表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化決定】転生処理ミスで貧乏貴族にされたけど、錬金術で無双します!~もふもふとお金を稼いで家を救います~  作者: 空月そらら
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/85

第47話 秘密の終わり

私が入った部屋は、息を呑むほど豪華な客間だった。

 

高い天井には巨大なシャンデリアが輝き、壁には有名な画家のものらしき絵画が飾られている。

 

ふかふかの絨毯に足を踏み入れると、私の体は沈み込んでしまいそうだった。


すごい……このお部屋……。

 

私とポムは、場違いな感じにそわそわしながら、ベルベット張りの大きなソファにちょこんと座って、主の到着を待っていた。

 

これから、私の運命が決まる。

 

そう思うと、緊張で心臓が口から飛び出してしまいそうだった。


やがて、重厚な扉がゆっくりと開かれ、執事長のゼドリックさんが姿を現した。


「エリス様! ここにいらしたのですね! お待たせいたしました!」


彼の後ろから、ラスール公爵オルダス様、そしてギルドマスターのドルガンさんが入ってくる。

 

部屋の隅には、数人のメイドたちが控えていた。


ドルガンさんは、私の隣にどかりと腰を下ろすと、「よくやったな」と、その大きな手で私の頭をわしわしと撫でてくれた。

 

その無骨な優しさに、私の緊張が少しだけ、ほぐれる。


向かいのソファに、オルダス公爵が深く腰掛けた。

 

その顔には、先ほどまでの絶望の色はない。

 

代わりに、息子の命を救われたことへの、深い感謝と、そして、目の前の奇跡に対する、純粋な驚嘆の色が浮かんでいた。


「エリス嬢。改めて、礼を言う。君は、我が息子、ルートスの命の恩人だ。本当に……本当に、ありがとう」


公爵様は、そう言って、私に深々と頭を下げた。

 

一国の公爵が、八歳の少女に。

 

その光景に、周りにいたメイドたちも、息を呑んでいる。


「い、いえいえ! 私は、師匠から預かった薬を、持ってきただけですから!」


私が慌ててそう言うと、オルダス公爵は、真剣な目で、私をじっと見つめた。


「ルートスの容態は、驚くほど安定している。だが、まだ完全に回復したわけではない。医師団によれば、体内の魔力が正常な循環を取り戻すまで、しばらくは予断を許さないとのことだ。……そこで、頼みがある」


ゴクリと、喉が鳴る。


「君の、その素晴らしい師君を、ここにお呼びすることはできんか? もちろん、いかなる謝礼も、援助も、惜しまんつもりだ」


来た。

 

一番、聞かれたくない質問。

 

私の師匠なんて、この世のどこにも、存在しないのだから。


「え、えっと……。師匠は、その、森の奥深くに住んでいまして……。あまり、人と会うのが、お好きではない方、らしくてですね……」


私は、しどろもどろになりながら、適当な嘘を並べ立てる。

 

だけど、オルダス公爵の目は、少しも逸らされない。


「では、私が自ら森へ出向こう。どうか、師君にお会いする機会を、いただけないだろうか、エリス嬢。もちろん、この薬を、ここまで運んでくれた、君への報酬も、別に支払わせてもらう」

 

「んんー……」


額に、冷や汗が滲む。

 

どうしよう。


これ以上嘘を重ねてもいずれ、ボロが出る。

 

私が、絶体絶命のピンチに陥っていた、その時だった。


「――なあ、そこの犬っころよ」


不意に、隣に座っていたドルガンさんが、私の膝の上で丸まっていたポムに向かって、話しかけた。


「お前さん、その薬を作った、本当の主が、誰なのか、知らねぇか?」


ドルガンさんは、ニヤニヤと、意地の悪い笑みを浮かべて、そう呟く。

 

その視線が、ちらり、と私に向けられている。

 

この人、まさか……!


私は、内心悲鳴を上げた。

 

だけど、表情には、出さない。


平常心を、保つのよ、私!

 

それに、ポムが私のことを喋るはずがない。


だって、ポムは、私の、最高の相棒なんだから!


部屋にいる、全員の視線が、私の膝の上の、小さな白い毛玉に、集中する。

 

公爵様も、執事長のゼドリックさんも、メイドたちも、固唾を飲んで、ポムの反応を見守っていた。

 

ポムは、そんな視線など全く気にする様子もなく、一度、ふぁ~、と可愛らしいあくびをした。

 

そして。


「――きゃん!」


一声、高く鳴くと、その小さな白い前足で。

 

寸分の狂いもなく、まっすぐに、私のことを、ぴしっ!と、指し示したのだった。

【作者からのお願いです】


・面白い!

・続きが読みたい!

・更新応援してる!


と、少しでも思ってくださった方は、


【広告下の☆☆☆☆☆をタップして★★★★★にしていただけると嬉しいです!】


皆様の応援が作者の原動力になります!

何卒よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ