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【書籍化決定】転生処理ミスで貧乏貴族にされたけど、錬金術で無双します!~もふもふとお金を稼いで家を救います~  作者: 空月そらら
第一章

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第15話 ポーション錬金

 あの日、初めて錬金術を成功させてから、私の毎日は、熱に浮かされたように輝き始めた。

 

 昼間は冒険者として森を歩き、薬草を採集する。

 

 夜は自室にこもり、買ってきたばかりの錬金術の入門書を、それこそ穴が開くほど読みふける。


 知識は、面白いように私の中に吸収されていった。

 

 前世で化学を学んでいたおかげで、この世界の人間が呪文や奇跡として捉えている現象を、私は「理論」として理解することができた。

 

 なぜ、この薬草とあの薬草を混ぜると発熱するのか。

 

 なぜ、特定の鉱石は魔力を増幅させるのか。

 

 その一つ一つが、私にとっては刺激的な謎解きゲームのようだった。


 もちろん、失敗もたくさんした。

 

 部屋中が甘ったるい匂いになったり、鍋から紫色の煙がもくもくと上がって、慌ててミレイユにバレないように窓を開けたり。

 

 だけど、失敗すらも楽しかった。

 

 失敗の原因を考え、仮説を立て、次の錬金で試してみる。

 

 その試行錯誤のプロセスは、前世で実験に没頭していた頃の、あの懐かしい感覚を思い出させてくれた。


 そんな日々が続いていたある夜のこと。

 

 私は、いつものように錬金術の入門書を読んでいて、ふと、ある考えに思い至った。


 私が作ったこの薬、もしお店で売ったら、どうなるんだろう……?


 今まで作ったのは、簡単な傷薬の軟膏や、肩こりに効く塗り薬くらい。

 

 それだけで、私は十分に満たされていた。


 だけど、私が今、熱心に読み込んでいるページ。

 

 そこに書かれていたのは、錬金術の基本にして王道、『治癒ポーション』の作り方だった。

 

 薬草を組み合わせて錬金し、飲むことで体の内側から傷を癒す、赤い液体の回復薬。

 

 冒険者ギルドでも、一番需要のあるアイテムだ。


 もし、このポーションを私が作れたなら。

 

 そして、それを売ることができたなら――。


 私の胸が、とくん、と高鳴った。

 

 お金が、手に入る。

 

 それも、Fランクの雑用依頼とは比べ物にならないくらい、大きなお金が。

 

 そうなれば、王立学園への入学金だって、夢じゃないかもしれない。

 

 もっと高価な、専門的な本だって、買えるようになる。


 やってみる、価値はある。


私は、ごくりと喉を鳴らした。

 

それは、私の人生を賭けた、大きな挑戦になるだろう。

 

だけど、ここで足踏みしている時間はない。


「よし、決めたわ」


私は、まずポーション作りに取り掛かることにした。

 

失敗するかもしれない。でも、挑戦しなければ、何も始まらない。


 ◇ ◇ ◇


翌日の夜。

 

私は、自分の部屋の扉に、内側からそっと鍵をかけた。

 

これで、ミレイユや家族が、不意に部屋に入ってくることはないだろう。


机の上には、昼間のうちに森で集めてきた、ポーションの材料が並べられている。


主材料は、もちろん「リリ草」。

 

それに、血行を促進し、治癒力を高める「ヒルクリンドウの根」。


「準備は、よし」


私は、ぎゅっと小さな拳を握りしめ、錬金を開始する。

 

まずは、集中。

 

深く、深く、呼吸を繰り返す。

 

意識を、自分の中にある魔力の源泉へと沈めていく。


次に、魔法陣の展開。

 

これは、もうすっかり慣れたものだ。

 

私は右の人差し指を、そっと空中に突き出した。

 

指先から、銀色に輝く魔力の糸が、するすると紡ぎ出されていく。


「万物の根源たるマナよ、我が声に応え、変容の理をここに示せ」


練習で覚えた、錬金術の基本詠唱。

 

その言葉と共に、光の糸は、空中で複雑な幾何学模様を描き始める。

 

円が生まれ、三角形が重なり、古代文字がその周りを彩っていく。

 

やがて、私の目の前に、直径三十センチほどの、美しい魔法陣が、淡い光を放ちながら、静かに浮かび上がった。


私は、ガラス製のフラスコを、魔法陣の中心にそっと置く。

 

中に、清浄な水を注いだ。

 

そして、魔法陣に魔力を通し、フラスコをゆっくりと、均一に加熱していく。


ぶくぶく、と水が泡立ち始める。

 

温度は、ちょうどいい。


「第一工程、開始」

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