表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化決定】転生処理ミスで貧乏貴族にされたけど、錬金術で無双します!~もふもふとお金を稼いで家を救います~  作者: 空月そらら
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/85

第38話 未知なるダンジョンの入口

「はぁ……ミレイユに手綱の扱い方を教わっておいて、本当に良かったわ」


がたごとと揺れる馬車の中で、私は独りごちる。

 

もちろん運転は自分自身だ。

 

助手席では、ポムがきゃっきゃと楽しそうにはしゃいでいるけれど、私の心は不安でいっぱいだった。


一体、どこまで行かされるのかしら……。


この前のオークとの遭遇が、まだ脳裏に焼き付いている。

 

戦える力がついたとはいえ、リスクはできるだけ避けたいのが本音だ。

 

そんなことを考えていると、私の膝に乗っていたポムが、突然ピンと耳を立てて前方を指し示した。


「きゃん!」

 

「え、あっち?」


ポムが示すのは、いつもの森の入り口ではなく、もっと奥まった、鬱蒼とした木々が壁のようにそびえ立つ場所だった。

 

私は戸惑いながらも、ポムを信じて馬車を進ませる。


 やがて道が途切れ、馬車ではこれ以上進めなくなった場所で、ポムはひらりと地面に飛び降りた。


「もしかして、ここから歩くの、ポム?」


私が不安げに尋ねた、その時だった。


――ぴくんっ。


ポムの長い耳が、アンテナのように、ぴん、と立った。

 

そして、今まで見せたことのないような、真剣な顔つきになると、くんくん、と、空中の匂いを、嗅ぎ始める。


「きゃん! きゃんきゃん!」


突然、ポムが、甲高い声で、吠え始めた。

 

そして、森の奥――今まで、私が一度も、足を踏み入れたことのない、鬱蒼とした茂みの方角を、前足で指し示したのだ。


「……あっちに、あるの?」


ポムは、こくこく、と力強く、頷いた。

 

その瞳には、一点の迷いもない。


私は、ごくり、と喉を鳴らした。

 

森の深き奥は、Fランクの冒険者が、立ち入るべきではない、危険地帯だ。

 

あの、オークのような、強力な魔物が、いつどこから現れても、おかしくない。


怖い。

 

だけど――。


「……行くしかないわよね」


私は、スカートの裾をぎゅっと、握りしめた。

 

ルートス令息を、救うためには。

 

そして、私自身の運命を、切り開くためには。

 

私は馬車を近くの木にしっかりと固定すると、ポムに向き直った。


「案内して、ポム。あなたを、信じるわ」

 

「きゅるん!」


私の覚悟を、受け取ってくれたのか、ポムは力強く、一声鳴いた。

 

そして、頼もしい案内人のように、私の前をとてとてと、駆け出していく。

 

私は茨の道をかき分け、ぬかるみに足を取られながらも、必死に、その小さな白い背中を、追い続けた。


どれくらい、歩いただろうか。

 

陽が、木々の隙間から、オレンジ色の光を、投げかけ始めている。

 

私の体力は、もう限界に近かった。


その時だった。

 

私の目に飛び込んできたのは、苔むした巨大な石造りの建造物。

 

蔦に覆われた入り口が、まるで古代の獣が口を開けているかのように、ぽっかりと黒い闇を覗かせている。


「……ダンジョン?」


その不気味な佇まいに、私はおどおどと立ち尽くす。

 

すると、ポムが私の足元で「早く!」とでも言うように、きゃんきゃんと鳴いた。


「う、嘘でしょ、ポム!? 本当に入るの!?」

 

「きゃん!」


どうやら、私の覚悟はもう決まってしまったらしい。

 

確かに、貴重な素材だもの。


そう簡単に見つかるはずないとは思っていたけど、まさかダンジョンの中に眠っているなんて……。


私がためらっていると、ポムは待ちきれないとばかりに、そそくさと闇の中へと消えていく。

 

「あ、待ってよポム!」

【作者からのお願いです】


・面白い!

・続きが読みたい!

・更新応援してる!


と、少しでも思ってくださった方は、


【広告下の☆☆☆☆☆をタップして★★★★★にしていただけると嬉しいです!】


皆様の応援が原動力になります!

何卒よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ