かくかくしかじか。
かくかくしかじか。
と、私はすべてをジャンに吐露した。
ただ、自分が転生者であることとここがBL恋愛ゲームの世界であることは告げなかった。
それから、ほんの少しの不安を吐き出した。
「それに、だ。キース王子とクリス様が恋愛関係にあるのだとすると、キース王子はいずれ、エドワードに王位継承権を譲るのではないだろうか。そうなると、私は困るのだ」
「どうして?」
「なぜなら、先程も述べたように私はエドワードを守るためだけに婚約者になったのだ。私に王妃になる気は無い。それに、エドワードとはいずれ別れるのに、エドワードが王位継承権を譲られれば婚約破棄は難しくなるのではないか?」
不安げにジャンを見つめると、彼の頬が少しだけ朱色に染まったのがわかった。
……すべてを秘密にしていたからな。
ジャンが怒るのも仕方がない。
ジャンははぁ、とため息をついた後、
「そんな理由で婚約してたのか。……兄上が不憫だ」
「何故、エドワードが不憫なのだ?」
私が不思議に問い返すと、ジャンは苦笑いをして首を横に振った。
「まぁ、いいや。……それより、話を戻すけど」
「あぁ」
「十六歳になったら、セシリアはブラッドレイ家とは縁を切るつもりなんでしょう?」
「うむ。ラングアニス大陸中央地開拓計画には、そうするのが一番だからな」
「それなら、そのときに自然と婚約は破棄されるはずだよ。仮にも、王族の妃になるのが前提だから。貴族でない庶民の娘では、民に示しがつかないだろう?」
「なるほどな。ジャン、ありがとう!」
私はそう言って、ジャンを抱きしめた。
「ぼ、僕も男なんだからな!」
ぽぽぽぽと頬を赤らめて、わたわたと慌てるジャンの言葉など私には聞こえていない。
うむうむ、美少年とはこう可愛くあるべきなのである。