048〜覚醒
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暴走中のクロムとディオスの戦いです。
実に心地が良い。
身体の奥底から湧き上がってくる闇の力が、気分を高揚させる。
「クロムウェア・ウォーロードよ。感情に支配されるな。感情を制御し支配するのだ。」
何を言っているんだ?
オレの力の源は怒りだ。
「支配なんてされちゃいねぇよ。怒りの感情なんて少しも湧いてこないからな」
怒りの感情なんて何処にも感じられない。
どちらかといえぱこの力を振るう楽しさが大きく前に出ている。
「………ここでは建物を無駄に破壊してしまう。場所を移そうではないか。」
「あぁ、いいぜ。オレはどこでもな。」
ディオスの転移で開けた荒野に移動する。
「ここなら邪魔も入らん。」
「じゃあ行くぜ?」
オレは一瞬で魔法を構築する。
今まで使ったこともない魔法が、頭の中に次々と浮かんでくる。
まずは、螺旋回転しながら周囲を溶かしながら燃やし貫く魔法。
「獄炎螺旋槍!!」
「ぬぅ!これほどの魔法を一瞬で作り出すか!」
ディオスは魔力の盾で飛んでくる獄炎の槍を空へ弾き飛ばす。
周りへの被害を考えた上だろう。
だが、まだまだ行くぜ。
闇、炎、水、雷、地の五属性で龍を形作る。
それぞれを操りディオスへと放つ。
「五源龍砲」
魔導師が何人も揃って行うような、緻密な魔力制御が苦もなく行える。
使っても使い切れない膨大な魔力が溢れ出す。
様々な魔法の知識が湯水の如く、脳内に浮かび上がる。
「何なのだ!?その力は!!感情を制御したとて、そのレベルに到達するには長い時間と鍛錬が必要だ!!」
五つの龍を捌きながらディオスは叫ぶ。
「知らねえよ。あの部屋で自分の闇を取り込んだらこうなったんだ。」
「闇を取り込む………?ちっ!!この龍は厄介だ。我も少し楽しむとするぞ。スクエア・バニッシュメント!!」
ディオスの周囲に魔力の四角い壁が出来る。
その数は五つ。
壁のそれぞれにオレの魔法が当たり、消滅した。
壁は未だに健在だ。
「相殺したのではなく消滅させたのか。」
あの魔法を相殺するには回数制限か、消費魔力の制限があるはずだ。
まずは数で攻める。
「極・流星群!!」
ディオスに向けて、炎を纏った隕石を大量に落とす。
「数で攻めようがこの魔法は破れぬよ」
頭上に魔法壁を展開したままディオスが向かってくる。
接近戦をお望みのようだ。
接近戦でも数で攻めるぜ。
「幻想騎士団!」
クリスタルのような水晶で出来た騎士たちが数十体程、整列して出現する。
ある程度の自律思考魔法を付与しているから、勝手に連携してディオスに迫る。
ディオスの上と周囲を数で埋めた。
「ウル・バニッシュクロウ!!」
巨大な手が出現し、横薙ぎに払われると騎士達は消滅する。
ディオスの魔法は消滅に特化しているのか。
当たったモノを問答無用で消滅させる魔法なんて規格外だな。
「だが、解析したぞ。その魔法の力。」
ずっと見ていれば魔力の動きが分かる。
あの消滅の魔法は、一度魔法を吸収し分解しているようだ。
その工程が早いから消滅したように見えるのだ。
「バニッシュメントアロー!!」
消滅魔法同士をぶつけたらどうなる?
ディオスの魔法名を借りるとしよう。
「何だと!?貴様も消滅魔法を使えるのか!?」
流石のディオスも驚いている。
まだ残っている騎士の間を縫うように放たれた消滅の矢は、ディオスの出した巨大な手に当たり双方が消滅した。
ふむ、同時に分解されるから両方消えたか。
魔法の手が消え、そこに騎士が攻め込んでいく。
「さぁ、どうする?ディオス?」
一つ一つディオスの策を潰していく。
消滅魔法が相殺されることが分かってから、ディオスに焦りが生まれた。
「貴様……本気で我を殺そうとしているな?」
「何故殺されないと思っているのか分からねぇよ。」
勝てないと感じていたディオスを、これだけ圧倒出来るとは思っても見なかった。
だが……
「このままでは殺されてしまう故、我も魔法の枷を外さねばなるまいな」
オレの感動はディオスの言葉によって塗りつぶされた。
魔法の枷だと?
制限付きでオレと戦っていたというのか。
「久方ぶりに神の力を解放する。手加減が出来ぬかもしれん。」
神の力………
魔法とは異なる力で、オレが求めている力だ。
やはり模倣出来る程度の魔法は神の力ではない。
そして、オレの振るっていた魔法も同じくということだ。
人の扱う魔法の理を超えていない。
「刮目せよ」
ディオスの一言で、周囲の音が消えた。
ディオスの本領発揮です。
対するクロムは………
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