061〜不死身と残光
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ジェイル戦開始!!
ジェイルとの距離はまだ離れているというのに、その手にある槍の切先は俺の喉を目掛けて飛んでくる。
「ちっ!なんて射程だ……」
俺もその攻撃を風斬で受け流し、前進する。
「疾走れ、風斬」
俺は相棒とも呼べるその刀の銘を呼ぶ。
次はこちらの番だ。
流水十剣の一つ……
「そんな長い獲物で受けきれるか?乱流」
足捌きで動きに緩急を付けてあらゆる方向から斬りかかる剣技だ。
今はクロムの装備でその速度が更に上がっている。
「なんだこりゃ!?あちこちから攻撃がきやがる!!こいつ速ぇな!?」
勘が良いのか、上手いこと俺の攻撃を受けるジェイルだったが、何箇所かに斬撃を受けた。
「うっとおしいなぁァ!!」
ジェイルは槍を大きく振り回して周囲を大きく薙ぎ払う。
「静動」
俺はその槍を弾き飛ばして、一瞬呆けた様子のジェイルの右腕を肩から斬った。
「ガァァァァァ!!てめぇ、やりやがったな!!」
「戦いだろう?殺るか殺られるかの世界だ。右腕で済んで良かったな。」
落ちそうになる肩を押さえながら、苦痛に顔を歪めて叫ぶジェイルに俺は辟易する。
この手のヤツは自分に自信があるから、やられると逆上する事が多い。
「俺だってやり返すぜ!!」
ジェイルは槍を持った“右腕”を振るった。
「何だと!?」
迫ってくる槍を再び受け流して、一度距離を取る。
何故切り落とした筈の肩が繋がっている!?
「不思議そうな顔だなぁ!」
楽しそうに見下すような笑みを浮かべるジェイル。
「最初に言っただろう!人呼んで不死身の男だと!!」
まさか首を斬っても死なないとか言わないだろうな……。
「ハハハッ!!お前の体力が無くなる前に、俺を倒せるといいな!!」
叫びと共に、またしても遠い射程から槍が振るわれる。
そう言われたら試してみたくなるじゃないか!
無力化出来れば良いと思っていたが、それは不可能なようだ。
「静動、瞬転」
槍の攻撃を弾き硬直させる。
その間にヤツの背後へ回り、その首を狙う。
「うぎっ!!」
横一閃。
風斬の刃がジェイルの首を斬った。
だが、ジェイルは落ちそうになった首を両手で固定してまだ立ってこちらを見ている。
「危ねぇ危ねぇ!!ホントに速ぇぇなお前!!」
なんてやつだ……。
首を落とされても喋って動いてやがる。
「さぁて、まだまだやろうぜ?」
「面倒なやつだな……」
次はもっとバラバラにしてやる。
この装備の最大速度を見せてやろう。
白金の装束に魔力を流し、強化を最大限発揮して移動する。
クロムはこれを『残光』と言っていた。
「行くぞ」
俺はその場に光を残して移動する。
相手が気がついた時にはもう後ろにいる。
「マジ……カ……よ……」
「流水十剣の発展形……残光乱流」
超高速で移動しながらの剣技だ。
首、両肩、両膝の計五箇所を切り落とした。
バラバラになったジェイルの身体はその場に崩れ落ちていく。
「両手も使えなければくっつけることも出来んだろ?」
「アァ……痛ぇなぁ……アンタみたいな速度のヤツは初めてだ。でも………」
「……!?」
ジェイルの声の後、耳障りな音と共に、両腕と両足を失った胴体から新しい手足が生えてきたのだ。
その新しい手で首を持ち上げてまた繋ぎ直してしまった。
「どういう原理だ……?」
もう訳がわからない。
くっつけなくても生えてくる。
細切れにでもしないと駄目なのか?
「ハハハハッ!、まだ俺を倒すには足りねぇな!」
「化け物め……」
結局、ジェイルは元に戻ってしまった。
「俺もお前には、手も足も出ねぇけど……お前も俺を倒せねぇ」
ジェイルは大げさに手を広げ笑っている。
無限に復活出来るやつなどいるものか……。
何度でも斬ってやろう。
俺の全力を使ってでも。
このシーン書きながら頭の中では『何度でも蘇るさ!!』って言っている人がいました。
さて、ナギはどうするのか。
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