第1話
私の瞳に菊の花が写っているはずだった。今から13年前事故が起こった。それは寒い冬お母さんとお兄ちゃんと暖かい鍋を囲んでいた「ひとみ、お父さん呼びに行って来て」とお母さんに言われた。お父さんは裏の畑で菊の花を大切に育てている。「お父さん ご飯だよ 寒いねえ先行ってるよ、早く来てね」ひとみはそう言いながら走って家に帰った。そのとき「バアーン」大きな音とともに火が家の中から飛び出してきた。お父さんは慌てて家に向かったが身動きが取れなかった。「母さんーあきらーひとみー」お父さんは叫び続けた。真っ黒な煙の奥に倒れているひとみを見つけた。「ひとみー大丈夫か ひとみー」意識が無くお父さんはどうする事も出来なかった。救急車にひとみを乗せお父さんもひとみと病院に向かった。「母さんとあきら」お父さんは心配で心配で如何し様のない不安で頭が真っ白になっていた。病院に着きひとみの意識も無いまま「今のまま意識が戻らなければ危険な状態です」先生に伝えられお父さんは泣き崩れた。お父さんはひとみから離れず祈った。時間だけが過ぎていく、警察の人が父さんの前に真剣な顔で「奥様と息子さんの遺体が発見されました」お父さんは声も涙も出ない信じられない状況夢でも見ているようだった。「お父さん娘さんが意識が戻りました。すぐに来てください」先生に呼ばれ「ひとみ わかるか?父さんだぞ ひとみ」お父さんはひとみを見て愕然とした。