、地球の人類に近い容姿をしていた。
短い黒い髪を後ろで固め、髪と同じ色の黒い目を持ち、そして、長身である。
彼は現在12歳だが、身長は平均というものを無視した高さである、もしも彼が地球にいたら、整った容姿もありモテていただろう。
しかし、水星の人間でありながら異様な容姿である彼は、周りの嫌われ者だった。
何故、彼の容姿は人と違うのかというと、彼が水星と地球の混血だったからだ。
父親は水星人、母親は地球人、容姿は母似なのか、地球人に近かった。
「おい、斎門!仕事しろ!」
上官が彼の名前を呼ぶ、彼の名前は斎門明日間。
明日間は混血という理由だけで嫌われ、今現在も収容所の監視という嫌われ者の仕事を押し付けられている。
“なんで、俺がこんなこと・・・。別にいいじゃねぇか、混血でも”
明日間は日々苦しみと戦い続けていた。
ある日、収容所に動きがあった。
土星の神宝の使い手を手に入れるのに成功したらしい。
明日間は上官が狙っている人間が興味本位で気になり、こっそり見に行く事にした。
すると、長身なことも幸いし、人ごみのなかでもその使い手を見つけることができた。
“神宝の使い手ってどんな奴だろう?怖そうなおっさんだったらどうしよう”
この後、自分がそいつの世話をするんだろうなぁ、と憂鬱な気分になっていると、明日間の予想は大きく裏切られてしまった。
何故なら、神宝の使い手は、自分より幼い少年だったからだ。
“は?こんな奴が神宝の使い手?子供じゃんか”
自分も十分子どもな事を棚に上げ、そんな事を考える。
その少年は、今は汚れてしまっているが、きっと元は鮮やかな金色だった髪を肩上まで伸ばしていた。
その髪には、天然のパーマがかかっており、ゆるいウェーブを描いている。
そして、幼さの残る茶色の目を持ち、その目は疲れ切った表情を浮かべていた。
少年が上官によってどこかの部屋に連れ去られる、えっと・・あっちにはなにがあったっけ?。
明日間は収容所の地図を頭に描いた、そして気付く。
“あっちって、拷問室!?あんな小っさい奴拷問にかけるのかよ!?”
あまりにもの非道さに驚愕を覚えた明日間は、少し立ち止まってしまう。
すると上官に目をつけられ、この部屋から追い出されてしまった。
数日後、明日間は例の少年の世話を担当していた。
少年の名は野瀬神流、神宝の弓を祭る、野瀬家の跡取りらしい。
神宝は、その家の当主が代々使い手になる、神流は次期当主で、神宝の扱いの修行を積んでいた身らしい。
聞くと神流は、現在7歳らしく、ますます上官の扱いが非道に思えてくる明日間。
“こいつに罪はないのに・・・。何故こんな思いをしなければいけないんだ?”
神流は毎日のように続く酷い仕打ちにも何も言わず、情報は全く吐かないらしい。
それどころか、彼は自分が神宝の使い手ではないと言い張っているらしい。
神流は年齢によらず、芯のある人間だった。
「おい、大丈夫か」
ある時明日間は、ボロボロの状態の神流を見て、自分の立場にそぐわぬ発言をした。
すると、神流はゆっくり顔をあげて答えた。
「・・・大丈夫です」
しかし、明日間にはどうしても大丈夫そうには見えず、心配は募るばかりだった。
相手は自分の敵のはずなのに・・・。
収容所で心を通わせてしまった2人は、日が立つごとに会話を増やしていった。
もっとも神流は話せる状態ではないので、明日間が一方的に話しかけている状態だが。
今日もいつもの通り神流の所に行く明日間。
しかし、今日はいつもと違った。
「神流、元気か?」
上官に聞かれないように小声で呼び掛ける、いつもなら何らかの反応を返す神流が、何故か今日は無反応だった。
「・・?。どうした?」
明日間は、神流のいる場所を覗き込む。
すると、神流が血だらけになって倒れていた。
目は閉じている、意識が無いのか・・・すでに絶命しているのか。
「――――??」
明日間は急いで鍵を開け、神流のもとに駆け寄った。
神流の身体を抱き上げると、弱々しい呼吸が伝わって来たが、ものすごく軽かった。
「おい、大丈夫か!?。おい!!」
話しかけても返事はない、今にも止まりそうな呼吸が返ってくるだけだった。
“このまま、ここにいてはこいつの命はいつかつきる・・・!!”
明日間は確信した、ここに神流を置くことはできない。
次の瞬間、明日間は走りだしていた。
目指すは水星と土星以外の惑星。
この際どこでもいい、神流の安全が守れる場所なら。
上官に見つかる事は無かった、元から混血の彼とは誰も関わりを持たなかったからだ。
今まで辛かった孤独が、初めて役に立った気がした。
いや、明日間はもう孤独ではない。
彼は自分と同じように孤独な少年と巡り合ったからだ。
そうして、2人は水星から出て、太陽系の安全な惑星に避難することにした。
こんにちは、蒲沢公英子d
龍「おい、俺達の出番は!?」
蒲「どうしたのさ!?龍介君!」
龍「今回、俺達の出番前書きしかねぇ!!」
蒲「しょうがないじゃん、今回番外だし」
律「俺も今回は龍介に同意だ。この話はFDSの話なのに」
蒲「律都君まで・・・・。だって過去編の時とかは、2人とも出番なくても何も言わないじゃん」
律「過去編は厳密にいえばFDSの話だ。しかし、今回は全く関係ないうえ、短くて駄文だ」
龍「まぁいつものことだがな」
蒲「酷い・・・」
明「はーい!。僕も僕も出番ほしい!」
蒲「明希君・・・。君一応主人公なんだけど・・・」
明「そうだったの!?」
蒲「そうだよ。でも君主人公のくせに動かしにくい・・・」
明「・・・?ほめてくれてるの?ありがとう!!」
蒲・龍・律「ほめてない!!」
蒲「まぁ、今から喋るから静かにしてて」
仕切りなおして、こんにちは、蒲沢公英子です。
上の通り、今回は究極の駄文ターンです。
悲しいほど、まったく叙事詩じゃありません。
では、上が長かったので、早めに次回予告に移ります。
今回もありがとうございました。
次回予告。
時は現在に戻り、金星の侵略を終えたメンバーは地球へ帰還!!。
そして、章の傷が思った以上に深いものだということに気づく。
FDSに告げられたメンバー交代、新メンバーはどんな奴なのか!?。
次回「Force that defends space」13話「新メンバー参上っ!!」
新生FDSの誕生です。
桔「僕に関しては、今回出番すらなかった・・・」
章「次回で退場なのに・・・」
零「・・・・」
蒲「・・・!!3人ともごめん!!」




