052〜燃えよ怒り
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エリックの条件とは………。
エリックがオレに出した条件は一つ。
「俺と……と…と…友になってくれ……ないか?」
少しうつむき気味でギリギリ聞こえるくらいの声だった。
「は?いや、まぁ、構わないが。」
思わず聞き返してしまったが直ぐに返事をする。
本当にそれが条件か?
「本当か!?」
グワッと音が聞こえるくらいの勢いで迫ってくる。
あ、コレは本気のやつだな。
そんなに目をキラキラさせないでくれ、少しでも疑ったオレの心がやさぐれているように感じてしまう。
「やった!これでアルティアのやつに馬鹿にされないで済む!!」
ガッツポーズまでして喜ぶエリックを見て、本気でコイツ達に教えを請えばいいのか不安になった。
後、アルティアにシェリアを任せたのは間違いだったんじゃないかと思う。
「まぁ、オレも友人は多い方ではない。これからよろしくなエリック」
本当に親しい友人なんてナギと勇者以外のメンバーくらいだ。
まぁ、一方的にオレに親しくしてきた、ナミトとは違う自称弟子なんてやつもいたが……。
「クロムウェア、いやクロムでいいか?」
「あぁ、それでいい」
「よしクロム!じゃあ友人のこの俺が感情の力のコントロールを伝授しようじゃないか!」
満面の笑みを浮かべて嬉しそうにするエリックを見て、喜の力の持主だと理解した。
何かあると問題になるからと、神殿から離れた森の中まで移動する。
魔族ってやつは第一印象と本性が違いすぎるな。
「というか、クロムはパッと見た感じでは優しそうな印象なのに、怒の力を持っているなんて分からないものだな。」
若干、ブーメランだった。
確かにオレは今まで生きてきて、あまり怒ることなどはなかった。
だがそれは勇者に殺されてから、変わった。
勇者と女神には強い怒りを持っているし、自分の力が足りず届かなかった時など自分で自分が許せなかった。
心に怒りの炎が灯る。
「それだクロム。思考の中で怒りを燃え上がらせながら、湧き上がる力を抑え込む。俺なら感情の炎で身体を包み込むイメージでやってる。アルティアは圧縮するとか言ってたな。ディオス様は……分からん……あの人は説明が下手だからな。」
人によってコントロールの仕方が違うのか。
やってみよう。
目を閉じ思い浮かべる。
あの時、シェリアを助けられず女神の攻撃から逃げることしか出来なかった無力さを。
『人レベルの魔法が今の私に通用するわけ無いでしょ?』
『これが天罰よ』
『この街ごと吹き飛びなさい。じゃあねー』
「女神……許さねぇ………」
身体の中心が熱く感じるのは気の所為では無いはずだ。
その熱を、怒りを強く燃え上がらせる。
心から溢れ出した炎が全身へ広がる。
周囲へ飛び散りそうな激しい炎が身体を包むイメージ、表面に留める。
だが、その思いとは裏腹に炎は暴れ回り、熱が身を焦がす。
「クロム、感情を抑えろ!心を落ち着かせるんだ。」
目を開くとエリックがオレから少し離れた所で叫んでいる。
オレの立っている場所を中心に地面がひび割れている。
心を落ち着かせると言っても、どうすればいいんだ……?
怒りは収まらないし、魔力も暴走寸前だ。
焦りが生まれる。
「過去に心が安らぐような出来事はなかったか?それを思い出せ!!」
心が安らぐ事……。
『クロムなら大丈夫!』
シェリアの声が聞こえた気がした。
自然と怒りは鎮まり、魔力も落ち着いていく。
「それだクロム。落ち着かせる事と感情を高めること。それを繰り返し、慣らしていく。いずれ自然にコントロールが出来るようになる。」
シェリアの存在がオレを助けてくれる。
そう思えた。
クロムにとってシェリアの存在はかけがえのないもの。
怒りにも安らぎにもなってます。
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