049〜魔力の壁
閲覧ありがとうございます!!
ディオスVS闇堕ちクロム 続きです!
何だ?
何が起きた?
ディオスの言葉で音が消えた。
ディオスの口が動いているから、何か話しているとは思うが、何も聞こえない。
魔力の流れが見えなかった。
これが神の力か。
少しディオスから距離を取らなければ……
そう思って足を動かした時、違和感があった。
足の感覚が無い!!
いや、これは……触覚を失っているのか!?
地面に足を付いている感覚が無く、バランスを崩してその場に尻餅をついてしまった。
五感を失っていくのか………?
聴覚を失い、自分の言葉すら聞こえない。
恐らく、味覚と嗅覚も既に失われた。
残すは視覚のみ。
ディオスの瞳がオレをずっと見つめている。
魔力はまだ使える。
ディオスは魔力の枷と言っていた。
しかしディオスには魔力が残っている。
枷を外すとはどういうことだ。
ちっ……徐々に左目が見えなくなってきた。
全身に魔力を巡らせる。
その流れを速くする。
魔力感知を最大発揮して触覚の代わりにする。
オレは目を閉じ集中する。
魔力を五感の代替にすればいい。
更に魔法で動きを補助する。
『魔導人形劇』
本当は無機物を魔力で操る魔法だが、自らを操る。
まだだ。
まだ魔力を速く巡らせろ。
今のオレなら耐えられる。
魔力が空気の振動を読み取り脳へ伝達。
「………その魔力の動き、まだ諦めないか?クロムウェア・ウォーロード」
よし、感知した。
魔力探知の光景を脳へ伝達、目に投影したようにする。
大地、大気、そしてディオスの位置を把握。
視えたぞ、ディオス!!
筋肉の動きすら魔力で探知して身体を動かす。
オレは再び立ち上がり、ディオスへ顔を向ける。
目は瞑ったままだ。
「五感を奪われてもまだ立ち上がるか……そして我を見るとは。貴様は異常だな。常人であれば五感を奪われた時点で意識を失う。」
魔力で空気を振動させて声を作り出す。
『オレはこんなところで倒れるわけにはいかないからな』
更に……更に魔力を加速させる。
「………?貴様、何をしている?」
ディオスもオレの魔力を探知したか?
魔力操作を全て全神経の操作に回しているから攻撃の魔法は使えない。
だったら近づいてぶん殴るまでだ。
『行くぜ』
オレの足元の大地が爆発する。
「おぐぁ………何だと……」
オレの拳はディオスの腹にめり込んでいる。
オレの足はさっきの移動で折れた。
右腕も今ので折れた。
魔力で動きを強くしすぎた結果、身体が付いていかない。
かといって諦めはしない!!
『ハァァァァァ!!』
折れようが砕けようが関係無い。
痛覚も既に無い。
オレはディオスを高速で殴り続ける。
「ぐっ!……がはっ!!…………く……マジ……バニッ……」
ディオスの手がオレへ触れようと伸びてくる。
おっと、危ない。
手が触れる前にディオスの前から離脱する。
恐らく、マジックバニッシュメントと、言ったのだと思う。
魔力を消滅させられては困る。
「瞠目せよ」
『何っ!?』
あれだけ殴られたディオスが、平然と立っている。
その瞬間、オレの魔力が全て霧散し五感が、戻る………。
「ぐぁぁぁぁぁぁ!!」
全身の骨が折れている痛みが、オレを絶叫させる。
そしてその叫びで更に痛む。
「何故貴様が正気を保ったまま感情の力に狂っているのかは分からんが、神の力には勝てんよ。魔力に頼っていては魔力の壁は超えられん。枷は外れん。神の力を手にしたいのだろう?全てを怒りで塗りつぶせ。」
「うぐ………なに……を……?」
痛みで思考がロクに働かない。
ディオスの言葉の意味を考えることも出来ない。
少しずつ意識が遠のいていく。
「ディオス様、クロムは痛みで言葉の意味を理解出来ていないのですよ。」
ディオスとは違う声がした。
「アルティアか………」
「クロムは一度休ませましょう。その後に、またーーー」
オレの意識はそこで途絶えた。
魔力での戦いしか出来ない今のクロムでは、神の力を扱えるディオスには勝てませんでした。
人間としてなら闇堕ちしたクロムは最強格です。
「面白い!」「楽しい!」「続き気になる!」とか感想あれば応援も兼ねてぜひよろしく!
【▼良かったら下部の☆から評価もしてね!▼】




