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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

とこのここもどこ

作者: 010
掲載日:2025/12/19

とこ、とこ、とこ……

私は口ずさみながら歩いていた、

楽しい思い出を頭に浮かべながら。

特に何の意味もない遥か彼方に憧憬を抱きながら、

歩いていた。

ここは、夢の中なのかもしれない。

ふわふわした揺れの中を歩いている。

遠くから聞こえる海の音、しかし私の心は晴れそうもない。


私はここにいる経緯に意識を飛ばした。


私は友達という友達がいなかった。いや、もしかしたら私から遠ざけていたのかもしれない。

やけに大人びた口調に態度、話しかけられても子供らしくない話しか出来なかった。

家が厳しく愛情より愛の無い叱咤を浴びて育ったからだろう。正直、品行方正にはほとほと疲れており、かと言って誰かに話せるわけでも本当の自分を思い出せる……いや、今更知り得る訳でもなく生きていた。

しかし、周りのクラスメイト達はイジメをする事は無かった。きっと大人びて得体の知れない私が怖いのだろう。

何をしようにも平々凡々で、家に帰っても勉強をする以外の事が無い退屈な毎日だった。


しかし、ある日皆の前から私は消えた。限界だったのだ。年頃の子供が輪に入れず馴染めず、常に感じる疎外感に耐えられていた事の方が奇跡だと思う。

その日から私は部屋に鍵をかけ閉じこもる様になった。毎日、朝晩の2食部屋の前にご飯が置かれ、人の気配が無くなってから部屋に取り込み食べ食器を廊下に戻しそれ以外は寝るだけの毎日が始まった。

私はこれといった趣味もなく、テレビもニュース以外見た事ない子供だ。だからなのか、ゲームをしたり、漫画を読んだりしたいと言う考えも全く出てこなかった。そもそもやる為の道具も無いし、親にも頼めないと言う理由の方が大きい気もする。

しかし、私はすごい開放感があった。閉じこもっているのに開放感とはおかしなものだが、何かこう初めて親にしっぺ返しをできたように感じたのだ。

そんな私が閉じこもり始め、周りも私が閉じこもるのが当たり前だと感じ始めた頃、ふと家の中に人の気配を感じた。

両親が共働きで、今はどちらも家には居ないはずなのにだ。慌てて連絡用のLIN〇とスマホの機能制限アプリ以外目立ったアプリは入っていないスマホで、親にLIN〇を飛ばした。

私は電話をするとバレてるのがバレる可能性があるため、LIN〇にしたのだ。

親からは急いで帰ると一言あり、あれでも私を心配する親ではあるのかと思った。

その後しばらくして、その気配が私の部屋の前に止まった。家の中で唯一鍵のかかった部屋である私の部屋だ。その男が金目のものがあると勘違いして私の部屋に狙いを定めたのだろう。

「ガチャリ」

と、思いの外容易に解かれた私の部屋の鍵。

そう、そしてすぐ私は見つかってしまったのだ。

私は、男に何かしらの睡眠薬のようなものを嗅がされ連れ出されてしまった。


数時間後、私の両親が帰ってきた。

私の部屋の扉は開け放たれ、閉じこもる前と私がいない事以外さほど変わらない私の部屋を見て両親は泣き崩れた。

すぐに警察に捜索願いが出されたらしい。

しかし、警察の調査の結果、私の部屋にピッキングの後や、争った形跡が無いことから身内の犯行が有力であるとされ、親のタンスから隠すように置かれていた私の部屋の鍵が見つかり、両親が重要参考人として任意同行された。

だがその後、どちらも証拠不十分であると見なされ、すぐ解放された。

でも、両親は引越しを余儀なくされた。そう、私の住んでいた地域では私の両親は娘を殺害し、それを誘拐に見せかけ隠したのだと噂が流れていたのだ。

さらには、引っ越しても引っ越しても、その噂が消えることは無く。2人一緒に私宛に遺書を残し自殺したのだ。




その事を耳にし、私は高笑いが止まらなかった。



私の復讐は私が閉じこもる1ヶ月前から始まった。

私はまずスマホの制限をすり抜けるため、ブラウザを使用し外部と通信するサイトから、協力者を募った。

対価は私の身体だ。変態(ロリコン)の多い日本のネット社会、すぐに食いつく人が数人居た。

その中でも意欲的に私の計画を完遂してくれそうな人を選んだ。

その人としばらく連絡を取り計画を練り、1ヶ月が経過した。

まず、しばらく閉じこもり、私が閉じこもる事に慣れさせる時間を設けた。

その間私は、両親の行動周期を把握する事に徹した。

そして、両親が私が家にいる環境に慣れ、私は2人とも外出する日を待った。

そんな計画の日、協力者の男には私が内側から鍵を開け侵入の手伝いをした。

そして、親のタンスに私の部屋の鍵を隠すように置き、親にLIN〇を送り既読が付くのを待ってから、男に連れ出してもらった。

最後に、ネットで両親を吊し上げ、引越し自殺に追い込んだ。

これで復讐が完了した。



私は男に対価として身体を自由にして良いと言おうとした。

その直後、私は男に本物の睡眠薬を嗅がされ、起きた時には船に連れ込まれる寸前だった。

男は私をふわふわと揺れる船底に放り込むと扉に鍵をかけた。

私の身体は人身売買の商品として売られたのだろう。


復讐は成功した。

私の身体などどうでも良かったはずだった。


しかし、私の心は晴れなかった。


思いの外早い親の既読、思いの外早い親の帰宅、私が居ない事に気付いて泣き崩れる様、私宛の遺書……

本当は復讐を始めてから暫くして気付いていた、親から愛されている事に。

しかし、復讐が始まった以上、中断する事が出来なかった。

その愛に気付かないふりをしていた。


この船の浮遊感が本当に夢ならばどれほど良かっただろうか。



私は……私も泣き崩れた。

子供のように初めて声を上げて泣いたのだ。自分を大人だと思ってた。周りの子供とは違うと思ってた。

ただの大人びた子供と気付くには遅すぎたのだ。


今は親に謝るよりも、会いたい気持ちが強くなっていた。



お母さん、お父さん、ごめんなさい。




こどもココの事 (こどもここのこと)

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