表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化決定】転生処理ミスで貧乏貴族にされたけど、錬金術で無双します!~もふもふとお金を稼いで家を救います~  作者: 空月そらら
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/85

第49話 盾となる家

「君は……あの、誰よりも実直だった、ライド・フォン・アーベント殿の、娘御なのだな」


二人きりになると、公爵は、静かな声で、そう切り出した。

 

その瞳には、どこか、懐かしむようなそして、悔いるような複雑な色が、浮かんでいる。


「はい。父の名を、ご存知で?」

 

「無論だ。彼は、かつて、国王陛下に、最も忠誠を誓った、気高き騎士だった。……そして、我がラスール家とも、親交が、深かった」


私は、驚いて顔を上げた。

 

そんな話、聞いたこともない。


「エリス嬢。君と、君の家族が、なぜ、今あのような不遇な暮らしを、強いられているか。その理由を、君はどこまで知っている?」

 

「……父が、アルバ公爵の、罠にはめられ、反逆者の、濡れ衣を、着せられたから、と」


私がそう答えると、公爵は、苦しげに顔を歪めた。


「……その通りだ。五年前の、あの政争。アルバは、実に巧妙に罠を張り巡らせた。我々、ラスール派もライド殿の無実を、信じてはいた。だが、アルバが提示した、捏造された証拠は、あまりにも完璧すぎたのだ」


公爵は、拳を強く握りしめる。


「我々が、下手に動けば、それは、王国全土を巻き込む、内乱へと、発展しかねなかった。多くの、罪なき民の、血が、流れることになる。……我々は、動けなかった。ライド殿を、見捨てるしかなかったのだ。臆病者だと罵られても、仕方あるまい」


彼は、私に向かって、再び、深く、深く、頭を下げた。


「君の父君を、そして、君たち家族を、救えなかったこと、このオルダス・デ・ラスール、生涯の、不覚。心より、詫びる」


私は、何も言えなかった。

 

目の前の、この、国の最高権力者もまた、この腐った貴族社会の、巨大な歯車の前では、無力だったということなのか。


「アルバは、君の存在にいずれ気づくだろう」


公爵は、顔を上げた。

 

その目には、鋭い、光が宿っている。


「ラスール家を救った、“規格外れの錬金術師”が、あの、アーベント家の娘であると、知れば。彼は、必ず君を潰しにかかる。彼の、果てなき野望にとって、君はあまりにも危険すぎる存在だからだ」


暗殺、誘拐、あるいは再びアーベント家に、罪を着せる。

 

あの男なら、どんな卑劣な手でも使ってくるだろう。


「だからこそ」


公爵は、私の目をまっすぐに見つめた。


「我が、ラスール家が、君と君の家族の、完全な“盾”となることを、ここに誓おう」


その言葉は、何よりも力強かった。


「君が望んでいるものを。無論、我が家が、全面的に後援する」


そして、彼は、続けた。


「改めて、君の父君、ライド殿とも、話をさせていただきたい。我々は、もう、逃げも、隠れもせん。アルバと、戦う時が来たのだ。……君が、そのきっかけを作ってくれた」


それは、ただの援助の申し出では、なかった。

 

打倒、アルバ公爵。

 

そのための、血よりも濃い、「同盟」の、申し込みだった。

 

私の小さな錬金術が、今、この国の歴史を大きく動かそうとしている。

 

私は、ごくりと喉を鳴らし、そして、静かに、頷いた。

【作者からのお願いです】


・面白い!

・続きが読みたい!

・更新応援してる!


と、少しでも思ってくださった方は、


【広告下の☆☆☆☆☆をタップして★★★★★にしていただけると嬉しいです!】


皆様の応援が作者の原動力になります!

何卒よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ