047〜重なる闇と力
明けましておめでとうございます!
本年もヨロシクお願いします!
連載再開致します!!
『簡単な話じゃないか。レナはオレをいいように使っているだけだ。何か目的があるんだろうが、オレを駒のように使っている。一度死んでいるから、オレは死に対して寛容になっちまってる。自分を慕い、死の恐怖が少ない、いい駒だ。きっとディオス達だってそうだ。』
確かにコイツの言っていることも分かる。
だが……
「………いや、そんなはずは……ない。」
『そう思いたい。……だろ?』
あぁ、そうだ。
オレがそう思いたいだけなんだよ。
こんなにもコイツの言葉でオレが揺さぶられている。
疑ってしまった。
一度でも疑心が生まれた心は信用しきれない。
拭いきれない不安が心に残っている。
このまま信じて本当に大丈夫なのか?って。
『オレなら信じられるだろ?オレはお前だ。お前の怒りも、辛さも、悲しみも全部分かってる。シェリアを取り戻し、クソ女神と勇者を殺すにはオレの力が必要だ。この空間は心の闇の力を引き出す。オレはオマエの心の闇を鏡に映し出した存在だ。オレを受け入れれば………心の闇も飲み込んで強くなれる………」
その通りだと声が響く。
分からなくなる。
オレは誰と話している?
オレはオレと向き合っている。
いつからだろうか、声だけではなく自身の姿が少し離れたところに見えていた。
その姿は会話をすればするほど近づき、目の前のオレはオレの胸ぐらを掴んで叫んでいる。
「いつまで目を反らしている!!」
ダメだ。
「オレを受け入れろ!」
これ以上は。
「全てを終わらせる為に!!」
耐えられない。
「「心のままに……」」
オレの声が重なる。
いつしか目の前にいたオレは消えている。
「そうだった。強い感情が力を呼び起こす。」
心が真っ黒に塗りつぶされていく。
身体が深い深い闇の底に沈んでいく。
感じたことのない力が湧き上がってくる。
「全てを……破壊すればいい」
いつぞやの女神の魔法よりも強い力を自分の中から感じる。
女神も、勇者も、ディオスも、レナも………
全部壊してからシェリアを取り戻せばいい。
二人だけの世界。
誰も邪魔の無い世界だ。
「クククッ!!ハハハハハハハハッ!!」
それでいいじゃないか!!
もう誰も信用しない。
自分が全てだ。
空間を包んでいた闇が晴れていく。
そうか、心の闇で部屋が満たされていたから何も見えなかった。
闇が晴れたその部屋は本当に小さな部屋だった。
部屋の中から外へ通じる扉を見ると、そこにはディオスがいる。
「その目、感情に呑まれたか……だがそれにしては強さが………」
「よぉ、ディオス。お蔭で強くなれたぜ。ハハッ!!」
丁度いい。
その身を持ってこの強さを体感させてくれ。
オレがどれくらい強くなったのか。
クロムウェア、闇堕ち………




