018〜黒龍討伐準備
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黒龍さんの災難まであと少し。
俺達はギルドへ行き、依頼の完了報告を行った。
そして引き続き、黒龍の討伐へ向かうことを伝える。
「ちょっと!大丈夫なの!?」
「黒龍ごとき問題無い」
受付嬢にはとても心配されている。
「今回のアルゴ村の件、しっかり確認して貰えれば分かると思います。シルバさんがとんでもないことやってるんで……まぁとりあえず、心配は不要だぜ……」
ナミトがよく分からないフォローを入れている。
受付嬢が困惑したまま、俺達は依頼を受けた。
まずは問題の鉱山の情報を調べないとな。
ギルドにそういった情報は集まっているはずだ。
鉱山の場所、内部の構造、黒龍の位置、被害内容。
そういうものを確認してから出かける。
「シルバさんでも下調べはするんですね」
「ナミト、それはどういう意味だ?」
ギルドでの調べ物が終わった後にナミトがそんなことを言ってきた。
俺が行きあたりばったりみたいな言い方じゃないか。
流石に俺でも鉱山の内部構造やらを調べるのは手間だからな。
「シルバさんなら情報無くても、魔法でなんとかしちゃいそうだからさ」
「出来なくは無いが、ある物は有効活用するべきだ。時間の削減にも繋がる。」
何でも出来るからといって、全部自分でやる必要は無いのだ。
不得意な分野は、得意な者にやらせればいい。
さて、情報は揃った。
後は現地調査だな。
「幸いにも鉱山の場所はそれほど遠くない。一気に移動してしまおうか。」
街の外へ出て、近場のポイントまで転移する。
今回の鉱山の内部は、発掘時に崩落の危険が無いように魔導師が立ち会っているらしい。
崩落しそうなポイントに強化の魔法をかけて崩れないようにする為だな。
その作業中に、探査魔法で見つけてしまったらしい。
奥深くにいる龍の存在に。
鉱山の遥か上の方に入口があるらしく、そこから出入りしているようだ。
探査魔法に気がついた黒龍は咆哮を上げて、鉱山の上をちょくちょく飛び回るようになったらしい。
ここは自分の縄張りだと主張しているようだったという。
「探査魔法を使われたことを察知できる龍は、ある程度の知識はあるのだろうな」
「シルバさんなら余裕なんじゃねぇの?」
ふむ、今回の修行内容を伝えてなかったな。
「今回、俺は手を出さんぞ?ナミトの力で捻じ伏せてみろ。殺せなくとも屈服させることは出来るはずだ。黒龍と契約まで行ければ100点だな。」
「………はぁぁぁぁぁぁっ!?いやいやいや!!無理だから!!龍だから!!一人で戦うモノじゃねぇから!!パーティ組んでやっと倒せるやつだからね!?」
無論、サポートはするつもりだ。
弟子をこんなところで失うのは無駄だからな。
そもそも、専用装備を準備すると言っておいたのにもう忘れているのか。
黒龍ごとき敵ではないと言ったはずなのにな。
「サポートはする。そしてお前は忘れているな、ナミト専用装備の存在を!」
俺は、収納から完成した装備を取り出す。
魔力を凝縮した魔鋼は黒く輝く。それをふんだんに使い、あらゆる補助魔法を込めたことにより紅い線が浮かび上がる剣『紅露鐵』。
魔力を込めれば、身体強化、防御力増加、敏捷増加、斬撃強化の魔法が掛かり、虚空に振れば斬撃を飛ばせる。
コレから討伐する黒龍よりも上位種の重黒龍の鱗と剣と同じ魔鋼を使った漆黒の全身鎧だ。兜、鎧、脚、腕の全てを纏めて『鳳雷鎧』と名付けた。
魔力を込めると紅く帯電し、身体の電気信号を補助する。
超反応が可能になり、背中からは焔を模した翼が出現し移動の加速を補助するぞ!!
重黒龍の鱗が使われているため、重力を少しだけ操作することが出来るから、自分の身体を軽くしたり重くしたりも出来る。
そして、空間魔法の収納を付与した腕輪に格納可能となっており、一瞬で着脱可能とした優れモノだ。
勿論、ナミト以外には使えない。
といった旨をナミトに説明した。
「トンデモ装備だな。逆に黒龍が可哀想に思えてきたわ……」
何故か黒龍に同情しはじめた。
だから敵ではないと言ったのだ。
「その腕輪に“装着”と言って魔力を流せば全身に装備される。“分離“と言って魔力を流せば腕輪に戻るぞ」
ナミトには装備の慣熟訓練を課した。
せっかくの装備も扱えなければ意味がない。
そのあいだに、黒龍を逃さないための準備をしておくとしよう。
ナミト「黒龍逃げた方がいいぞ!!」




