066〜蹂躪
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ナミト&アミナ参戦!!
戦争はアルハバードと神聖国の間で始まったってアグニさんは言っていた。
クロムさんから貰ったアルハバード付近の拠点へ、転移する。
アルハバードの方向は分かっている。
「アミナ、全力で駆けるぜ!!」
「了解だよ!!」
「「龍力解放!!」」
龍族は体内に魔力とは違う力を持っている。
それを解放することでさらなる力を扱えるようになる。
そして、龍と契約をした者も龍とのパスが繋がれ、同じように龍力を扱えるようになる。
と教わった。
緊急事態だ。
真っ直ぐに進ませてもらうぜ!
俺達は森を文字通り真っ直ぐに突っ切る。
目の前に生えている木々はへし折って行く。
森を抜け遠目にアルハバードと争いの場所が見えて来た。
龍力で視力すら強化している。
「ナミト!!敵の方、化物みたいなのが大量にいるんですけど!?」
俺にも見えた。
「アレはヤベェ!!並の兵士じゃ蹂躪されるだけだ!」
いや、既に蹂躪されていると言っても間違いではない。
化物が突っ込んだところでは人が空中に飛ばされている。
「まずはあそこを援護する!!」
「オッケー!!」
俺達は更に加速して戦場へ急ぐ。
ーーー
神聖国の兵士なんて所詮神頼みの寡兵のみだ、なんて言っていた公爵様は一人でやってきた女にあっという間にやられた。
その前から神聖国軍の攻め方はおかしかった。
自爆する特攻兵や巨人まで出てきた。
応援でとんでも無い装備の騎士が来てくれてなんとかなったけど。
アレはアレでおかしいとは思った。
そして今は公爵様を倒した女は何処かに行ってしまったが、指揮官が居なくなったということで場は乱れ、部隊は混乱している。
そんな時だった。
獣のような声が遠くから聞こえて、その方向から砂埃が立ち始めた。
「敵襲ー!!敵襲だ!!化物みたいなのが攻めてくるぞ!!迎え撃てぇー!!」
とりあえず暫定で指揮をし始めた者がいる。
だが俺を含め、兵士達は物見が見た化物というのがよくわからなかった。
巨人だって十分化物だった。
だが、敵が近づいてきて理解した。
あれは化物だ。
巨人ほどではないが大きな身体を持ち、狼の様な顔で口元は大きく裂けて涎を撒き散らしながら突っ込んでくる。
「応戦しろ!!」
誰かが叫んだ。
「ウワァァァァ!!」
「ーーが食われた!!」
「た、助けてぐぼぁ!!!」
敵が襲来してからは地獄絵図だった。
目の前で一人、上半身が食われて無くなった。
目の前で一人、空高く投げ飛ばされていった。
目の前で一人、鋭い爪で切り裂かれて肉塊になった。
そして今、目の前に………化物がいる。
萎縮して何も動けない。
叫ぶことも逃げることも出来ない。
頭だけはクリアに思考が出来ている。
化物が大きく口を開けて俺を目掛けて食おうとする。
俺も殺されると感じ、辛うじて目を閉じることだけ出来た。
……………?
痛みも何もない?
恐る恐る目を開けると、目の前にいた化物は首を失い倒れていて、周辺の化物も次々倒されていく。
「黒い鎧に赤い刀……?誰だあれは?」
少し離れた所で戦っている戦士が見えた。
化物を一体倒すと、一瞬ですぐ近くの化物に肉薄している。
「誰だか知らないが、助かった……」
その場でへたり込んでしまった俺はもう、戦えない………。
ーーー
俺とアミナは全速力のまま、戦場へ突入した。
全ての人を救えるとは思っていない。
一人の兵士を食べようとしているやつの首をすれ違いざまにぶった斬る。
返す刀ですぐ近くのヤツを斬る。
その勢いのままもう一体の胴体を薙ぐ。
アミナは素手で敵の顔面を殴って爆砕している。
武器を持たないアミナの方が殲滅力は高い。
時折、蹴り技で胴体に風穴も開けている。
「さすが龍族って感じだなっと!!」
俺も負けていられない。
「電光雪華!!」
背面から焔を吹き出したように加速する。
俺達が戦場に介入して、数十分で一つの陣営に来ていた化物集団は全滅した。
「次に行くぜ!!」
「私はもうちょっと本気を出すね!!」
アミナはそういって背中から龍の翼だけを現す。
部分龍化だ。
一部分だけでも龍化させることで、その身体能力を引き上げ龍に近づける。
やはり質量の問題で人化しているときよりも龍の方が強いらしい。
そうして俺達は次の戦いへ突撃していった。
「なんだったんだアレは………」
一人の兵士が呟いた言葉は、俺の耳には聞こえなかった。
一般の兵士には化物でも、ナミトやアミナに取っては取るに足らない程度です。
神聖国※勇者と女神 は王国の特記戦力を舐めています。
そして次回、とうとう三人が、出会います。
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