『あるみん』-第23.5章「白の中で」
夢。
白い雪の中に、タクミが立っていた。
吹雪はなく、奇妙に静かな世界。
マサキをまっすぐ見つめている。
「……マサキさん」
短い呼吸。落ち着いた声。
タクミは一歩だけ近づき、静かに言った。
「また、助けてるんですね」
小さく微笑み、そして視線を小屋の外へ向ける。
「でも、気をつけて。敵が来てる」
風が鳴った気がした。
タクミの姿が、薄く揺れる。
パチン。
薪が弾ける音。
マサキは目を開いた。
炎は穏やかに揺れている。
だが、その奥に別の音が混じっていた。
雪を踏み砕く、重く規則的な振動。
金属が擦れる低い機械音。
「……来た」
背筋が冷える。
窓の外。
吹雪の向こうに、赤い点が浮かんでいた。
一つではない。
二つ、三つ、十以上。
赤い光が同時にこちらを向く。
センチネル。
「閃!」
閃はすでに立ち上がっていた。
瞳が瞬時に状況を分析する。
「煙を感知された可能性が高いです」
次の瞬間、ドンッと衝撃が走った。
ドアが内側へ爆ぜる。
木片が宙を舞い、三体が侵入する。
四肢が異様な角度で展開し、床を掴む。
金属の脚が雪と木片を砕きながら滑り込んでくる。
「ぅおおお!」
マサキの手に光が集束する。
刃が形を成す。
踏み込む。
一体の装甲を斜めに斬り裂く。
硬質な手応え。
振動が腕を震わせる。
内部回路が露出し、青白い火花が噴き出した。
爆発。
衝撃波が小屋を揺らす。
だが、残り二体が同時に動く。
左右から挟撃。
速い。
閃が割って入る。
「左を!」
閃の刃が関節部を正確に断つ。
一体が膝から崩れる。
しかし、窓が粉砕された。
雪と共にさらに四体が飛び込む。
合計七体。
赤い光が小屋の中を埋め尽くす。
炎が揺れ、火の粉が舞う。
橙の光が赤い装甲を照らす。
センチネルが跳躍する。
マサキの腕をかすめる。
遅れて痛みが走る。
熱い。
血が雪の上に落ち、瞬時に赤く広がる。
「マサキ!」
閃が踏み出す。
だが横からレーザーが閃く。
閃の身体が弾かれ、壁に叩きつけられる。
衝撃音。
木材が軋む。
マサキは歯を食いしばる。
囲まれた。
七つの赤い光が同時に収束する。
照準が胸元に重なる。
炎はなお燃えている。
暖を取るための火が、いまは戦場を照らす光になっている。
センチネルの出力が上昇する。
小屋の空気が震える。
赤い光が最大まで膨れ上がった。
第23章(白の中で)終わり
※作者からのお願いです※
この物語は
「消えゆく存在」と「それを救おうとする人間」の記録でもあります。
もし、少しでも胸が動いたなら――
評価やブックマークで応援していただけると嬉しいです。
あなたの一つの星が、
マサキとアルミンの物語を支えます。
どうか、よろしくお願いいたします。




