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カルネアの栄光  作者: 酒精四十度
【第二章 ドゥルグル魔導帝国の影】
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2_06.同盟の誤算

その日、ラッザロ大尉は何時もの様な出撃を前にして落ち着かなかった。

今迄の出撃と違う所は2点。ヴォートラン機のみの迎撃作戦では無く、同盟軍の浮遊機達と合同作戦であるという事と

迎撃では無く航空攻勢という事だ。事前に彼等同盟軍の浮遊機とも訓練を行ってきたので特に気にするレベルでは無かったが、やはり初めて行う事は緊張する物だ、とラッザロは思っていた。


だがこの航空攻勢作戦には日本が航空管制を担当し、浮遊機と航空機の同時管制を同時に行うのだ。

今迄バラバラで管制していた事により、浮遊機と航空機が作戦空域をそれぞれ重ならないようにしてきたのだが、それが今回統合作戦を行うのだ。まぁ、何れにせよラッザロ自体は管制に関しては難しい事は分からない。それが故に、悩んでいても仕方がないと早々に割り切り、何時ものように働くだけだと部隊を鼓舞していた。


そしてヴォートラン戦闘機と同盟軍浮遊機共同の航空作戦が実施された。


この作戦の目的はドムヴァル中央戦区上空における敵制空浮遊機群の索敵と撃滅の前哨戦である。この航空攻勢の結果如何では、続く大規模共同航空攻勢により中央戦区の敵制空浮遊機群を一掃し、第二段階として南北戦線から同時に西進を行い中央戦区を南北から両翼包囲し、第三段階で中央戦区を包囲撃滅して戦線を西に押し戻す、という作戦の試験運用なのだ。この作戦を行う為には中央戦区での敵浮遊機を1機でも減らさなくてはならない。その為の共同作戦であり、この規模で行う事によって不意打ちを喰らっても数で圧倒が可能な筈だった。


ヴァルネク連合は既に中央戦区後方のサライに大量の浮遊機集結を掴んでいると思われており、この集結した浮遊機群がどこに向かうか判明した時点で迎撃行動を取るだろうと推測していた。この同盟浮遊機群がどこに向かうかの判断材料を得る為の時間こそが、同盟軍の武器だったのだ。つまり同盟軍の目標を推測を出し迎撃に上がって来た時点で、優位な位置から同盟軍は攻撃を仕掛ける事が可能な筈であると。


現時点でヴォートラン部隊の活躍により、中央戦区でのヴァルネク連合の浮遊機部隊の動きは低調となっていた。だが、ヴァルネクの浮遊軍は後方で温存されている事は明白なのだ。だとするならば大規模な航空攻勢によって、連合浮遊機群をおびき出し、これをヴォートラン部隊と制空浮遊機によって撃滅する。但し万全に思える同盟のこの作戦も、魔導結晶石次第という大きな足枷もあるのだ。だが同盟軍としてはどこかで、この連邦の本流を止めなければならない。既に同盟内におけるロジュミタールの動きも怪しいという情報もちらほらと舞い込む中、同盟諸国はこの作戦に賭けたのだ。


ラッザロ大尉は、作戦内容を把握しつつもやはり一抹の不安を隠し切れなかった。


・・・


大規模な同盟浮遊機群の侵入を確認したヴァルネク中央戦区浮遊管制官は魔導探知機前で叫び声を上げた。


「中央戦区セクター15地域に同盟の大規模な浮遊機群が接近中。その数100機以上を確認!」


「……よし。スカルスキー中隊出るぞ」


「スカルスキー大尉、セクター15で確認出来るのは浮遊機だけです。例の十字の浮遊機は確認されておりません」


「144実験中隊は先頭を叩く。十字が居るならば十字を叩く。他に迎撃が可能な浮遊機部隊を出せるか?」


「出せます。02と04、そして05要撃部隊が乗機スタンバイ中」


「了解だ。我々が撃ち漏らした連中を頼む。それでは上がる!」


スカルスキー大尉は浮遊機に乗り込むと直ぐに直下の浮遊機を含む中隊18機は、たちまち上空に上昇していった。スカルスキーの144実験中隊が乗るヤスクゥーカが予定の高度に到達すると、再び管制に敵位置の確認を行った。


「スカルスキーだ。セクター15西端に到達した。こちらでは未だ目標を探知出来ない。魔導探知機の反応無しだ。敵の動きはどうなっている?」


『中央戦区管制です。敵浮遊機群はセクター15から10に移動、尚セクター10ブロックに広域展開中』


「了解した。ではそろそろ見える筈だが……」


セクター15からセクター10に急行し雲の切れ間を抜けた144実験中隊は、眼下に広がる敵機の群れを確認した。

そして魔導探知にも反応が出始めていた。スカルスキー大尉は、完全に上空から被せる事によって優位が取れる事を確信して舌なめずりをしながら回線を開いた。


「各機、敵の制空浮遊機から引きはがす。連中はこれ程大規模に侵攻してきた連中だ、気合も入っている。俺達がどれ程の力量となったかが問われるぞ。二機一組で戦え、僚機を見失うな。残弾と結晶石残量に気を配れ、各機戦闘開始!」


こうして144実験中隊は初戦を飾った。しかも完全に同盟軍航空攻勢の出鼻をくじくタイミングで浮遊機群に突っ込んできたのだ。スカルスキー中隊18機は、それぞれ2機づつに分かれて各々が同盟軍浮遊機の先頭に喰い付いてきたのだ。完全に不意打ちを喰らった同盟軍浮遊機部隊は、最初の一撃で10機以上を失った。


「良し、幸先良いスタートだな。護衛を前部喰ったらメインディッシュだ。各機、自由戦闘せよ!」


「了解!」


スカルスキーの乗機は、活気に満ちた返事に溢れた。


・・・


「管制!!一体どうなってる!! 先制攻撃を受けたぞ!!」


『こちらでも確認しております! 当該地区に敵影18! 更に西方に敵影3個中隊接近中です』


「遅い! 攻撃浮遊機の護衛が戦闘に巻き込まれたぞ! ヴォートランはどうなっている!?」


『ヴォートラン各機、ドムヴァルC20地区にて空戦発生、急行して下さい!!」


サライの空中管制指揮所は大混乱に陥っていた。

それ迄勝利を確信していた同盟陣営は日本が管制している筈なのにも関わらず突然の奇襲攻撃を受け、しかも相当な被害を一撃で受けてなお、敵の攻撃は止んではいない。しかも、現在攻撃中の敵機は別の増援が次々と近づいてきているのだ。


「な、何故? 動作確認も何も問題無かったのに……?」


派遣されてきた航空自衛隊は移動式警戒監視システムJ/TPS-102一式をこのサライまで運んできたのだ。ここサライに展開した警戒監視システムで、浮遊機も戦闘機も区別なく全てを把握出来る筈だったのだ。だが自衛隊側では、未だ把握していない大きな誤算があった。


それは今迄ヴァルネク144実験中隊と接触していなかった事だ。

この実験中隊が装備していた浮遊機ヤスクゥーカは今迄の浮遊機とは一線を画した奇怪な形状をしていた。だが、この形状が持つ意味を当のヴァルネクは認識していなかったのだ。


「何故敵機の反応が薄い!? まさか……浮遊機なのにステルス形状!?」

うーん……短い。書き足りない感が凄い。あとで書き足すカモ。

それとGW進行で旅立ったり遊び言ったりでお休みしそうな予感です。

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