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飛び込み参加

 次の日、自由の精霊達は昨日と同じ場所に集まっていた。


「そういえば集合場所とか時間を聞くのを忘れていたわ……どうしたらいいのかしら」

「もしかしたらこのままなかった事になるんじゃないか?」

「絶対ないから安心して。宣言しているから時間がかかっても全員見つけて集めるし、その間行動も制限されるから全員で集まっていた方が被害は少ないわ」

「逃げ場なし、か」


 重いため息を吐く自由の精霊とウィルフに対し、事情をあまり知らないルシアは初めての旅行に緊張と喜びでソワソワしている。


「お姉様、人間として旅行するとの事ですが人間になったら何か注意する事はありますか?」

「えっ、と……沢山あるからその時その時でいいかしら」

「はい! 分かりました!」

「とりあえず怪我には気をつけてね。斬られたりしてたくさん血が出ると死んでしまうから」

「死……消滅ということですね。気をつけます」

「空も飛べないから気をつけてね。あんまり高い所から落ちると……」


 イリスが話しているといきなり上空から凄まじい轟音を立てながら何かが勢いよく落ちていき地面へ衝突する音が響いた。


「へ、え、何、何っ!?」

「あいつだな。だが誰かを連れていた、というか落としたような……? どうする、近づくか?」

「行かないと拗ねて煩いし行くしかないんじゃない」

「一緒に来たって事は危険はないみたいだし……でも念の為ルシアは私から離れないでね」

「はいっ!!」


******


「ん? もう来たのか、もう少しゆっくりしていても良かったのだが……やはり私との旅行が楽しみで仕方なかったのだな。分かっている分かっている、私と一緒にいたくて早めに来て待っていたのだろう」

「頭沸いてんの?」

「そう心配しなくていい、私は至って正常だ。今だって気分良く旅行が出来るよう害獣を駆除していたところだ」

「害獣……? いや、こいつは確か……」

「あっ……大丈夫?」


 白い男はいつぞやの黒い男の首に足を乗せていたが、自由の精霊に気づくとすぐに足を退けた。

 喉を潰されかけていた黒い男は急に解放され咳き込んでいたが、自由の精霊に声をかけられるとすぐに呼吸を整え勢いよく顔を上げた。


「大丈夫だ、生きている。これぐらい余裕だ」


 そのまま立ち上がり腕で顔についた土をぬぐうのを、白い男は如何にもつまらないと言った感じで腕を組み眺めている。


「しぶとい奴め」

「直接手を下すなんて珍しい、何があったの?」

「近くにいたから排除しようとしていただけだ」


 それだけで?


 そうルシアが口に出そうとしているのに気づいたイリスは咄嗟に口を押さえ、ウィルフが黙って何度も首を振ると流石に今話してはいけないと悟ったらしく大人しくなった。


 下手に口を出して白い男の標的がこちらに向くのは避けたい。

 特に機嫌が悪そうな今は。


「え、別にいいじゃないそれぐらい。むしろ一緒に旅行しない?」

「い、いいのか?」

「お前には私がいるだろう!? イリスも! そんな不審者など誘う理由がない上に危険しかない故私は認めんぞ!」

「別に許可とかいらないでしょう。そんなに嫌ならそっちだけで行ったら? 私はイリス達と旅行するから」


 それは嫌なのか白い男から葛藤のような唸り声が聞こえてきた。

 本当にこの黒い男が嫌いらしい。


「……随分と、そいつを庇うのだな」

「庇っているわけじゃないわよ。ウィルフは自分から誘ったのに何でこっちはそんなに嫌っているのよ」

「…………まあ、お前がそこまで言うのなら許してやらん事もないが……途中でいなくなっても文句は言わんようにな」

「別にそこまでして無理矢理付き合わせたいわけじゃないから言わないわよ。……嫌なら言ってよ?」

「それはないから大丈夫だ。最後までずっといるつもりだ」

「しぶといだけでなく空気を読む神経も無い奴め……」


 表情こそ見えないが白い男からは殺気が溢れ、しかし黒い男もそれに負けじと真正面からしっかりと睨み返していた。

 どうやら黒い男も相手を相当嫌っているらしい。


「……何だか険悪な気がしますが大丈夫なんでしょうか」

「ど、どうなのかしら……」

「今から先が思いやられるな」

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