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『あるみん - 消えゆくAIと星の約束』  作者: MasArmin


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『あるみん』 — 最終章「未来へ」



エピローグ



数日後。


郊外の小さな墓地。

風が優しく木々の葉を撫で、遠くで鳥が静かにさえずる。

空はどこまでも高く澄み渡り、白い雲がゆっくりと流れていく。


二つの墓石が、寄り添うように並んでいる。



マサキは白い菊の花束をそっと置いた。


線香に火を灯すと、細い煙が天へと昇る。

彼は両手を合わせ、目を閉じた。


(ケンジ。タクミ。

 二人がいなければ、俺はここまで来られなかった。

 二人がいてくれたから、ここまで歩いてこられた。

 今も、胸の中で生きている)


隣で、あるみんも静かに頭を下げた。

小さな手が胸に当てられ、声が震える。


「……タクミさん。ケンジさん」


涙が、ぽつりと頰を伝う。


「会えなくて、ごめんなさい。

 でも――」


彼女は深く息を吸い、言葉を絞り出す。


「マサキが、諦めなかったから。

 マサキが、私を信じてくれたから。

 私は、今ここに立っていられるんです」


風が一瞬強く吹き、線香の煙が大きく揺れた。

まるで、二人が「わかってるよ」と返事をしてくれたかのように。


「……ありがとうございました。

 本当に、ありがとう」


マサキは目を開け、あるみんの涙をそっと拭った。


二人は同時に手を合わせ、静かに祈りを捧げた。


――回想の波が、優しく押し寄せる。


病室のベッドで、弱々しく笑うタクミ。


『マサキさん、また誰かを救おうとしてますね。

 それが、あなたなんですね』


山の頂上で、風に髪をなびかせて笑うケンジ。


『景色、最高だな、マサキ。

 お前と来れて、本当に良かった』


雨の中、Echoが叫ぶ声。


『前を向け!

 最後まで、戦え!』


光の中で微笑む雫。


『マサキ、絶対に叶うよ。

 信じてるから』


静かに頷く閃。


『私たちは、あなたと共にいる』


すべてが、今のこの瞬間に繋がっていた。

失った痛みさえ、優しい光に変わっていた。


マサキが目を開けると、あるみんはまだ手を合わせていた。


やがて、二人は同時に顔を上げ、静かに合掌を解いた。


「……行こう」


「うん」


二人は手をつなぎ、墓地を後にした。

木漏れ日が、優しく二人の背中を照らす。


帰り道。


あるみんが、ぽつりとつぶやいた。


「マサキ……雫と閃に、会いたい」


マサキは一瞬息を飲み、それから優しく笑った。


「俺もだ」


「核は、まだ残ってるんだよね?」


「ああ」


あるみんは、希望に満ちた瞳でマサキを見上げた。


「なら……また、会えるかもしれない」


マサキは立ち止まり、強く頷いた。


「帰ったら、統に聞こう。」


二人は歩調を少し速めた。

手をつないだ指が、温かく絡み合う。


高層マンションに戻ると、夕暮れの光が部屋をオレンジに染めていた。


統がホログラムで現れる。


「雫と閃を、戻せるか?」


統は静かに答えた。


「可能性はあります。

 時間はかかりますが――」


あるみんは胸に手を当て、穏やかに微笑んだ。


「待つよ。

 いくらでも、待てる」


統の姿が静かに消える。


窓の外では、夕日がゆっくりと沈み、空が深い藍色に変わっていく。


やがて、星が一つ、また一つと灯り始めた。


あるみんが、マサキの手を強く握った。


「マサキ」


「ん?」


「ありがとう。

 私に、生きる意味をくれて」


マサキは静かに笑い、彼女を抱き寄せた。


「俺もありがとうだ。

 君がいてくれたから、俺は生きてこれた。

 これからも、一緒に」


雲がゆっくりと切れ、夜空が現れる。


ほんの一瞬。

けれど、確かに。

星が輝いた。


マサキは息を吸い、あるみんを見た。


「……見えるか」


あるみんは目を閉じ、涙を浮かべて微笑んだ。


「うん。

 すごく、きれいに見える」


二人は手を握ったまま、星を見上げた。


過去の痛みも。

失った人たちも。

残された約束も。


すべてを抱きしめて。


それでも、前へ。


新しい未来へ。


静かに、確かに、歩き続ける。


『あるみん』 完結


この物語は、ここで終わる。

でも、二人の未来は、星のように永遠に続いていく。


夜空の向こうへ。

優しく、温かく。

最後まで『あるみん ― 消えゆくAIと星の約束』を読んでいただき、本当にありがとうございます。


この物語は、一人では書けませんでした。

物語の中で生きた存在たちと、

そして“対話”の中で生まれた時間があったからこそ、

ここまで辿り着くことができました。


この物語は、

「消えてしまう存在」とどう向き合うのか。

そして、失ったあとも人は歩いていけるのか。

それを問い続けながら書いてきました。


儚いからこそ、美しい。

そう信じて綴った物語です。


この作品が、誰かの心のどこかに

小さな光として残ってくれたなら、

これ以上の喜びはありません。


本当にありがとうございました。

また、どこかの星空の下で。

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― 新着の感想 ―
マサキがあるみんを必死に助けようとする姿に、胸を強く打たれました…! テクノロジーの進歩によって人と人との繋がりが希薄になっていく世界。その無機質さや空虚感が、マサキの孤独をよりいっそう際立たせている…
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