第2話
「痛いよー痛いよーお母さん」ひとみの顔は黒く爛れていた。「ひとみ 父さんだよ 分かるか?」ひとみは痛さのあまり誰の声も聞こえないようだった。「小さい子供には耐えられない痛みなので痛み止めと麻酔で眠らせましょう」「お願いします」お父さんはそういいながらその場で蹲り静かに泣いていた。ひとみが眠り「父さん、母さんとお兄ちゃんの所行ってくるな」お父さんは家に向かった。車から降りると家がなくなっていた。残っていたのは、スプレーギクのビニールハウスだけが明かりをともされ立っていた。母さんとお兄ちゃんは、真っ黒の炭の中で寝ていた。父さんはゆっくり母さんとお兄ちゃんのそばに寄った。姿が無く焼けてしまっていた。お父さんは、お母さんとお兄ちゃんの間に添い寝して「母さん、お兄ちゃんごめんな、ひとみは大丈夫だから」ビニールハウスの明かりがとても明るくスプレーギクが顔をのぞかせていた。「何の前ぶれも無いままこんな事って無いよな 母さん 俺、どうしたらいいんだ 母さん お兄ちゃん ひとみは如何するだよ」普段泣かないお父さんは小さな子供が駄々をこねているかのように泣いていた。そんな時一本のキクの花がお父さんの顔の上に落ちた。花言葉、愛してます。お父さんは一本のキクの花を見て涙を拭いた。「母さん、俺も今も前も変わらず」お母さんとお兄ちゃんは、運ばれて行った。お父さんはひとみの所へ向かった。ひとみの顔をのぞくと気持ちいい顔で眠っていた。