表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/11

02話 道場

初めての作品です

5話まで一気に投稿します

改善点があったら全部気兼ねなく教えてください

それを踏まえて6話以降をより良くして出します

よろしくお願いします

 その後、両親と話し合った結果、俺は道場に通うことになった。

 理由は単純。何も分からず突き進むより、プロに教えてもらった方が明らかに良い。

 父の知り合いである永瀬さんがこの道のプロと言われたので、経営している道場に、しばらくお世話になることに決まり、今、そこへと向かっている。


 ガチャ。


 扉を開けると、そこには本物の“道場”があった。いや、道場じゃなきゃおかしいんだが……剣道場、柔道場、弓道場……それらを全部足して三で割らなかったような広い場所だった。

 ただ、一つだけ妙なことがあった。


 ───誰もいない。弟子も、師匠も。


「すみませーん、永瀬さんはいらっしゃいますかー?」


 問いかけた声は、見事なエコーとなって広い道場に吸い込まれていく。5分経ち、6分経っても、人の気配は一つも感じない。


(……え?ここ、合ってるよな?)


 不安になり、もう一度叫んだ。


「永瀬さーん!」

「うるさいな……聞こえてるよ、後ろにいただろ」

「うわっ!?」


 背後からぬるっと現れたのは──寝起き全開の人物。

 ぼさぼさの髪に、気だるげな表情。そして信じられないほど細い身体。


「……返事くらい、してくださいよ……」

「寝起きなんだ。耳元で叫ぶなって……」


 どうやらわざと驚かせたわけではなく、本当に今起きたばかりらしい。

 が、それ以上に驚いたのは──女性だったことだ。

 しかも、華奢すぎる。いや、細いどころか、健康診断で必ず医者に呼び止められるレベル。


「えーっと……妹さん、ですか?」


 俺が半信半疑で尋ねると、彼女はぼんやりした目をこちらに向けて、さらりと言った。


「いや、お前の父、宮田政憲の知り合いだ。そして、ここの道場の主だよ」

「え、マジで……」


 冗談かと思ったが、彼女は真顔だった。

 男女差別をするつもりはないが、想像していた「道場主」のイメージとは、あまりにもかけ離れていた。


「なんだ、私で驚いたか?この華奢な私で?」


 ……正直、驚いた。この道のプロと聞いていたが、それすらも怪しい。この俺ですら勝てる気しかしない。


「じゃあ───一本取りでもするか?先に倒れたら負け。これだったら信じられるだろ?」


 寝起きの華奢な女性 vs 超元気な男子高校生。


 負ける要素など一つもない。……と、このときは本気で思っていた。


「わかりまし──」

「よし。スタート!」


 言い終わる前に、世界がひっくり返った。

 永瀬さんの姿がかき消え、気づけば天井が視界いっぱいに広がっていたのだ。


 ──そう。一瞬で負けたのだ。


 そして、体力テストで万年Eだったことを思い出す。


「大丈夫か?」


 永瀬さんが覗き込んでくる。その瞳に、わずかな笑みが浮かんでいた。


「……信じてくれたか?」

「……はい」

「それならよかった。これからよろしくな、誠」

「よろしくお願いします……永瀬さん」


 彼女は軽く笑いながら続ける。


「タメ口でいいよ。どうせ数ヶ月したら呼び捨てするだろうし」

「……わかった、師匠」


 なるほど、そういう感じか。思ったよりフレンドリーだな。




◆◆◆◆◆


 しばらくして、俺は負け試合の余韻を引きずりながら、散らかった荷物を片付けていた。

 道場の静けさと、さっきまでの衝撃の落差がえげつない。


「……誠」


 不意に、師匠が声をかけてきた。

 さっきまで眠たげだった表情とは違い、少しだけ真剣な声。


「お前は、何になりたいんだ?」

「……何になりたいって?」

「そう。将来の夢だよ。冒険者でも、教師でも、なんでもいい」


 俺は少し考えて、口を開いた。


「うーん……トップかな?」

「トップ? 大学の?それは難しいぞ?」

「いや、世界で」

「……世界?」


 師匠の目が、わずかに細くなった。

 その瞬間、背中に風を感じた──かと思った次の瞬間。


「うわっ───!?」


 俺の身体は宙を舞い、ドンッと音を立てて床に落ちた。

 さっきよりも、ちょっとだけ丁寧な投げ技だった。

 師匠は笑って言う。


「そしたら予定は変更だ。今日から“世界を獲る”ためのメニューにしよう」


 ……あ、どうやらパンドラの箱を開けちゃったみたいだ。




◆◆◆◆◆


「ほら、もっと走れ」


 外周2キロを10周、合計20キロ。

 この無茶なトレーニングを考えたのは、もちろん俺の師匠こと永瀬さん。

 そして、そのメニューに絶対服従するかのように走らされているのが──宮田誠、そう、俺である。死にかけながら。


「む、無茶です……」

「何言ってんだ。まだ始まったばかりだろ。そんなんじゃ世界は遠いぞ?」


(......最初から世界を狙うわけないだろ)


 師匠は散歩中の犬に声をかけるみたいに、さらりと言う。

 ……いや、俺は犬じゃなくて死にかけの高校生なんだが?


「ぜぇ……はぁ……もう……無理……です……」

「まだ3周目だぞ?言っとくが、まだ3キロしか走ってない」


 ──殺す気か?

 正直、メニューもきついが、それ以上に俺自身が貧弱すぎるのだ。


「どうか……今日はこれで……」

「……しょうがない。今日はこれで終わりにするか」


 ようやく解放され、道場に戻ったところで─。


「誠、お前は貧弱すぎる」


 まさか。自分より細いやつに言われるほどムカつく言葉はない。……ただ、師匠ならしゃあない。そうやって落ち着かせるしかない。


「わかりました。では具体的にどうすれば良いですか?」

「物分かりが早いね。じゃあ、明日からのメニュー。朝に3キロ走って、腹筋50回、腕立て30回、スクワット5分間。これが基本」


 ──死んだな、俺。


「……それって、死ぬやつじゃないですか?」

「1ヶ月したら慣れると思うよ?」


 このメニューができる気がしない……。


「まあ、これができるようになると、モテるよ?」

「マジすか!?外周行ってきます!」


青春を捨てたことで女子と話す機会がなく、女子を神格化している俺は再び飛び出した。


 ──そして、30分後。


「……ただいま……戻りました……」


 全身汗まみれで這いつくばる俺を見て、師匠はただ一言。


「……根性だけはあるな」


 まだまだ先は長そうだ


最後まで読んでくれてありがとね!

ギャグ多めで楽しく書きたいと思います。

いいねと評価も忘れずに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ