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万能賢者は邪神の力で復讐したい〜女神と勇者だけは許さねぇ〜  作者: CronoA
第一章 第一部 〜異変の北部編〜
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020〜黒龍の災難

閲覧ありがとうございます!

今回は黒龍目線のお話です。

私は誇り高き種族、龍族の一つ黒龍が一頭である。


かの魔王が倒され、一度の平穏が訪れると思っていたが、私の故郷は襲撃を受けた。


魔王を討った勇者達だ。


突然現れた勇者は仲間達に命令して襲いかかってきた。

以前、私達の里の近くを通った際にはこんなこと無かったのに。

賢者を名乗る人間だけが来て、通行させてもらうことだけ告げて去っていったのだ。


集落にはそこまで多くの龍が暮らしていたわけでは無い。

ただ、一番若かった私を逃がすために皆が犠牲になった。


逃げた私も、最後の方で鉱山から離れられない楔を打ち付けられた為に、行動の制限を余儀なくされた。


勇者が高笑いしながらいなくなったのが幸いだった。


死んでしまったおじいちゃんは、理解の深い人間は話せば分かってくれると言っていた。


それ以外の有象無象は咆哮一つで逃げていくらしい。

そして、どうやら私がいる鉱山には、人間がいるみたいだ。

魔力探査を受けたのを感じたから、咆哮を放ち威嚇しておいた。


それ以降、鉱山から人間達の気配は無くなった。

私も人間とは関わりたくない。

特にあの勇者とやらには……。


そこからほんの少し経った位だろうか。


再び魔力探査の気配がした。

でも、私の感知内に人の気配は無い。


どういうこと?

何とも言えない恐怖が心に生まれる。


何も居ないのに見られた感覚。


「また勇者が、来たの……?」


あの笑い声と、濁った瞳が脳裏に浮かぶ。


龍族は、人間に近い姿を取ることも出来る。

本当なら人の姿で小さくなって隠れていたい。


だが楔の魔力がそれを乱し、私は龍のまま地面に横たわっている。



そんな時、眼前で魔力が歪んだ。


突如、人間が二人目の前に現れた。


「しっかり黒龍の前だぞ?問題無い。」


「それは問題しかねぇよ!!」


いきなり叫んでいる人間達。



私は恐怖と驚きで攻撃態勢を取った。



「さぁ、龍は待ってくれないぞ!」

「チクショーめ!!」


二人の内、一人が鎧と剣を急に装着して突っ込んできた。


この人早いよ!?

下手したらあの勇者よりも!!


人間って小さいからちょっとでも当たれば大丈夫だよね?


私はひらひら動く人間に向かって、腕を横薙ぎに奮った。

念の為に炎弾魔法も口元で準備しておく。


私は特殊な黒龍だ。

炎弾も黒く染まり強化されている。


えっ!?

人間は私の腕を軽々と飛び越えて来た。


近付かれないように黒い炎弾を放つが、人間の持った剣で弾かれてしまう。


黒炎の魔法って弾けるの!?


驚いている間に、人間は回転しながら加速してきた。


ギャァァァ!!

ナニソレ!?

ヤダヤダ!!

勇者より面倒だよこいつ!!


勇者はダメージを負っても仲間が回復して復活してきたけど、コイツは違う。


怖くて怖くてもう殺そうとしてるのに、何度でも躱され、弾かれてしまう。


そしてコイツの攻撃は私に当たる。

結構痛いし!!


隙を見て攻撃するとまた弾かれる。


何度も同じような戦いが続いた。

もう一人の人間が何もしてこないのも怖い。


でもその時はやってきた。


私の腕を弾いて、人間が距離を取ったときだ。


「ナミト、下がれ!!」

「っ!!」


戦ってた人間がもう一人の所に戻った。


その直後。


「捕縛せよ、雷陣!」


もう一人の手から、小さな魔法が飛んでくる。


私は攻撃した直後で、腕を奮った体制の死に体だ。


でもこんな小さな魔法じゃ私には通用しない。


特殊な黒龍である私の鱗は魔法にも耐性があるのだから。


私ははっきりと油断していた。

鼻先で光が弾けた時、その魔力を感じ取った。


あ、死んだ。


そう思うくらいの魔力がその小さな魔法に込められていたのだ。


弾けた魔法は、私を包むように円形に光の壁を作った。


閉じ込められた!?ヤバい!!


逃げようとしたその時、身体中に衝撃が走った。

光の壁から雷撃が飛んできたのだ。


『グオォォォォォッ!!』


私が、覚えているのはここまでだった。


目覚めた時、私の前に人間がまだ

残っていた。

目を覚ました黒龍は何を思うのか。

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