024〜東の拠点
閲覧ありがとうございます!
アルハバードへと向かいます。
俺達は交易都市アルハバードの近くにある拠点へ転移してきた。
ここも勇者に壊されているかもと思ったが問題は無いようだ。
拠点と言っても、山中にある洞窟に偽装の魔法をかけて見えなくしてあるだけだ。
一応生物が意図せず避けていくという認識阻害の魔法もかけてあるので、何かが入り込むということもない。
…………あ。
「だからあの勇者にはここは見つけられないのか」
魔法の知識も技術も稚拙なあいつには見つけられる筈も無い。
「照明設備や空調管理、部屋分けされていてキッチンまであるのは山中の洞窟じゃないからな……」
ナミトがまた愚痴をこぼしている。
「ここ快適ー!!」
アミナはソファーに座って足をバタバタさせている。
「さて、アルハバードへ向かうとするか」
最悪何かあったとしても、ここの拠点に戻ってくればいい。
ナミトとアミナの仮面にはここの拠点への転移魔法を付与しておく。
少しばかり手間だが、オージェ神聖国側から入った方がいいだろう。
スパイを疑われてはあの市長に会えないかも知れないからな。
拠点が丁度国境付近にあるのも丁度いい。
この三人ならば山越えは問題無いだろう。
全力で移動すればすぐに着く。
「二人共、全力で移動するぞ。付いてこい」
「全力かぁ……装着!!」
「皆で走るんだね!!行こう行こう!!」
全員に支援魔法を付与する。
敏捷力、防御力増加。
加速、緊急回避、動体視力強化。
これで全力で木にぶつかっても大丈夫だ。
「わーお!カラダかるーい!!」
「では行くぞ」
「やっぱ規格外だわこの人。」
俺達は移動を開始する。
その場を見ていた人がいれば、地面が爆散して人が消えたように見えただろう。
山林を異常な速度で抜けていく俺達。
魔獣なども居るが無視だ。
いや、一部の魔獣だけ狩っておく。
山から出てきた冒険者が何も持っていないのはおかしいからな。
コイツでいいか。
大きいし一匹でも十分だろう。
近場にいたフォレストザウルスの首を落とし、そのまま収納へ入れる。
森によく居る肉食の魔獣で、鱗も爪も肉も使える万能魔獣だ。
「それ簡単に狩れないやつ……」
ナミトが何か言っているが小声だったので聞き取れなかった。
「もう少しで到着するから速度を落とすぞ!」
風の音で声が通りにくいからな、少し声を張らないとならない。
拠点から1時間程で俺達はアルハバードの近くまで移動してきた。
まだ山の中だが、遠目には街の外壁が見える。
街道も近くにあるからな、そこまで行けば後は道なりだ。
そこから俺達は速度を落としてアルハバードへと向かった。
「街道にもそこそこ馬車が通っているということはまだそこまで戦争ムードでは無いようだな」
アルハバードの外壁近くまで来ると様子が良くわかる。
まだ普通の雑貨商人が多く行き来している。
戦争が近いと商人よりも兵士が多くなるからな。
後は武器と食料の商人だな。
「門があったよ!!」
アミナが門へと走っていく。
「アミナ、走らなくても街は逃げないから!」
ナミトがそれを追っていく。
そして俺達は忘れていた、仮面のことを。
「怪しい仮面……?」
「っ!!何者だ!!お前ら!!」
「うわぉ!?」
門番二人が槍を向けてくる。
「あ、これが普通の反応だったわ」
ナミトが気が付き急いで冒険者証明を出す。
アミナは武器を向けられたことでナミトの肩へ避難している。
「この仮面してると警戒されるのを失念していた。俺達は冒険者だ。ここに来る途中の山の中でたまたま魔獣を狩ったので先にギルドへ行こうと思ってな。」
そう言って、俺も収納から魔獣の首と冒険者証明を出した。
「フォレストザウルスだと!?討伐依頼が出てたやつじゃ!?」
「これは早く行ってもらったほうがいいな。証明を確認したから入って構わない。いきなり武器を向けて済まなかったな」
「いや、むしろアンタ達の対応は正しい。この仮面が悪いからな」
まぁ、いきなり威圧感のある仮面集団が来たら警戒するよな。
「では、ギルドへ行って情報でも集めるとするか」
「街だー!!」
俺達はアルハバードへと足を踏み入れた。
恐竜瞬殺!!
容姿すら描写されず……
フォレストザウルスは見た目トリケラな肉食魔獣です。
戦争の気配がしはじめたアルハバードの門番は優秀な人材が当てられています。




