069〜再会
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光の奔流が収まったそこには化物は存在せず、復活する兆しもなかった。
「どうにかなったみたいだな。」
ジルベールさんがほっと一息ついて肩の力を抜いた。
何度も復活をする巨大な化物とやりあうなんて少し前の俺では考えもつかなかった。
俺も一息付きたいが……親父がまだ警戒している。
アミナもやたらと周りを見渡している。
「何か……いる……」
「え……?」
気配も何も無いが、アミナがそう告げる。
その時だった。
「うぐぁ……!!」
ジルベールさんが地面に倒れ込んだ。
駆け寄ろうとした俺も、身体が急に重たくなり膝を付く。
地面に吸い付けられるような感じだ。
ふと目線を向けると、親父もアミナも地面に手を付いて耐えている。
何だこれは……?
「やっぱり現地産のやつらはダメじゃねぇか!!」
少しずつ地面に引き寄せられる力が強くなっていく中、声が聞こえた。
そして俺達の目の前に、唐突に三人の人物が現れた。
その中の一人は知っている。
勇者カイトだ。
「斥力、重力、光学迷彩、気配遮断、こんなん使わなくても雑魚ばっかりだぜ!?」
勇者カイトが下品に笑いながら叫ぶ。
上から押さえつけられるような力も加わり、地面に這いつくばるようになってしまう。
「あの御方のお言葉は絶対だ。敵の総力は未知数だ。それに、二人は違和感を抱いていた。」
「全力で潰せ、との仰せよ。カイトもあの方の力を貰ったのだから従いなさいよ。」
カイト以外に男女が一人ずつ。
地面に押さえつけられている俺達はその声を聞くことしか出来ない。
言っている言葉の意味も分からない。
「結局、俺を呼び出したはずの女神とか言われてるアンタだってそのザマっていうのはどうなんだよ!?ミア……いやアルドミアぁ!」
女神……がいるのか……?
重圧が増して意識が飛びそうだ。
「フン、私にすら勝てないカイトが吠えても何とも思わないわ。いいからそこのヤツから始末していきなさいよ」
「チッ!!」
マズ……い……やら…れ……る。
「オイオイオイオイ!コイツはドラゴンじゃねぇか!?あの時やりそこねたヤツがここにいるなんてなぁ!?」
アミナの所に勇者が……。
そして俺にも足音が近づいてくる。
もう、目も、開けていられない。
………そして、
「ーーーやらせるわけないだろ?」
意識を失うその瞬間に聞こえてきたその声は、安心感がある声だった。
ーーーー
オレが戦場に立った時、ナギ、ナミト、アミナ、ジルベールは既に殺される寸前だった。
地面に這いつくばるようになっている四人。
地面に“引き寄せる力”と、空から“押し出す”力の二つがかかっているようだな。
「第一段階“解放”」
俺は感情の力を扱うのを段階分けにした。
一気に解放するよりも、一つずつの方が負担が少ない。
「お前らごときに、やらせるわけないだろ?」
アミナの近くにいた勇者の顔面をぶん殴り、ナギを殺そうとしていた女神も顔面を蹴り飛ばし、ナミトを潰そうとしていた、殺されたはずの元勇者パーティーの聖騎士アストンをぶん投げた。
よく考えれば、聖騎士の名は神聖国の名付けだったと思い出した。
勇者パーティーは半分が女神の手先だったわけだ。
そして、その一人であるアストンは殺されていなかったということ。
「テメェェェェ!!クロムぅ!!」
カイト(バカ)が顔を押さえて叫ぶ。
もう少し強く殴っても良かったかもしれないな。
「会いたかったぜ、カイト。アストンは久しぶりだな。」
「クロムか。厄介なヤツが間に合ってしまったか……」
アストンは苦々しい表情ながらも淡々と告げる。
「指定転移」
オレはノーモーションでダウンしている四人を後方の騎士団達の下へ飛ばす。
これで一安心だ。
「あんたまた天罰を食らいたいわけ?」
アルドミアも戻ってくる。
ちゃっかり顔は回復しているようだ。
カイトはまだ治っていないが。
とりあえず憂さ晴らし……もとい、復讐をさせてもらうぞ。
「そうだな……まずはアストン。“大地封監”」
「何っ!?」
お前はとりあえず動くな。
アストンを岩の球体に閉じ込める。
「固有結界“夢幻世界”」
俺を中心に、一時的に外界から隔離された世界を作り出す魔法。
一気に広がった世界はカイトとアルドミアを飲み込んだ。
「コレは何なの!?」
「クロムゥゥゥゥ!!」
クズ二人が叫んでいるが……
「さて、復讐を始めようか!!」
ついニヤけてしまう顔を隠さず、両手を広げた。
さぁ、復讐を始めよう。
クロム参戦!!
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