071〜復讐の終わり
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勇者&女神戦 あと少し!!
何もせず、何も言わない二人に問いかける。
「心が折れたか?」
「まだよ……まだあの方と比べたら……」
「アァ、あいつはこんなもんじゃねぇ」
先程から出てくるあの方とは一体誰だ?
てっきりアルドミアがトップだと思っていたのだがな。
「俺はギアを上げる、全開だァ!!」
「私も、この世界を壊すつもりで行くわ」
ふむ、やっと本気で来るようだ。
「「頂の領域、完全化!!」」
二人がそう叫ぶと、その身体が金色のオーラに包まれる。
目も金色に輝き、明らかに空気が変わった。
流石に神と勇者らしい見た目だ。
それとは反して、カイトが持っていた禍々しい剣はその雰囲気を増した。
光と闇が混じったような、いうなれば混沌がそこに出現したような光景だ。
アルドミアも光り輝く身体とは反した闇色の四つの翼を背に生やしている。
「なるほど、相反した二つの属性をその身に宿すことでブーストを掛けているのか。そして本来であれば起きるはずの対消滅を起こさない、“完全化”ということだな」
「もうこの状態を見破るのかよ!?」
「万能と呼ばれたあの男よ?観察力とそこから答えを導く頭脳がそう呼ばれた所以よ。対応力が半端じゃないのよ。」
アルドミアからの評価が意外と高いようだ。
「まぁ、いいや……死ね」
「ムッ!」
まぁいいやまでは離れていたのに、死ねの時点ではオレの横で剣を横薙ぎに振るっていた。
その剣閃に、冥迴剣を割り込ませてガードする。
「こっちだ!」
だが、次の瞬間には逆側から斬撃がやってきた。
身体を仰け反らせてそれを回避、そこを狙ったように光と闇の光線が連射されてくる。
同じ場所に居るカイトの身体はしっかりと避けて飛んできている。
立て続けに攻撃が飛んでくる状況に、反撃の隙間が中々見当たらなくなった。
「先程とは打って変わって連携が取れている。これはお互いの意識のリンクもされていそうだな。」
反撃は出来なくても、オレの観察と思考までは止められない。
超スピードで移動する近距離戦のカイトと、中遠距離から必中の光線やらを放つアルドミア。
確かに厄介だな。
こちらが反撃しそうなタイミングも読まれているようだ。
「この速度と連携攻撃まで躱し続けるのかよ……化物め」
このままでは埒があかないようだ。
こちらに攻撃は当たらないが、攻撃も出来ない。
ここで使うつもりは無かったが、身体も暖まってきた。
頃合だろう。
「第三段階“解放”」
「は?」
「えっ!?」
この二人の全てを真っ向から否定した上で、潰す。
それが復讐だ。
第三段階のオレもオーラを纏う。
その色は太陽のような色である。
赤から黄、橙と変化し続けるオーラ。
オレは超スピードで動くカイトと全く同じ動きをする。
向きは逆向きなので鏡のようにオレは動いているのだが。
「何なんだ!!テメェェ!!」
吼えるカイトに、オレは何も答えない。
アルドミアから飛んでくる光線にも、全く同じ威力の光線を飛ばして相殺していく。
「ウソでしょう!?」
さて、こちらの速度を上げていこう。
ほんの少し、カイトを上回る速度にする。
「っっっざけんな!!俺より早いとかありえねぇから!!」
カイトも合わせて加速する。
多少無理はしているのだろう。
少し苦しげな表情だ。
カイトを相手にしながら、アルドミアにも出力を上げた光線を放つ。
相殺するどころか、貫通してアルドミアへと迫る。
「っ!?」
アルドミアも出力を上げざるをえない。
「ハハハッ!!自分達が上だと、オレを上回ったと思ったか?」
オレは更に速く、強くする。
「俺が、俺だけが最強なんだよ!!何なんだテメェェェェ!!」
「私は神の一柱!!人間の分際で調子に乗るなぁぁぁぁぁ!!」
カイトもアルドミアもそれに負けじと奮起する。
だが、それももう限界が近いようだ。
二人共、息が上がり始めた。
速度も出力も上がらない。
まだ負けてないと思っているのか、食らいついてくる。
そろそろ心を折ろうか。
戦いの最中に言葉を投げつける。
「言ってなかったが、この第三段階の強さはまだ先がある。コレでも手を抜いているんだ。」
「ふざけるなぁぁぁぁぁ!!」
「うぁぁぁぁぁぁぁ!!」
絶叫する二人。
それと共に、速度も出力も一瞬だがその時点でのオレを上回った。
終わりだな。
「………残念だったな」
オレの剣がカイトの両腕を切り落とし、魔術がアルドミアの四肢を穿ち抜いた。
目から光が無くなり、崩れ落ちる二人がオレの目にハッキリと映った。
あと少しでオレの復讐は終わる。
復讐を終えるクロムは何を思うのか……。
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