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万能賢者は邪神の力で復讐したい〜女神と勇者だけは許さねぇ〜  作者: CronoA
第一章 第二部 〜東部動乱・帰還編〜
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038〜シェリア・リクリッド

閲覧ありがとうございます!

今回はクロムウェアの過去です。


クロムが使った偽名のことも分かります。

きらびやかな王都の裏にはスラムがある。

そこには孤児がたくさんいた。

その殆どが親に捨てられた者達。


金が無いから捨てられた。

優秀じゃないから捨てられる。

気味が悪いから………等の色々な理由でな。


オレもそのクチだ。

とある貴族の子どもだったが、魔力が伸びず才能なしと判断された。


その次の日にはスラムにいた。

貴族として生温い環境で育ってきた当時のオレからしたら辛い日々だった。


ボクからオレへ呼び名を変え、元の名であるシルバからクロムウェアと名乗るようになったのは、スラムに来て少し経ってからだ。


生きるためにはなんだってやった。

スラムにいる大人達に比べれば、王都にいる人々は平和ボケしている。


脅しや盗み。

大きな家は、物を一つちょろまかしたって気づきやしないことが多い。


幸い身体が大きくなるのが早かったオレはスラムのガキ共を纏めるようになっていった。


そんな折、教会で炊き出しを始めるという噂を聞きガキ共を連れて行った。


「どうせ世間にイイコトをしているというアピールだ。大勢連れて行って困らせてやる」


大した量なんて用意してないだろう。

そんな気持ちで炊き出しに顔を出した。


だが炊き出しは量も準備してあり、ガキ共も満足しちまった。


「キミもスラムの子?」


目論見が外れ、イライラしていたその時に炊き出しをやっていた教会の女に声をかけられた。


ソイツがシェリアだった。


教会の下働きでスラムのガキを使ってもらうようになり、炊き出しもオレ達に手伝わせる。


本当に小さいガキは教会がめんどうを見てくれるようになった。


シェリアは何かとオレに声をかけてきた。


一度だけ、教会に盗みに入った男がいた。

修道女の一人を襲おうとした所にたまたまオレが居合わせて、そいつを逃がすために立ち向かった。


だが、まだガキの一人だったオレは大人であるその男に勝てるはずもなく殺されるところだった。


衛兵が来て事なきを得たが、シェリアが泣きそうな顔で必死に俺を治していた。


「クロムは弱いんだから、お姉ちゃんが守ってあげる!」


オレが治ったらそんなことを言っていやがった。


弱くねぇ、ふざけんな。

って怒鳴り散らした。


本格的に身体を鍛え始めたのはその頃だ。


シェリアを好きになったのもその頃だと思う。

実際シェリアにはその想いはバレていた。


「クロムって私のこと好きなんでしょ?」


真正面から笑顔で聞かれて恥ずかしくて、んなわけねぇだろってまた怒鳴り散らした。


「私もクロムのことは好きだよー」


何か軽く言われて、腹がたった。


そして数年が経ち、シェリアは光魔法の才能が開花。

教会でもかなりの立場になった。


オレはシェリアの守護者になりたかった。


だが、身体は鍛えたが魔法はてんでダメ。

剣なんて教わってもいないから使えない。


何も出来ないことが悔しくて教会の裏で涙したこともあった。


「またこんな所で一人泣いてるの?……悔しさも辛さも飲み込んで先を見据えて努力する、そんなクロムが私は好きなの。クロムなら大丈夫!って私が言ってるんだから、大丈夫でしょ?」


オレの両手を包み込みしっかりと俺の目を見るシェリア。


そんなシェリアを守らないといけないと、更に強く感じた。


力だけでは守れない。

その力もまともに持たないオレは知恵を付けることにした。


口調も変え態度も改めた。

教会の神父や修道女にも教えを請い、シェリアのツテで魔導学園にも行けることになった。


そんな時だ、スラムの一角であの方に会ったのは。


「才に恵まれずとも力を欲し、努力を怠らぬその強き意思。キミはボクと相性が良さそうだ。魔導の才に恵まれるよう種を与えよう。一時的に代償はあるけど、力の覚醒の際には元に戻るよ。そうだな、きっかけはーーーーにしておこうか。キミには期待しているよ。頑張ってくれ」


あの時は何がなんだか分からなかった。

何から何まで一方的なのはこの時から変わらない。





あぁ、そうだ。その時の代償が感情の一部欠落か。

愛するという感情が欠落し、付随するシェリアへの想いや記憶も欠落していた。


だからこそ、シェリアは再会したときのオレの態度が疑問だった。


「何かクロムは昔と変わっちゃったね。」


「そうか?あまり変わった気はしないのだが……」


「全っ然違うからー。昔のクロムは可愛かったのに。」



オレがカワイイというのは未だによく分からないけどな。


シェリアはこんなオレでもまだ好きでいてくれた。


あぁ、オレは全てを思い出した。


オレはシェリアのことが!!





「……ん!シルバさん!!!」


ナミトの声で意識が急速に戻る。


目の前では人型の影の魔物がオレを切り裂こうとしている。


「ハッ!遅ぇ!!」


オレは魔物のど真ん中を魔法で撃ち抜いた。


大の字に倒れた魔物から、影が霧散していく。



その影から姿を見せたのは…………



シェリアだった。

今回の話は書いていてちょっと辛かったです。



「面白い!」「楽しい!」「続き気になる!」とか感想あれば応援も兼ねてぜひよろしく!



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