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短編(ヒューマンドラマ)

縛りという名の友情

作者: 御厨カイト


「なぁ、なんか縛りを考えようぜ。」


これはアイツのこんな突拍子のない発言から始まった。


「はぁー?いきなりどうした?」


「いやぁさ、そろそろ『平成』が終わるだろう?そして、『令和』が始まるわけだ。それでだ、その新しく始まる『令和』に向けて何か縛りを考えようじゃないか。」


「……ホントに何言ってんの?」


「そんな真顔で言うなよ。傷つくだろ。いや、だからさ、この新しく始まる『令和』が終わるまで何か縛りを設けようぜ、お互いに。」


「設ける意味は?」


「面白そうだから。」


アイツはそう真顔で言い切る。

俺も真顔でアイツをじっと見る。

傍からしたら何してんだろうと思われるかもしれんが俺も分からん。


「ふぅー、仕方ねえ。もしその縛りというのを設ける場合、お前は俺にどんな縛りを設けるんだ?」


「やってくれるのか!?」


「『もし』だって言っただろ!いいから答えろ。」


「うーん、そうだなー。……アサヒのビールしか飲めないとか?」


「却下だ。お前俺がサッポロビール好きなの知ってて言ったろ。」


「ハハ、バレたか。」


「他には?」


「食事をする時、箸は左手で持つとか?」


「却下だ。だからお前は俺が右利きだっていうのも知っているだろ。」


「じゃあ、結婚するの禁止。」


「急に重くなったな!却下だ、却下。というかちょっと待て。これお互いにやるんだよな?」


「ああ」


「だったらもし俺がお前に無茶苦茶な縛りを言ったとしたらどうしてたんだ?」


「もちろん受けていたよ。俺とお前は親友だからな。」


……なんかここまで拒否していた俺がバカみたいじゃねえか。

ちょっと感動してしまった。


「それにお前のことだからそんな滅茶苦茶な縛り設けないと思っていたからな。」


前言撤回、感動返せ。


「はぁー、じゃあここまで言ってた俺がバカみたいじゃねえか。……いいだろう、縛りの件受けてやる。」


「ホントか!」


「あぁ、だが滅茶苦茶な縛りはやめてくれよ。」


「分かってるよ。じゃあ、お前の縛りは・・・・・・・・





















50年後



50年も経つと医療技術もすごく発達し、100歳を超えた天皇もいまだにピンピンしている。

そんな中俺はと言うと……


公園のベンチに座ってのんびりとしていた。


そよそよと流れる風に心地の良い鳥の鳴き声。

平和という文字が良く似合う景色だ。


だが、ボーとしていたら時間が経つのも早く、予定があった俺は立ち上がる。


「よいしょっと、そろそろか。」


俺はそうつぶやきながら階段を1段飛ばししながら上る。


もう階段の1段飛ばしが癖のようになってしまった。

そりゃあ50年もやっていたらそうもなるか。


まったくアイツはめんどくさい縛りを設けたものだ。


アイツは俺の縛りを破ったくせにな。




そろそろアイツの命日だ。

墓参りにも行ってやるか。


はぁー、まったく。

俺が言った「俺よりも先に死ぬなよ。」って言う縛りを破って先に逝きやがって。



アイツの好きな赤い薔薇でも買って、供えてやるとするかな。




俺はそう考えながら、まだ続く階段を1段飛ばしで上る。







皆さんこんにちわ 御厨カイトです。

今回は「縛りという名の友情」を読んでいただきありがとうございます。


読んで「面白い」とか思っていただけたら、感想とか評価のほどよろしくお願いいたします。

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