ルート変更は無理そうです。
ばちり。
息を呑んだ私とキース王子の目が合う。
ニヤリと笑った彼の表情は妖艶だった。
私はぺこりと頭を下げて、扉を閉めた。
覗き見などして申し訳なかった。
後は二人の時間を過ごしてください。
それから、くるりと身体を反転させるとそのまま勢いよく駆け出した。
クリス様、そっちかーーーー!!!
そう心の中で叫びながら。
キース王子にメロメロになっているクリス様に、私の足音など聞こえてやしないだろう……。
クリス様×エドワードのルートはこれで完全に無くなったと考えて良いだろう。
なぜなら、キース王子×クリス様だったのだから!
クリス様が右、右、みぎ……。
いいや、意気消沈している場合ではない。
オリヴァー様ルートがあるではないか。
そして何とも都合のいいことに、私の前には何やらニヤけた顔をしたオリヴァー様がいらっしゃる。
「オリヴァー様、何か嬉しいことでもあったのですか?」
私の言葉にオリヴァー様が返事をする。
「おぉ、セシリア嬢!」
相変わらず身長は私と同じくらいであったが、彼はここ数年で少し変わった。
種族故の低身長に対するコンプレックスは無くなり、どこか豪快な性格になってきたのだ。
「……実はな」
声を落として口を開く彼は、どうやら私に嬉しいわけを話してくれるようだった。
非常に素直な彼に対して何だか申し訳ない気持ちと愛おしい気持ちが混ざり、いたたまれない。
しかし、次に紡がれた彼の言葉によってそんないたたまれなさもどこかへ吹っ飛んでしまった。
「クレアとクララから手紙が届いてだな。……お、俺のことを好きだとか、何とか……」




