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万能賢者は邪神の力で復讐したい〜女神と勇者だけは許さねぇ〜  作者: CronoA
第一章 第一部 〜異変の北部編〜
20/77

019〜黒龍との戦い

閲覧ありがとうございます!

11/19 10:40 後半に文章追加しました。

題名も少し変更。

龍というのは本来人の目のつく所には滅多に来ない。


龍にとって人は下等種族であり、群れることで強さを増す生物である。


だからこそ人とは関わらない。


何か理由がない限り。



人にとって龍とは災害と同義である。


相当な実力を持った者が10人近くでパーティを組まなければ討伐など不可能である。


だからこそ龍とは関わらない。


全力で逃げるのみである。



「さて、黒龍は何故こんなところまで出てきたのか確認せねばなるまい」


俺は野生動物を捕獲する魔法陣を、龍用に強化したモノを準備する。


本来は地面に置いて、通った動物の身体を痺れさせて捕獲するモノなのだが、こんなもの龍には通用しない。


だから、麻痺させるための魔法を発動させる魔法陣を雷撃の魔法と結界の魔法で代用する。


この魔法が当たれば龍を結界内に閉じ込め、周囲から雷撃の魔法が幾度と無く撃ち込まれて動けなくなるだろう。


雷陣らいじんと一応名付けておくか」



後は言葉が通じれば良いのだが……。


まぁ、何とかなるだろう。


念を入れて、麻酔薬や拘束具なども準備しておいた。


時間遅延させた結界内でナミトを訓練させたから、短時間で訓練も終わるだろう。


後は本番で細かい調節をしてもらうとしよう。



「ナミトそろそろ出発だ」

「シルバさん!この装備やっぱりヤバすぎて………ヤバいぞ!!」


うむ、お前の語彙もヤバいぞ。


まぁ、聞いたところによればほぼほぼ機能は使いこなせるようになったということなので大丈夫だろう。


しっかりと性能を出し切れれば俺の作った魔法も必要無いかもしれないからな。


「では、鉱山内部へ“転移”!!」

「えっ!?」


鉱山内部の構造は資料で把握したし、魔力を使った探査で転移先の座標も問題無い。


「しっかり黒龍の前だぞ?問題無い。」


眼前には巨大な黒い生物が横たわっている。


「それは問題しかねぇよ!!」


心構えなど訓練していたのだから出来ているだろう。


だが、黒龍もいきなり目の前に現れた俺達に驚いているようだ。

しかし、侵入者だと直ぐに判断したのか攻撃態勢になる。


「さぁ、龍は待ってくれないぞ!」

「チクショーめ!!」


ナミトは紅露鐵くろがね鳳雷鎧ほらがいを即時に装備して、前に出る。


電光雪華でんこうせっか!!」


ナミトが生み出したのだろう。

鳳雷鎧の機能の一つ、生体電気信号を強化、身体強化、敏捷力強化を用いた戦い方。


まるで雪が風で舞うように。

または、はらはらと舞い落ちるように、緩急をつけて捉えにくい移動で龍に迫る。


対して、龍は巨大な腕を横薙ぎに振り回して広範囲を攻撃する。


「ちっ!!」


それを回避するために跳び上がるが、それを見越したように龍の口から黒い炎弾が飛んてくる。


「どりゃあ!!」


ナミトは炎弾を紅露鐵の腹で受け逸らす。

その流れで身体の向きを変えて空中で加速する。


ナミトの戦い方は、受け流してその流れのままに次の動きへ連動するものが多い。


騎士にありがちな、力だけで押し込む脳筋スタイルではない。


騎士としての力が足りない事を理解して、試行錯誤したのだろう。


「ただ、思った以上に龍の頭が良い。いきなり戦闘になってしまったが会話も可能かもしれないな。」


会話が可能と見て、俺はナミトの戦闘を見ながら、この戦いに介入するタイミングを見計らっている。



黒龍とナミトの戦いは膠着状態だ。


黒龍の攻撃は躱されるか、受け流されるか、弾かれるか。

ナミトの攻撃は、黒龍の鱗の防御力が高く有効打にならない。



俺の作った装備が有効打にならない程の防御力。

それはただの黒龍ではないという証明である。


ただの黒龍なら初撃で致命傷だったはずだ。


見た目は黒龍だが、亜種だろうか。

重力を使った攻撃をしないので、重黒龍では無い。


だとしたら、漆黒龍ダークネスドラゴンか、深淵龍アビスドラゴンのどちらかが近い。


ナミトが龍の攻撃を弾き、大きく距離を取った。


介入するなら今だな。


「ナミト、下がれ!!」

「っ!!」


急加速をしてナミトが俺の下へ戻ってくる。


追撃をしようとしている龍に向かって作った魔法を発動した。


「捕縛せよ、雷陣!」


俺の指から放たれた小さな光の弾丸は、黒龍の鼻先に着弾。


黒龍を包むように結界が開かれ、内部に雷撃が吹き荒れる。


『グオォォォォォッ!!』


大きく叫び声を上げて倒れていく黒龍。

結界が開かれても、黒龍は動かず横たわっていた。


即座に俺は対龍用拘束具を黒龍へ装着して、目覚めても動けないようにしておいた。


「やっぱりシルバさんはおかしいわ……黒龍ドンマイ。」


ナミトは黒龍に手をあわせていた。


いや、殺してないからな。

ナミトは龍とも臆せず戦えるようになりました。

ただし、賢者のターン。

いつから黒龍だと錯覚していた?

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