道は閉ざされた。
オリヴァー様の言葉に私のこめかみがピクリと動く。
「……クレアとクララに?」
少しばかり重低音を響かせて、私は尋ねた。
「あぁ、セシリア嬢の妹たちだ。交互に文章を書いていてな、とても微笑ましいぞ」
彼は私の変化に全く気付かない。
まぁ、私の言う変化など、微々たる変化ではあるのだろうが。
「……ちなみにいつから文通をしているか聞いても良いだろうか?」
「構わん。確か、そうだな……。ここ数年ではなかったか? きっかけは、彼女たちが文字を書けるようになったから、だったか?」
「そうか」
無表情ではあるものの、私の内心は荒れに荒れていた。
まず第一に、オリヴァー様が私の天使たちを呼び捨てにしていること。
いつの間に、そんな関係になっていたんだ!
第二に、どうやら手紙の中に「好き」と書かれているらしいこと。
そして、それが満更でもない様子のオリヴァー様!
最後に。
ちなみに、これが一番重要であるのだが……。
私は一度も妹たちから手紙を貰ったことがない!!!!
これは、もうあれだぞ。
あれだ、あれ。
そう、オリヴァー様と妹たちが六歳差というのも問題だ。
そうだ、それに……。
オリヴァー様の変化に妹たちが関係している可能性があることも問題だ。
ゲーム内容は知らなくとも、想像することは出来る。
妹たちよ。
それは、本来エドワードの役目だったのではなかろうか……?
とにかく、問題だらけだ。
あぁ、オリヴァー様ルートが今目の前で消えている最中のような気がする。
いや、気がするだけだ。
大丈夫だ。
……恐らく、きっと。
パニックになる頭を抱えて、私はオリヴァー様と別れた。
向かう先はジャンのもとへ。
自分では処理しきれなくなってきたため、変な意地を張らず、彼に相談することにしたのだ。