012〜村の防衛を構築する③
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賢者大暴走。
俺は魔力を回復させ、次の作業に入る。
一番面倒な壁内部の強化をやるとしよう。
今は魔力から作られた、ただの土壁だ。
魔物の多少の攻撃ではびくともしないが、破城槌などをぶつけられたら破壊されてしまう程度だ。
故に、表面は土から石材へ“材質変換”を行い、内部の大半を金属に変換する。
土から石に変換するのは簡単だ。
だが、金属は段階を経て到達する。
土から鉄砂土→鉄砂土から鉄→鉄から魔鉄→魔鉄から魔鋼へ変化させる必要がある。
魔鉄とは魔力を含んだ鉄であり、通常の鉄よりも硬い。
また魔力の伝導力が高く、魔導具等に使われることが多い。
そして更にその上である材質が魔鋼だ。
魔鉄よりも更に硬く、伝導力も高い。
アーティファクトの類は、これが使われていることが多い。
「とりあえず中身からやっていこう。材質変換!!」
村の外周を覆う壁全体の内部だけを変換していく。
一周が終われば更に一周。
内部だけを変換するのに四周も必要になる。
その後に、表面を見た目重視の石材へ変換する。
「大分時間が掛かってしまったが、壁の加工はこんなものだろう。見た目は城塞のそれだが、中身は厚みのある魔鋼の塊だ。なおかつ、魔法と物理攻撃に対しての防御術式を至るところに刻んできたからな!あの勇者でも壊せんぞ、フハハハハハ!!」
久々の大規模魔法の行使で、テンションが上がってしまったな。
壁の上で高笑いをしてしまった。
バリスタも、石材への変換途中で設置してきたので問題は無い。
一度村長の元へ戻り報告をしておくとするか。
特定の人物を探す魔法“探知”発動!
ん?近くにまで来ているようだ。
そしてナミトも帰ってきたか。
帰ってくるにはまだ早いようだが、何かあったか?
ナミトの近くへ転移!!
「ナミト、早いな。何かあったか?」
「何やらかしてるんだ!!限度ってものがあんだろうよ!!」
俺が着くなり、物凄い剣幕で怒っている。
「まぁ、落ち着け」
「落ち着いていられるかぁ!!狩りの途中で魔力探知的なのが出来るようになって、村の方からとんでもない魔力を感じたから急いで帰ってきたんだよ!そしたら村が要塞になってんだけど!?どういうことだよ!?」
ナミトの敬語がどこかへおでかけしたようだ。
俺にもいい感じで話しかけられるようになったな。
村長もいるから丁度いいか。
ナミトにも、一から説明しよう。
「では、村長とナミトに説明しよう!」
・石材のように見える壁は、外見だけで中身は魔鋼を使っているから安心だ。
なおかつ物理と魔力の防御術式を刻んであるので勇者如きの攻撃ではビクともしない!やったな!
・見張り台には遠距離攻撃を、防ぐ術式も使ってあるから遠くから狙われても問題無いぞ。
遠見の魔道具もサービスで付けておいたから、監視はしやすいだろう。
・監視所も石材のようで魔鋼を使っているので壊されることは無い。
衛兵用の盾と剣も用意しておいた。こちらは後で所有者登録をして、防犯対策をしたいので協力してくれ!
あ、安心したまえ。剣には麻痺機能を付けたので、相手に当たれば即座に確保可能だ。死ぬことはない。
盾にも防御術式を刻んであるので、直ぐに壊れることはないだろう。
「あ、後で狩りに向かう者達用の装備も作りたい。だから……」
「だから、自重しろよぉぉぉぉ!!」
「ちょっと目を離したらこんなことに……」
ナミトが吠えた。
村長は目もとに手を当てて空を見上げている。
この後、俺はナミトに常識を語られたがそんな内容は承知しているので、その旨を伝えるとまた怒り出した。
村長に、装備を作るところまではやると伝えて一旦休憩となった。
ナミト激おこ。
賢者は常識は“分かっている”。
守るとは言っていない。




