042〜神を求めて
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第二章開始します!!
ーー豪華絢爛な謁見の間。
玉座に座る王の前に、一人の男が跪いている。
「クロムウェア・ウォーロード戻りました。王よ……」
「生きていたのか、賢者よ……」
オレはシルバでは無く、クロムウェアとして王都へ帰還した。
勇者を殺す為に。
これまでの経緯を全て報告し、勇者の身柄を求めたが既に遅かった。
「スマンな、ワシ達もあやつらには煮え湯を飲まされた。タダでは済まさん。」
「ちっ、逃げられたか……」
勇者がいないならもう一つのことをやるとしよう。
オレはシェリアを蘇らせる為にレナ様の下へたどり着かなければならない。
敵となっている神の事を調べる名目で、王城にある資料室を借り神話に関する事柄を調べていく。
明らかに創作の物もあるが、一部に真実を記してある書物をいくつか見つけた。
一つは女神に関する物。
それにはこう記されている。
女神アルドミア・オージェ。
聖女としてこの世に生を受け、神へと至った偉大なる聖者。
「あれの何処が聖者だというのか……」
人から神へと至ったということは、確実にアルドミアは先代の神を倒したということだ。
レナ様と同じように。
そして、神として権威をもっているのはオージェ神聖国ということだ。
ご丁寧に国の名前になっている。
勇者もそこにいるだろう。
そしてもう一つの書物。
邪神を祀る神殿の話だ。
レメア王国の北部、少し前の魔王領の何処かに邪神の神殿があるという。
邪神は魔王や魔物を生み出し、この世を脅かす存在である。
「昔はそうだったのだろうな」
今や女神が魔王を生み出すなど、やりたい放題だ。
むしろオレは邪神に救われたからな。
さて、オレはまた北部へ行かなければならないようだ。
つくづく縁のある場所だな。
オレが殺されたのが北部だったから、近くにいたレナ様に助けられたという可能性もある。
そうと決まれば善は急げだ。
オレは城の資料室を飛び出し、リィエン公爵領へ飛ぶ。
あの戦いの後、ナミトとアミナは家へ帰した。
北部へはオレ一人で行く予定だが、その間にあの女神が何かを仕出かす可能性がある。
ナギ達には伝えておいたほうがいいだろう。
ナミト達には修行メニューも渡しておく。
「………というわけでオレは再び北部へ行ってくる。」
ナギとナミト二人を呼んで話をしておく。
盛大に武器等の物資も渡しておく。
「俺も騎士団もラインバードの復興で手一杯だ。お前を手伝いたいとは思うが済まない。支援までしてもらっては、お前の願いは聞き届けるしかない。何かあったときには何とかしよう。」
ナギ達なら、王都の騎士団にも負けないはずだ。
「頼んだ、ナギ。」
「クロムさん!俺はまだまだ強くなる!!親父も超えるから、この次はまた…俺も連れてってくれ!」
ナミトはキツく拳を握りしめて、オレにそう叫んだ。
「ふっ。じゃあオレから修行メニューを渡しておく。次に会うまでにはこなしておけ。」
そう言ってナミトの手に指輪型の収納を渡す。
中には色々と入れておいた。
アミナは今ココにいないので、その分も入っていると伝えておく。
「では暫らく行ってくる」
そう言って手を上げてオレは転移した。
ここに来るのは三度目か。
オレが勇者に殺された場所。
勇者以外のメンバーにもう会えないことが寂しいと感じるのは、それなりにあの一時に愛着があったのだろうな。
「感情を取り戻すことで覚醒し、レナ様からの力は更に増したがそれでも負けた。」
オレもあの領域に踏み入れなければ、同じ事の繰り返しだ。
次はナギやナミト、アミナ達を失う恐れがある。
そんな事になればオレは後悔してもしきれない。
既にオレは後悔し続けているのだから。
必ず探し出してみせる。
オレは旧魔王領へと再び足を踏み入れた。
邪神レナ・メシアに会うために。
神と対抗するために。
クロムは一人で旅立ちました。
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