044〜邂逅と怒り
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再びあの御方が登場です。
連れてこられたのは、大きな湖の中心に建てられた神殿だ。
ここが邪神様が祀られている神殿なのか?
神殿に入ると大きな石像があり、何人かの人たちが跪き手を合わせている。
「邪神様との邂逅を済ませていれば、ココで祈りを捧げることで先を示してくれるはずだ。やってみろ」
祈りを捧げると言っても、やり方はどうでもいいのだろうか?
オレはその場に片膝を付いて頭を下げ目を瞑る。
そして心の中で祈る。
いや、祈るというよりも願った。
『強くなりたい』と。
女神も勇者も倒せる強さが必要だ。
女神に強化されているのならば、勇者にすら勝てないこともあり得る。
これ以上何かを失うことなどあってはならない。
理不尽から全てを守る力を、心の奥底から求める。
全てを守る強さを!!
そう、心が強く叫んだ。
『目を開くといいよ、クロムウェア。』
唐突に聞こえてきた懐かしい声に驚き、目を開く。
視界に広がっていたのは、闇の中で光る星。
足下に合ったはずの地面もなく、例えるなら星空の中に立っているような感じだ。
そこはあまりにも現実離れした空間だった。
「ここは……?オレは神殿に居た筈では……?」
『キミの精神、というか魂のみを呼び出しているんだよ。』
目の前に小さな光が集まって、形を作っていく。
オレは、その存在を直ぐに理解しその場で跪く。
『久しぶりだね、クロムウェア。と言ってもボクと顔を合わせるのは初めてだね』
「お久しぶりでございます。レナ様」
邪神、レナ・メシアの下へオレは再び辿り着いた。
『やぁ、クロムウェル。ここまで辛い道のりだったね。ボクは見ていることしか出来なかったけど……あの場で手が出せるほどの眷属がまだ揃っていなくてね。ディオス達はあのクソ女神に存在を知られたくないから、まだココから動かせなかったんだ。』
「お気遣いありがとうございます。」
まさか、あの場の助けを考えてくれているとは思わなかった。
『さて、キミの求めている事の解を示そうじゃないか。率直に言うと、あのクソ女神すら倒せるほどの力となると、ボクレベルまで辿り着かないとダメ。ボクやクソ女神を100とするなら、現時点でのキミの力は10程度。ディオスでやっと30〜40とぐらいだろうね』
オレは自分の強さの基準に愕然とした。
あの女神を倒すには到底足りない。
倒すべき相手の十分の一程度の力しか無い。
そしてディオスですら、オレの三倍以上の力を持っている。
『………諦めるという選択肢もあるよ。シェリアの事はボクがどうにか出来るし、時間を掛ければキミでも解決出来るだろう。でもそれとは違う。血反吐を吐いて鍛えて、再度死んでもいいくらい鍛えて、それでも勝てるかどうか下手したら存在ごと消滅する……神に挑むというのは、そういう事だよ?ボクが言うのも何だが、人生諦めも肝心だ。』
………シェリアだけでも何とかなる。
オレはそれだけでもいいんじゃないか?
…………と少し思って“しまった”。
本当にそれでいいのか?
妥協して、女神から隠れてシェリアと生きていく。
一度自らも殺され、かつての仲間を失い。
どうしようもない力で屈服させられて。
身を切り刻みれるような屈辱を受けて。
心に宿った強い怒りを収めて。
穏やかに生きていく。
「ハハハッ!出来る訳がない………出来る訳がないだろう!!」
怒りが、心の炎が再燃する。
オレは自らの復讐の炎を消すことは出来ない。
受けた屈辱痛み怒り全て乗せて纏めてあの女神に叩き返す!!
「穏やかにシェリアと共に生きるためには………終わらせる!この身を焦がすほどの復讐の炎を!!女神に返さず終われるものか!!」
心が魂が叫ぶ。
オレの求めるものは力だ。
全てを終わらせ、全てを守る力。
『ふふふ……正解だよクロムウェル。大正解もいいところだ。結局のところ、英雄と呼ばれた私も今は邪神。その強さの源は負の力。怒り、悲しみ、恐怖、それらを束ねて纏めて丸めて呑み込む。そんなボクの力を持ったキミは、その心を諦めでもしたらすぐにでも死に絶えただろうね。』
驚愕の事実だった。
諦めただけで死ぬ……か。
『怒りを忘れるなクロムウェル。キミに託した力は“憤怒”の力。感情に身を任せるのではなく、感情を制御するんだ。そして感情に呑まれてはいけない。その力の使い方はディオスにでも教わるといい。じゃあねクロムウェル。またそのうち会おうじゃないか』
待ってくれとも言えず、またしても一方的に話を切られて、オレの意識が暗転していった。
クロムウェルが憤怒ということは………
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