039〜愛する人
閲覧ありがとうございます。
今回も辛いストーリーです。
その姿が見えた瞬間に駆け出した。
オレは何をしている!!
「シェリアァぁぁぁぁ!!」
オレは、横たわるシェリアに駆け寄ってその肩を抱く。
「クロ、ム……あぁ、大好、きなクロム……」
「シェリア!オレだって!!オレはお前への想い、忘れてて!やっと思い出したんだ!!守るって、約束したはずなのに……」
力無いシェリアの手を掴んで苦手な回復魔法を使う。
「わたしは、もう、ダメなの……治ら、ないから……」
どうしてだ!?
苦手とは言え、回復魔法が効果が全く無いなんて……
諦めず、何度も何度も回復魔法を使う。
何か、手はあるはずだ。
回復魔法以外に、浄化魔法、結界魔法、継続回復魔法………
いくつもの魔法を同時発動させる。
「やっと、昔の、クロム、に戻った、ね……泣き虫で、優しい、あの頃のクロム…………」
儚げに微笑むシェリア、その顔を見るオレの視界は涙で滲んでいる。
「シェリア!ダメだ!死ぬなよ!」
死なせてたまるか!!
次々と魔法を発動させる。
手を止めるな、考えろ、考えろ、考えろ…………
気が付くと、シェリアの顔が目の前にあった。
唇に触れる感触がして………
「クロム、愛し、て……る……」
心に優しく入ってくる言葉。
「あぁ、オレもだ……」
シェリアの目が静かに閉じていく。
掴んだ手から力が抜けていく。
シェリアの重さが増したような錯覚。
その一瞬が、とても酷く、長く感じた………。
オレの腕の中でシェリアは息を………
「うあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
教会に、シェリアの亡骸を抱えたオレの叫びが響いた。
しばらく亡骸を抱えて、泣いていた。
どれくらいそうしていたのか分からない。
ナミトがそっと声を掛けてきて、少しだけ周りを見ることが出来た。
シェリアが死んだからか、影に類するものは全て消えていた。
教会内にも光が差し神聖な気配が戻ってきている。
「シルバさん、あの……その人は、…」
ナミトは壊れ物に触れるような小さな声で聞いてきた。
「あぁ……シェリアはオレの仲間だ。そしてオレの、愛した、人……」
言っててまた泣きそうになるのを、堪える。
「あの、分からないけど、シルバさんを蘇らせた邪神様なら……その人も……」
「っ!!」
「どわぁっ!?何すか!?」
オレはその言葉でナミトの両肩を強く叩くように掴んだ。
それだ!
レナ様なら何とかなるかもしれない。
まだシェリアの身体はここにある。
コレを長期間保存する為には。
「シェリア……スマン。寒いだろうが我慢してくれ。凍極の棺」
腐敗しないよう温度を低く保ち、更に時間経過を遅延させる棺を作り出し、その中にシェリアを安置した。
そして時間経過の遅い収納への保管する。
「どうにかしてレナ様に会わなければ。ナミト、アミナ。手を貸してくれ」
「あいさー!」
「了解だ!」
「あら?シェリアは死んじゃった?」
折角の雰囲気を台無しにするようなセリフが響いた。
次回は………
「面白い!」「楽しい!」「続き気になる!」とか感想あれば応援も兼ねてぜひよろしく!
【▼良かったら下部の☆から評価もしてね!▼】




