032〜再会のナギと勇者のやらかし
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騎士団長ナギ初登場です!
「ナァァミィィトォォォォ!!」
「何だよ親父」
家の前で怒号が響き渡るがナミトはどこ吹く風だ。
声を上げているのはナギ・ウェイド。
騎士団長にしてナミトの父親。
赤い長髪を後ろで束ねており、左の頬に傷跡がある。
ナミトを一段と精悍にしたような顔つきだ。
そんな男が怒っている。
「お前というやつは何故魔王討伐に向かったクロムの後を追った!?お前の力では足手まといにしかならないのは分かっていただろうが!!」
正論である。
当時のナミトがあの場にいたら即死していただろう。
今のナミトでも死ぬ。
ナギですらあの場では足手まといになる。
そんな戦場だった。
「お前が騎士として伸び悩んでいたのは知っている。だが、無謀な事をしてその実力は上がることはない。戻ってきたのはそこにいる師匠と呼ぶ者に諭されたからか?」
「自分が弱いのは分かっている。俺は魔王討伐を済ませたクロムウェア様に弟子入りするつもりだったんだよ。でも……」
「そうだな。あのクロムは……」
「ナギ、嘆くにはまだ早いぞ?」
「……………………………………クロム?」
まだ仮面外して無いが、俺の声だけでわかったのか?
詳しい話は中でと促す。
「分かった、中で話そう。……あとナミト、その子どもは誰だ?それも聞かせてもらうぞ?」
そういえば、アミナの事に一切触れてなかったな。
アミナは、初めのナギの怒声で肩から飛び降りて、背中に張り付いていたのだ。
話が落ち着いて来たのを見て、再び肩に戻ってきていた。
「ははっ聞いたらビックリするぜ?」
「わはははー!」
俺たちはウェイド邸の中へと入っていく。
通された応接間に防音の結界を張り、使用人も出て行ったのを見計らって俺は仮面を取った。
「やはりクロムか!何故生きている!?」
俺は困惑するナギに、全てを話した。
「神に龍ねぇ……納得しきれないところもあるが、まずはあのクソ勇者め!おい、あいつはあらゆる場所で色々としでかしてるぜ。」
公爵家の騎士団長ともなれば、情報は直ぐに集まってくるのだろう。
「北の話は知らなかったが、グラン・メルキス市長のことは知っていた。誘拐事件まであいつの仕業だったとはな……」
更に酷い情報をナギは落とした。
学術都市ラインバードは現在立入禁止だそうだ。
正体不明の魔物が徘徊しており、住民たちは避難。
冒険者と騎士が対応をしているとのこと。
これも勇者がやったんじゃないかと噂されている。
そして西側。
海沿いに都市があるのだが、勇者の怒りをかったらしく崩壊している。
勇者本人は既に王都に帰っていて、
王はそれに対し何も咎めていないそうだ。
「そうか、公爵様は今王都にいるのか……」
「何やら王に呼ばれたらしいが、話を聞く限り悪い予感しかしないな」
西側も王都にも行かねばならないだろうが、まずは封鎖されているラインバードを解放しなければなるまい。
このままでは調べ物が出来ないからな。
「じゃあナミトと俺たちでラインバードを何とかしてくる」
「っ!?待て待て待て!クロムと龍の子どもは分かる。ナミトは足手まといだろうが」
お前は話を聞いていなかったのか?
ナミトは龍と契約しているのだぞ?
「相変わらず子どもの事となると視野が狭くなるなお前は」
「アミナと息を合わせられるのは俺なんだぜ、親父!」
「親バカー」
アミナの一言のせいか分からんが肩を震わせているナギ。
「よし、ナミト手合わせだ!」
「何でだよ!?」
そういうと思っていたぞ、俺は。
「いいじゃないかナミト。今のお前の力を見せてやればいい。」
紅露鐵と鳳雷鎧も使って全力でぶつかって見ればいい。
それでナギは認めてくれるだろう。
だが、まだ勝つことは出来ない。
父の壁がどれほどのものか、どこまで近づけたのかを知るいい機会だ。
「ナミトガンバレー!」
「じゃあ騎士団の訓練場に行くぞ。」
こうして、ナミト対ナギの模擬戦が訓練場で行われることになった。
次回、親子喧嘩が始まります。
ナミトは父とどれだけ戦えるのでしょうか。
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