008〜依頼を受ける賢者
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賢者が本格的に動き出します。
俺達は基本的に仮面を付けた冒険者二人として活動することになった。
ナミトにもその旨を伝えた。
「この仮面、何なんだ?顔全面覆うのに視界とか呼吸とか違和感無いんだけど……」
「邪神様から頂いた力で作った仮面だ。鑑定妨害がデフォルトで付いていて、魔力を通すことで認識阻害、気配減少などの隠密機能が発動する万能仮面だ。あぁ、オートで物理、魔法障壁を張ってくれるから不意打ちにも安心だ。」
ナミトはこれを聞いて一言だけ呟いて何も聞かなくなった。
「アーティファクトレベルの仮面じゃねぇか。」
ひとまずシルバードで依頼をこなして“少しばかり”名を上げるとしよう。
辺境から少しずつ勇者の活動に影響を与えていこう。
ついでにナミトの強化もしないとな。
「というわけで、何かお手頃な討伐依頼とか無いですかね?」
俺達はシルバードのギルドへ舞い戻って受付にいる。
「何がというわけなのかは分かりませんが、このギルドにおいてシルバさんへ渡せる依頼は割と高難度のモノまでは許可が出ております。同行者もナミトさんなら大丈夫でしょう。……ナミトさんも仮面をつけられたのですね?」
ナミトは肩を落としながら頷いている。
仮面の存在感はかなりあるからよく目立つというのもあるだろう。
街中でもかなりの人数に二度見されたからな。
「とりあえず滞っているような討伐依頼とかあるか?」
敵の強さに対して、戦えるランクが揃わず依頼が完遂されていないものだったり、依頼内容と報酬が釣り合わないものが大体一つや二つはあると思う。
「あぁ、停滞依頼ですね。それを最初に求めるとは……。いや、失礼しました。現在このギルドでは二つの停滞依頼が存在しています。」
受付嬢が俺達に教えてくれた依頼は二つ。
・魔王討伐場所から少しシルバードに近い鉱山に巣食う黒龍の討伐。
・とある村の防衛案を考えて欲しい
前者は勿論、鉱山といういつ崩れてもおかしくない場所で龍と戦うという難題。
なおかつ、鉱山というからには多少なり他の魔物も出るだろう。
恐らくは高ランクの冒険者が足りていない。
しかし手を出さなければ龍も大人しいので停滞している。
そしてもう一つは、村の防衛案。
村には戦える者が少なく街からも遠い。
かといって冒険者を常駐させる程の資金も無いといったところか。
まぁ、どちらも俺達にしてみれば他愛ない依頼である。
「ではこの二つとも承ろう。」
「シルバさんマジですか!?俺、龍とか無理ですけど!?」
「流石に、二人で龍の討伐に行くのは些か危険かと……」
ナミトと受付嬢が二人で反対する。
あまり心配させても悪い。
とりあえず龍の討伐は後回しにして、村の件を先に片付ける旨を伝えた。
その後にしっかり準備をしてから改めて討伐に向かうことで、ひとまずは了承を得た。
「では行こうか。ナミト修行でもしながらな」
「よっしゃ!」
ナミトには、龍とかとまともに戦えるようになってもらわないとな。
俺はあの勇者よりも才能溢れるナミトを超強化する方法を頭で考えながら、ギルドを出た。
次回は自重しない賢者が寒村に襲来!!




