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【書籍化決定】転生処理ミスで貧乏貴族にされたけど、錬金術で無双します!~もふもふとお金を稼いで家を救います~  作者: 空月そらら
第一章

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第57話 赤く輝く水晶と、最後の試験

最初に水晶玉の前に進み出たのは、あの、黒髪の剣士の少年だった。

 

彼は緊張した面持ちで、ごくりと喉を鳴らすと、覚悟を決めたように、水晶玉にその手を触れる。


「――うおおおおっ!」


雄叫びと共に、彼が全身全霊の魔力を振り絞る。

 

水晶玉が、ぼんやりと、光を灯し始めた。

 

その光は、次第に、強くなっていく。

 

そして水晶玉の光が、ふっと、鮮やかな青色に染まった。


「――Bランク。合格だ。次」


試験官の、淡々とした声。

 

少年は、はぁ、はぁ、と荒い息をつきながらも、その顔には、安堵と、そして、ほんの少しの悔しさが入り混じった表情を、浮かべていた。


次に進み出たのは、金髪の聖女風の少女。

 

彼女は優雅に微笑むと、まるで祈るかのように、そっと、水晶玉に手を触れた。

 

すると、どうだろう。

 

何の力みも感じさせないのに、水晶玉は、あっという間に穏やかで、しかし、力強い赤い光を放ち始めた。


「――Aランク。合格。次」


彼女は当然という顔で、優雅に一礼した。

 

すごい。


あの穏やかな雰囲気のどこに、あれほどの魔力が……。


そして、三番目。

 

紫色の髪をした魔術師の少女が、ふんと勝ち誇ったように、鼻を鳴らしながら前に出た。

 

彼女が、自信満々に水晶玉に手を触れた、その瞬間。


――閃光。


今までとは、比べ物にならないほどの、強烈な光が、部屋中を満たした。

 

その色は、深く、そして、気高い紫色。


「――Sランク。見事だ。合格。次」


会場が、わずかにどよめく。

 

当の本人は、当たり前、という顔で、私にちらりと挑戦的な視線を、送ってきた。


そして、ついに、私の番。

 

私は、ゆっくりと水晶玉の前に立つ。

 

深呼吸を、一つ。

 

大丈夫。


私なら、できる。


私はそのひんやりとした表面に、そっと、手のひらを触れさせた。

 

そして、錬金術で鍛え上げた精密な魔力コントロールで、体内の魔力を、荒れ狂う奔流ではなく、静かで、深い、大河のように、ゆっくりと水晶玉へと流し込んでいく。


私の魔力に、呼応して、水晶玉が輝き始めた。

 

その色は、どんどん濃くなっていく。

 

青を、超えて。

 

そして聖女の少女と同じ、鮮やかな、赤い光がホールを照らし出した。


「――Aランク。合格だ」


試験官の言葉に、私はほっと胸を撫で下ろした。

 

どうやら、私の魔力も中々のものだったらしい。

 

こうして、私たち四人全員が、第二試験を、無事に突破した。


試験官からの説明がされる。

 

「二次選考突破、ご苦労だった。最終試験は、場所を変えて行う。ついてこい」


詳しい話は、転移会場で聞かされるとのこと。

 

そして、私たちは移動を始めるのだった。


 ◇ ◇ ◇


魔法館を出て、私たちは学園のさらに奥にある、特別な場所へと案内された。

 

そこは、地面に巨大な魔法陣が描かれた、ドーム状の建物。

 

転移の間だ。


そこで待っていたのは、新たな試験官だった。

 

鋭い目つきの男で、空間魔術師らしい。


彼は無言で私たち一人一人に、小さな黒い石を手渡す。

 

そして、低い声で告げる。


最終試験――実戦総合演習を行うと。


私たちは試験用の《結界森》へ転移させられるらしい。


そこには三色の《魔力オーブ》が隠されているとのこと。


色は赤、青、そして紫。


今日の夕暮れまでにすべてを発見し、持ち帰ること。


それが合格条件。


オーブは浮遊し、自己防衛機能を持つという。


破壊するには魔法、もしくは魔力を込めた攻撃が必要だそうだ。


三つすべてを入手したら、今渡された《転移石》を使ってここに戻る。


さらに森にはDランク以下の魔物も徘徊しているらしい。


命の保証はないため、危険を感じた場合は、リタイアで、転移石を使用し即座にここへ戻る。


そして、お互い受験者同士での戦闘や、魔力オーブの奪い合いは固く禁じられているという。

 

もちろん、試験会場全体には魔法監視が張られているらしい。


説明が終わると、試験官は私たちの健闘を祈るように告げた。


「では、健闘を、祈る。――試験、開始!」


試験官が、そう告げた瞬間。


足元の魔法陣が、眩い光を放った。

 

その声を最後に、私の体は、光の奔流に飲み込まれていく。

 

視界が真っ白になり、体が分解されて、再構築されるような、不思議な感覚。


そして、次の瞬間。


私の足は、ふかふかの土の上に立っていた。

 

鬱蒼と、生い茂る木々。

 

不気味なほどの、静けさ。


「……最後の試験が、始まったんだ」


遠くから、低く、唸るような魔物の咆哮が聞こえてくる。

 

私唇の端に、不敵な笑みを浮かべる。


どんな困難が待ち受けていようとも。

 

私は絶対に、この試練を乗り越えてみせる。

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