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親組

 地面に仰向けに倒れ、ゼビウスは落ちてきたと思わしき穴を見上げていた。


「い、生きてる。割と本気で死ぬかと思った……」

「お前がそんな事を言うとは珍しい」

「お前が原因だよトン超え野郎。一緒に落ちたら誰だってビビるだろうが」


 元の姿で意外そうにしているトクメに怒る気もなくなり、手足が動く事を確認してから立ち上がり服についた土を軽く払うとゼビウスは周りを確認した。


 かなり高いところから落ちたらしく、遥か上に見える穴はかなり小さい。

 トクメだけでなくダルマも驚いて元の姿に戻ってはいるが大した怪我もないらしく、ゼビウスと同じように周りを確認している。


「当然のごとくシス達はいない、と。はぐれたと言うべきか、これ確実に目の前の建物の中に落ちちゃったんだろうな……」


 ゼビウス達の目の前にあるのは遺跡のような巨大な建物。

 入り口らしきものが見当たらないので裏側らしい。


「これ程の空洞があったとは……落ちた原因はシスか」

「何でもかんでもシスのせいにすんな、明らかにこれ人工的な空洞だしシスじゃなくても落ちてたろ。あと俺達が落ちたのはお前のせい。ムメイちゃん落ちた時に驚いて踏み込んだろ、こんな空洞がある場所でいきなりトン超えの負荷がかかればいやでも崩落する」

「原因などはどうでもよい。大事なのはこの中にヴィルモント達がいるという事じゃ」


 いつになく真面目な様子のダルマに、ゼビウスとトクメは何かを察した。


「何か気づいたのか?」

「この建物の中には複数の人間達がおるようじゃ、しかし声は聞こえても話している内容が聞こえん。妾のこの能力は魔法で阻めるものではない、にも関わらずの。確実に何か魔法以外の力が確かに働いておる」

「……トクメ、中にいるムメイちゃん達の場所分かる?」

「……外は問題ないが建物内に何かあるらしく魔法が効きにくいな。大まかな場所しか分からん上に、ダルマが言ったように他の者も感知して何処にムメイがいるか分からん」


 全員が黙ったまま建物を見つめる。


「つまり、俺達も直接中に入ってシス達を探すしかないって事か。魔物がいなさそうなのは救いかな」

「妾にとっては中におる人間も厄介じゃ。ヴィルモントと接触した場合種族がバレれば敵となる」

「ムメイもだ。むしろ魔物以上に厄介な存在になる」

「そっか、じゃあ急ぐか。魔法関連に不安はあるけどそういうのはシス達と合流してからだな。とりあえずここは魔法で入り口まで……」


 ゼビウスが言い終わらない内にトクメは魔法を発動させ入り口へと移動させた。


「話終わるかせめて一言声かけてからやれ。舌噛む」


 今度ばかりはゼビウスも怒りを抑えず、軽くではあるがパシリとトクメの頭を叩いた。


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